NPO法人の役員になる前に|引き受ける前の確認事項

一般社団法人法
理事を頼まれた。引き受ける前に、確認しておくことがあります。

NPO法人の役員を頼まれたら、引き受ける前の確認が大切です。

名前を貸すだけ、という認識は危険です。

法律上の責任を、負う立場になります。

この記事では、引き受ける前に確認すべき点を整理します。

POINT 結論:理事も監事も、善良な管理者としての注意義務を負います。名前だけの役員でも、他の役員と同じ責任を負う点は変わりません。負担の量、書類の整備の状況、任期と手続きを確認してから決めてください。

名前を貸すという発想を捨てる

人数が足りないから、と頼まれる場面があります。

名前だけでいい、と言われることもあります。

しかし、法律上はそうなりません。

就任すれば、他の役員と同じ責任を負います。

善良な管理者としての注意義務です。

知らなかった、という説明は通りにくいものです。

むしろ、把握していなかったこと自体が問題とされます。

断る勇気も、必要です。

関われないなら、賛助会員として応援する形もあります。

どんな責任を負うか

理事は、法人に対して責任を負います。

職務を怠って損害を与えれば、賠償の責任が生じます。

第三者に対しても、悪意または重大な過失があれば責任を負います。

通常の業務判断で結果が悪かっただけでは、問われにくいものです。

重要なのは、判断の過程です。

必要な情報を集め、議論し、記録を残すことです。

登記を怠った場合の過料は、代表者個人に科されます。

監事も、善管注意義務を負います。

監査を怠って不正を見逃せば、責任を問われます。

確認すること 見るところ 危険の見分け方
負担の量 会議の回数と時間 月に何度も呼ばれる
書類の整備 定款・議事録・報告書 数年分が揃っていない
登記の状況 登記事項証明書 役員が古いまま
財政 直近の決算 債務の見通しが不明
報酬 有無と額 説明が曖昧
公開される情報 氏名と住所 想定していなかった

負担の量を聞く

まず、実際の負担を確認します。

第一に、理事会が年に何回あるかです。

第二に、1回あたりの時間です。

第三に、平日か休日か、時間帯はいつかです。

第四に、会議以外の作業があるかです。

第五に、行事への出席を求められるかです。

曖昧な説明のまま、引き受けないでください。

入ってから、際限なく広がる例が多くあります。

数字で聞くと、判断できます。

書類を見せてもらう

団体の状態は、書類に表れます。

第一に、定款です。

目的、事業、役員の定数を確認します。

第二に、直近の事業報告書等です。

活動の規模と、財政の状況が分かります。

第三に、過去数回の議事録です。

議論の質が、見えます。

第四に、登記事項証明書です。

第五に、規程があれば見せてもらいます。

断られる団体には、入らないほうが無難です。

引き受ける前に確認すること

  • 理事会の回数と、1回あたりの時間
  • 会議以外に求められる作業
  • 定款の内容(目的・事業・定数)
  • 直近の事業報告書等
  • 過去数回の議事録
  • 登記が最新か
  • 報酬の有無と額
  • 氏名と住所が公開されること
  • 任期と、再任のときの手続き
  • 保険に加入しているか
  • 勤務先の兼業の届出が要るか
  • 就任の手続きを誰が行うか

書類が揃っていない団体

書類が揃っていない場合は、注意が要ります。

数年分の報告書が、ない団体もあります。

登記が、何年も古いままの場合もあります。

議事録が、作られていないこともあります。

これらは、放置された状態です。

就任すると、その状態を引き継ぐことになります。

直す作業も、担うことになります。

直す意思があるかを、確認しましょう。

直す前提なら、引き受ける意味があります。

そのまま続ける前提なら、危険です。

公開される情報

役員になると、情報が公開されます。

氏名は、年間役員名簿に載ります。

事業報告書等として、所轄庁に提出されます。

備え置きと、閲覧の対象にもなります。

代表権のある理事なら、登記もされます。

登記には、住所も記載されます。

誰でも、登記事項証明書を取れます。

この点を、知らずに就任する人が多くいます。

想定外だった、とならないよう確認しておきましょう。

任期と手続きを知る

任期は、2年以内で定款に定められています。

再任する場合も、手続きが必要です。

総会で選任し、就任を承諾します。

代表権のある理事なら、重任の登記も要ります。

所轄庁への役員変更届も、生じます。

これらの作業を、誰が担うかを確認しましょう。

自分が担うことになるのか、事務局がやるのかです。

辞めたいときの手続きも、聞いておきます。

辞任届を出せば、辞められます。

ただし、在任中の責任は残ります。

代表者になる場合

代表理事を頼まれた場合は、さらに重くなります。

第一に、対外的に団体を代表します。

第二に、契約の名義人になります。

第三に、登記され、住所も公開されます。

第四に、登記を怠れば個人に過料が科されます。

第五に、金融機関の手続きの主体になります。

第六に、何かあったときの窓口になります。

通帳と印鑑の管理も、関わります。

責任の重さが、他の理事とは違います。

軽い気持ちで、引き受けないでください。

親族の制限を確認する

就任できるかどうかにも、条件があります。

役員に、配偶者や三親等以内の親族が含まれる場合、制限があります。

役員総数が6人以上なら、1人まで認められます。

5人以下なら、入れられません。

欠格事由に該当しないことも、必要です。

暴力団の関係者でないことなども、含まれます。

宣誓書を、求められることがあります。

報酬を受ける役員は、3分の1以下という制限もあります。

要件を欠くと、認証にも関わる問題になります。

就任の前に、確認してもらいましょう。

引き受けたあとにやること

就任したら、最初にやることがあります。

第一に、定款を通して読みます。

第二に、規程一式に目を通します。

第三に、直近の事業報告書等を読みます。

第四に、年間の予定表を受け取ります。

第五に、疑問をその場で聞きます。

最初の理事会で、質問しましょう。

慣れてからでは、聞きにくくなります。

分からないまま座っている状態が、いちばん危険です。

責任は、把握していなくても生じます。

断るという判断

断ることは、失礼ではありません。

関われないのに引き受けるほうが、双方に不利益です。

団体は、動く人を得られません。

本人は、責任だけを負います。

断る理由は、正直に伝えましょう。

時間が取れない、という理由で十分です。

賛助会員として応援する、という代案も示せます。

別の人を紹介できるなら、それも助けになります。

断ったあとも、関係は続けられます。

周りの人にも影響する

役員になることは、本人だけの問題ではありません。

家族にも、影響が及ぶ場合があります。

住所が公開されることは、その一つです。

時間を使うことも、家庭に関わります。

責任を負う立場だと、説明しておきましょう。

万が一のときに、驚かせないためです。

勤務先がある場合は、就業規則も確認します。

兼業の届出が、必要な場合があります。

報酬を受けるなら、なおさら確認が要ります。

事前に整理しておけば、安心して関われます。

複数の団体で役員をする

複数の団体で、役員を務める人もいます。

制度上、禁止されてはいません。

ただし、負担は単純に足し算になります。

それぞれで、同じ責任を負います。

会議の日程も、重なります。

利益が相反する場面も、生じ得ます。

同じ助成金に、両方が応募する場合などです。

その場合、議決に加わらない配慮が要ります。

引き受ける前に、自分の限界を見ましょう。

中途半端に関わるほうが、危険です。

保険の有無を聞く

団体が保険に入っているかも、確認しましょう。

第一に、活動中の事故に備える保険です。

参加者やボランティアが対象になります。

第二に、役員賠償責任保険です。

入っている団体は、多くありません。

事業の規模が大きいなら、確認する価値があります。

入っていない場合、その理由を聞きます。

費用の問題なら、理解できます。

考えたこともない、という状態なら要注意です。

備えの意識が、団体全体に薄い可能性があります。

引き受けたい場合の伝え方

前向きに検討したい場合も、条件は伝えましょう。

第一に、出席できる頻度を伝えます。

第二に、担える役割の範囲を示します。

第三に、できないことも、はっきり言います。

会計は分からない、平日は動けないといった点です。

最初に伝えておけば、あとで無理が生じません。

相手も、体制を組みやすくなります。

曖昧なまま引き受けると、双方が困ります。

正直に話せる関係から、始めましょう。

長く続く関係になります。

就任の手続きを確認する

引き受けると決めたら、手続きを確認します。

第一に、いつの総会で選任されるかです。

第二に、就任承諾書を書く必要があります。

第三に、代表権があるなら登記もされます。

第四に、欠格事由に関する宣誓書を求められることがあります。

第五に、住所と氏名を届け出ます。

任期の起算日も、確認しておきましょう。

2年後の改選の時期が、そこで決まります。

手続きを誰がやるかも、聞いておきます。

自分でやるなら、方法を教えてもらいましょう。

役員になる前のまとめ

理事も監事も、善良な管理者としての注意義務を負います。

名前だけの役員でも、責任は同じです。

会議の回数と時間を、数字で聞いてください。

定款、事業報告書等、議事録、登記を見せてもらいましょう。

書類が揃っていない団体は、直す意思があるかを確認します。

氏名は公開され、代表権があれば住所も登記されます。

親族の制限と欠格事由も、就任の前に確認が要ります。

関われないなら、断ることが双方のためです。

住所の公開や時間の使い方は、家族にも影響します。

勤務先がある場合は、兼業の届出が必要かも確認しましょう。

複数の団体で役員を務めると、負担も責任も足し算になります。

団体が保険に入っているかも、聞いておきたい点です。

引き受ける場合も、できないことを最初に伝えてください。

就任の手続きと、任期の起算日も確認しておきましょう。

手続きを誰がやるかも、あわせて聞いてください。

よくある質問

Q. 名前だけの理事でも責任がある?

A. あります。就任すれば他の役員と同じ責任を負い、把握していなかったこと自体が問題とされます。関われないなら、賛助会員として応援する形もあります。

Q. 引き受ける前に何を聞く?

A. 理事会の回数と1回あたりの時間、会議以外の作業、報酬の有無です。曖昧な説明のまま引き受けると、負担が際限なく広がります。

Q. どんな書類を見せてもらう?

A. 定款、直近の事業報告書等、過去数回の議事録、登記事項証明書です。断られる団体には入らないほうが無難です。

Q. 書類が揃っていない場合は?

A. 就任すると、その状態を引き継ぐことになります。直す意思があるかを確認してください。直す前提なら引き受ける意味がありますが、そのまま続ける前提なら危険です。

Q. 住所は公開される?

A. 氏名は年間役員名簿に載り、備え置きと閲覧の対象になります。代表権のある理事なら登記もされ、住所も記載されます。誰でも登記事項証明書を取れます。

Q. 就任できない場合がある?

A. あります。役員総数が5人以下なら親族を入れられず、6人以上でも1人までです。欠格事由に該当しないことも必要で、宣誓書を求められることがあります。


この記事の位置づけ

本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。

  • 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。

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