特例認定NPO法人とは?PSTが不要な代わりに設立5年以内・3年・一度きり

一般社団法人法
特例認定は、設立まもない法人がPSTを免除される一度きりの制度です。

認定NPO法人になりたいが、寄付の実績がまだない。

パブリックサポートテスト(PST)の数字が作れるのは何年も先になりそうだ。

そういう設立まもない法人のために用意されているのが特例認定です。

以前は仮認定と呼ばれていた制度で、現在の条文上の名称は特例認定です。

ただし、使えるのは設立から5年以内、有効期間は3年、しかも一生に一度だけという制約があります。

この記事では、特例認定の要件・効果・期限を条文に沿って整理します。

POINT 結論:特例認定は設立から5年を経過しない法人が受けられる制度で、認定の基準のうちPST(45条1項1号)だけが不要になります(59条1号)。有効期間は認定の日から3年(60条)で更新はできず過去に認定・特例認定を受けたことがないことが条件です(59条3号)。つまり使えるのは一度きり。3年のあいだに本認定のPSTを満たせる体制を作ることが前提の制度です。

特例認定とは|設立まもない法人のための入口

根拠は特定非営利活動促進法58条1項です。

条文は、新たに設立された特定非営利活動法人のうち、その運営組織および事業活動が適正であって、特定非営利活動の健全な発展の基盤を有し公益の増進に資すると見込まれるものは、所轄庁の特例認定を受けることができると定めています。

ポイントは「見込まれる」という書き方です。

実績で判定する本認定と違い、これから伸びる見込みで判断するという設計になっています。

旧制度の仮認定という呼び方は今も現場で使われますが、条文上は特例認定です。

書類や要綱で用語が混在していることがあるので、所轄庁の様式に合わせてください。

いちばん大きな違いはPSTが要らないこと

認定NPO法人になるための基準は45条1項に並んでいます。

その1号がPST(パブリックサポートテスト)で、広く市民からの支援を受けているかどうかを判断するための基準です。

相対値基準・絶対値基準・条例個別指定という3つの方法のいずれかに適合する必要があります。

これが、設立まもない法人にとって最大の壁になります。

特例認定の基準を定めた59条1号は、「第45条第1項第2号から第9号までに掲げる基準に適合すること」と書いています。

1号が意図的に外されているわけです。

つまり、PST以外の基準(事業活動の適正性、運営組織および経理の適正性、情報公開、事業報告書等の提出、法令違反がないことなど)はすべて満たす必要があります。

PSTだけが免除される、という理解が正確です。

使えるのは設立5年以内・一度きり

59条2号は、申請書を提出した日の前日において、設立の日から5年を経過しない法人であることを求めています。

合併した法人については、消滅した各法人を含めていちばん早い設立日で数えます。

59条3号は、過去に認定または特例認定を受けたことがないことを求めています。

この2つを合わせると、特例認定は一度しか使えない制度だとわかります。

特例認定が切れたあとにもう一度特例認定を受け直すことはできません。

また、58条2項が44条3項を読み替えて準用しており、実績判定期間は2年とされています。

設立直後で決算を1期しか終えていない場合など、そもそも申請できる時期かどうかは所轄庁に確認してください。

有効期間は3年・更新はない

60条は、特例認定の有効期間を特例認定の日から起算して3年と定めています。

本認定の有効期間が5年で更新できるのとは違い、特例認定に更新の仕組みはありません。

61条は失効の事由を挙げていて、有効期間が経過したとき、特例認定を受けていない法人と一定の手続きを経ずに合併したとき、解散したとき、そして本認定を受けたときに効力を失います。

4号の「本認定を受けたとき」に失効するのは、いわば卒業です。

逆にいえば、3年のうちに本認定へ移れなければ、ただの特定非営利活動法人に戻ります。

寄付者側から見ても影響があります。特例認定の期間中は、寄付者の所得税の寄附金控除は受けられますが、相続財産を寄付した場合の非課税など一部の措置は本認定と扱いが異なります。詳細は国税庁の情報で確認してください。

特例認定 認定(本認定)
PST(45条1項1号) 不要 必要
設立からの年数 5年以内 制限なし
有効期間 3年(60条) 5年
更新 できない できる
回数 一度きり(59条3号) 繰り返し可

3年をどう使うか

特例認定は、寄付を集めやすくするための3年間の助走期間だと考えるのが実際的です。

本認定に進むには、実績判定期間のPSTを満たす必要があります。

相対値基準でいくなら、経常収入に占める寄附金等の割合を上げる必要があります。

絶対値基準でいくなら、年平均で一定人数以上の判定基準寄附者を確保する必要があります。

どちらを狙うかで、集め方がまったく変わります。

少額でも人数を増やす設計にするのか、大口を増やすのか。

この選択を1年目にしておかないと、3年目に数字が足りないことに気づくことになります。

あわせて、寄附者名簿と受領証の管理を最初から整えておいてください。

PSTの判定は、記録が残っている寄付しか数えられません。

よくある質問

Q. 特例認定と仮認定は違うものですか?

A. 同じ制度です。旧制度の「仮認定」が現在は条文上「特例認定」という名称になっています(NPO法58条)。

Q. 特例認定ではPSTは要りませんか?

A. 要りません。特例認定の基準は45条1項2号から9号までで、PSTを定めた1号は含まれていません(NPO法59条1号)。それ以外の基準はすべて満たす必要があります。

Q. 設立してから何年まで申請できますか?

A. 申請書を提出した日の前日において、設立の日から5年を経過していないことが条件です(NPO法59条2号)。

Q. 特例認定は何年有効で、更新できますか?

A. 特例認定の日から起算して3年です(NPO法60条)。更新の仕組みはなく、過去に認定・特例認定を受けたことがないことが条件なので、使えるのは一度きりです(59条3号)。

Q. 3年の間に本認定を受けたらどうなりますか?

A. 特例認定はその時点で効力を失います(NPO法61条4号)。本認定に移行したという意味で、不利益ではありません。


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