結論から申し上げます。
一般社団法人の定款認証で必要になる書類は、次の4つが基本です。
①定款(紙の定款なら通常3通)。
②設立時社員全員の印鑑登録証明書(発行後3か月以内)。
③実質的支配者となるべき者の申告書。
④代理人が手続をするときは、委任状と代理人の本人確認書類。
このほか、設立時社員に法人がいれば、その法人の登記事項証明書が加わります。
費用は認証手数料5万円(公証人手数料令35条3号)と、登記に使う謄本の手数料です。
定款認証という手続そのものの意味は、一般社団法人の定款認証とは?で説明しています。
この記事では、当日までにそろえる書類に絞って解説します。
必要書類の一覧
必要書類は、紙の定款か電子定款か、本人が行くか代理人が行くかで少し変わります。
まず全体を一覧で確認し、自分の団体に当てはまる行に印を付けて準備すると漏れが防げます。
最終的な取扱いは公証役場ごとに確認が必要なので、定款案を送るときに必要書類も確かめておきます。
| 書類 | 誰の分 | 部数・条件 | 根拠・出典 |
|---|---|---|---|
| 定款(紙) | 設立時社員全員が署名または記名押印 | 通常3通(保存用・法人保管用・謄本用) | 公証人法58条1項・日本公証人連合会Q4 |
| 定款(電子) | 設立時社員全員の電子署名など | PDFファイル1つ | 一般法人法10条2項・公証人法59条 |
| 印鑑登録証明書 | 設立時社員全員(個人) | 各1通・発行後3か月以内 | 公証人法28条・日本公証人連合会Q4 |
| 登記事項証明書+代表者の印鑑証明書 | 設立時社員が法人の場合 | 各1通 | 日本公証人連合会Q4 |
| 実質的支配者となるべき者の申告書 | 嘱託人が作成 | 1通 | 公証人法施行規則46条1項 |
| 委任状 | 代理人に頼む設立時社員 | 委任する人の数だけ | 公証人法32条2項 |
| 代理人の本人確認書類 | 代理人 | 運転免許証・印鑑登録証明書など | 公証人法32条・日本公証人連合会Q6 |
| 手数料 | ― | 5万円+謄本代(1枚250円) | 公証人手数料令35条3号・40条2項 |
以下、書類ごとに中身と注意点を説明します。
定款(紙の定款は通常3通)
定款は、設立時社員が共同して作成し、全員が署名または記名押印します(一般法人法10条1項)。
設立時社員は2人以上必要なので、署名欄も2人分以上になります。
公証人法58条1項は、書面の定款の認証は「定款二通を提出して」行うと定めています。
認証後、1通は公証人が保存し、もう1通は嘱託人に返されます(同条3項)。返された1通が法人で保管する原本です。
設立登記には認証を受けた定款の謄本も使うため、実務では同じ定款を3通用意するのが通常です(日本公証人連合会Q4)。
各通の各ページの継ぎ目には契印をします。袋とじにした場合は、とじ目に押せば足ります。
定款の作成日付は、認証を受ける日以前の日付になります。
- 目的・名称・主たる事務所の所在地・設立時社員の氏名又は名称及び住所・社員の資格の得喪・公告方法・事業年度が書かれているか(11条1項)
- 名称に「一般社団法人」の文字が入っているか(5条1項)
- 社員に剰余金や残余財産を分配する定めが入っていないか(11条2項で無効)
- 設立時社員の氏名・住所が印鑑登録証明書と一字一句同じか
- 押印は印鑑登録証明書と同じ印(実印)か
- 3通とも同じ内容で、各ページに契印があるか
- 訂正がある場合、訂正の字数と箇所を書き、全員が訂正印を押しているか
記載事項の書き方は一般社団法人の定款の書き方で、記載例とあわせて説明しています。
設立時社員の印鑑登録証明書
公証人は、嘱託人が本人であることを確かめなければなりません。
公証人法28条は、官公署が作成した印鑑に関する証明書などを提供して本人であることを明らかにする、と定めています。
定款認証では、実務上設立時社員全員の印鑑登録証明書を提出する扱いです(日本公証人連合会Q4)。
使えるのは発行後3か月以内のものです。
住所の表記(番地・号・建物名)は、定款の設立時社員の住所と合わせます。
印鑑登録証明書は、設立登記の際に設立時理事の分が別に必要になることがあります。
設立時社員と設立時理事が同じ人なら、何通取るかを先に決めておくと二度手間を防げます。
| 設立時社員の種類 | 本人確認の書類 | 注意点 |
|---|---|---|
| 日本に住む個人 | 印鑑登録証明書(発行後3か月以内) | 定款の住所・氏名の表記と合わせる |
| 法人(会社・一般社団法人など) | 登記事項証明書と代表者の印鑑証明書 | 新法人の社員になることが、その法人の目的の範囲内かを確認されることがある |
| 外国籍の個人 | 印鑑登録証明書、または在留カード・旅券など | 取扱いは公証役場に事前に確認 |
印鑑登録証明書は、マイナンバーカードがあればコンビニで取得できる市区町村もあります。
実質的支配者となるべき者の申告書
一般社団法人の定款認証では、実質的支配者となるべき者を公証人に申告します。
根拠は公証人法施行規則46条1項です。2025年10月1日施行の改正で、この条番号になりました。
申告する事項は、その人の氏名・住居・生年月日と、暴力団員や国際テロリストなどに当たるかどうかです(46条1項1号・2号)。
該当するおそれがあると公証人が認めたときは、嘱託人などは必要な説明をしなければなりません(同条2項)。
一般社団法人の実質的支配者は、まず事業活動に支配的な影響力を持つ個人です(犯収法施行規則11条2項3号ロ)。
そうした個人がいなければ、法人を代表し業務を執行する個人、つまり代表理事です(同項4号)。
一般社団法人は社員に剰余金を分配できないため、株式会社のような議決権の割合による判定にはなりません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書式 | 日本公証人連合会のWebサイトに「一般社団・一般財団用」の申告書がある |
| 提出の時期 | 認証の嘱託までに。定款案の点検を頼むときに一緒に出すよう案内されている |
| 提出の方法 | メール・ファクス・郵送・持参など(日本公証人連合会Q9) |
| 記入する人 | 嘱託人(設立時社員または代理人) |
| 多くの法人での記入内容 | 設立時代表理事となる人 |
実質的支配者の決め方は一般社団法人の実質的支配者で詳しく説明しています。
代理人が手続をするときの委任状
定款認証の嘱託は、代理人によってすることができます(公証人法32条1項)。
設立時社員の1人が他の社員の代理人になることも、全員が第三者に頼むこともできます(日本公証人連合会Q6)。
代理人は、代理の権限を証する書面、つまり委任状を提出します(32条2項)。
委任状が認証を受けていない私文書のときは、印鑑証明書なども提出させるとされています(32条3項)。
そのため実際には、委任状に実印を押し、委任する人の印鑑登録証明書を付ける形になります。
代理人自身も、運転免許証や印鑑登録証明書などで本人確認を受けます。
委任状の書式は、認証を受ける公証役場に確認するよう案内されています。
受任者(代理人)の住所・氏名
委任事項:一般社団法人〇〇の定款について、公証人の認証を嘱託する一切の権限
定款の内容を特定する記載(定款を委任状に綴じて契印する方法が多く使われる)
実質的支配者となるべき者の申告に関する権限
委任の日付
委任者(設立時社員)の住所・氏名・実印の押印
具体的な書式は公証役場ごとに異なることがあります。定款案の点検の段階で確認してください。
手数料と当日支払うお金
一般社団法人の定款認証の手数料は5万円です(公証人手数料令35条3号)。
同条1号・2号の3万円・4万円は、株式会社と特定目的会社の資本金の額による区分です。
一般社団法人はこの区分に当たらないため、規模にかかわらず5万円になります。
紙の定款では、登記に使う謄本の交付に1枚250円の手数料がかかります(手数料令40条2項)。
電子定款では、認証した定款と同じ情報の提供が1件700円です(同令41条の4)。
電子定款の保存を請求するときは、その手数料が300円です(同令41条の2)。
一般社団法人の定款には収入印紙は不要です。
印紙税の対象は会社の設立のときの定款に限られるためです(印紙税法 別表第一6号)。
| 費用 | 紙の定款 | 電子定款 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 認証手数料 | 5万円 | 5万円 | 公証人手数料令35条3号 |
| 謄本・同一情報の提供 | 1枚250円(謄本) | 1件700円(書面でもらうと1枚20円を加算) | 同令40条2項・41条の4 |
| 電子定款の保存 | ― | 300円(請求する場合) | 同令41条の2 |
| 収入印紙 | 不要 | 不要 | 印紙税法 別表第一6号(会社の定款のみ) |
| 公証役場で定款を閲覧するとき | 1回200円 | ― | 同令41条2項3号 |
電子定款にしても、一般社団法人では収入印紙の節約は生じません。
詳しくは一般社団法人の定款に収入印紙は必要?で説明しています。
電子定款で認証を受けるときの違い
定款は、電磁的記録(PDFなど)で作ることもできます(一般法人法10条2項)。
この場合、署名や記名押印に代えて、法務省令で定める措置(電子署名)をとります。
電子定款の認証は、指定公証人が行います(公証人法59条1項)。
日本公証人連合会によると、2024年3月1日から、電子定款の認証はウェブ会議で行うのが原則になりました。
来所を希望するときは「ウェブ会議の利用を希望しない旨の申告書」を出します。
ウェブ会議では、運転免許証やマイナンバーカードなど顔写真付きの身分証明書を画面で示します。
設立時社員が電子署名をできないときは、専門家などの定款作成代理人に紙の委任状で委任し、委任状を郵送する方法があります。
その場合は、発行後3か月以内の印鑑登録証明書(原本)を同封します。
紙の定款の認証には、ウェブ会議は使えません。
| 項目 | 紙の定款 | 電子定款 |
|---|---|---|
| 定款の形 | 紙3通(通常) | PDFファイル |
| 設立時社員の意思の表示 | 署名または記名押印(実印) | 電子署名(またはその代理人の電子署名) |
| 公証役場へ行くか | 行く(本人または代理人) | 原則ウェブ会議。希望すれば来所も可 |
| 本人確認 | 印鑑登録証明書など | 顔写真付き身分証明書の提示、委任時は印鑑登録証明書 |
| 認証後に受け取るもの | 法人保管用の原本と謄本 | 認証済みの電子データ(同一情報の提供) |
どこの公証役場で受けるか
定款認証は、どこの公証役場でもよいわけではありません。
一般社団法人の定款の認証は、主たる事務所の所在地を管轄する法務局・地方法務局に所属する公証人が扱います(公証人法57条)。
たとえば主たる事務所を東京都に置くなら、東京法務局に所属する都内の公証役場で認証を受けます。
同じ法務局・地方法務局の管轄内であれば、どの公証役場を選んでも構いません。
管轄外の公証役場で認証を受けても、その定款は使えないので注意が必要です。
公証役場の探し方や当日の流れは、公証役場とは?で説明しています。
書類をそろえる順番
必要書類には有効期限があるものと、ないものがあります。
有効期限のない定款案と申告書を先に作り、期限のある印鑑登録証明書は日程が決まってから取ると無駄がありません。
日本公証人連合会も、定款案の点検を頼むときに申告書を一緒に出すよう案内しています。
設立時社員・設立時理事・機関設計・目的などを決めて案を作成
多くの法人では設立時代表理事になる人を記入
メール・ファクスなどで送り、内容の点検を受ける
必要書類と委任状の書式もこのとき確認
設立時社員全員分。登記で使う分もまとめて検討
紙の定款なら3通
手数料5万円と謄本代を支払い、原本と謄本を受け取る
電子定款の場合は、6の代わりに電子署名をし、予約日までにオンラインで申請します。
認証のあと、設立登記で使う書類
定款認証が済んだら、法務局で設立の登記を申請します。
定款で設立時理事を定めていなければ、認証後に設立時社員が選任します(一般法人法15条1項)。
登記の申請書には、定款、設立時代表理事の選定に関する書面、設立時役員の就任承諾書などを添付します(318条2項)。
登記は、設立時理事による調査が終わった日などから2週間以内に申請します(301条1項)。
登録免許税は6万円です(登録免許税法 別表第一24号(一)ロ)。
定款認証で受け取った謄本は、この登記の添付書類として使います。
| 書類 | 定款認証で使う | 設立登記で使う |
|---|---|---|
| 定款 | 原本(3通) | 認証を受けた謄本 |
| 設立時社員の印鑑登録証明書 | 使う | 通常は使わない |
| 設立時理事の印鑑登録証明書 | ― | 使う場合がある(理事会の有無で異なる) |
| 実質的支配者となるべき者の申告書 | 使う | 使わない |
| 就任承諾書 | ― | 使う(318条2項3号) |
| 設立時代表理事の選定書 | ― | 選定したときに使う(318条2項2号) |
本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。
- 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。
登記までの全体の流れは一般社団法人の設立の流れで説明しています。
よくある誤解
誤解1:一般社団法人の定款認証の手数料は3万円や4万円のこともある。
3万円・4万円は株式会社の資本金による区分です。
一般社団法人は5万円です(手数料令35条3号)。
誤解2:紙の定款だと収入印紙4万円が要る。
収入印紙が要るのは会社の定款です。
一般社団法人の定款は紙でも収入印紙は不要です。
誤解3:定款は1通持っていけばよい。
書面の定款は2通の提出が条文上の要件で(公証人法58条1項)、謄本用を含めて3通用意するのが通常です。
誤解4:設立時社員全員が公証役場に行かなければならない。
代理人による嘱託ができます(公証人法32条1項)。
委任状と委任者の印鑑登録証明書を用意します。
誤解5:定款を変えるたびに認証が要る。公証人の認証が必要なのは設立当初の定款だけです(日本公証人連合会Q1)。
誤解6:実質的支配者は社員総会で議決権を多く持つ人。
一般社団法人では、支配的な影響力を持つ個人がいなければ代表理事です(犯収法施行規則11条2項3号ロ・4号)。
一般財団法人の定款認証でも、実質的支配者となるべき者の申告が要ります(公証人法施行規則46条)。財団での判定はこちらです。
一般社団法人の定款認証の必要書類についてよくある質問
A. 定款(紙なら通常3通)、設立時社員全員の印鑑登録証明書(発行後3か月以内)、実質的支配者となるべき者の申告書です。代理人が行く場合は委任状と代理人の本人確認書類も必要です(公証人法28条・32条・58条1項、公証人法施行規則46条1項)。
A. 書面の定款は2通を提出します(公証人法58条1項)。1通は公証人が保存し、1通が法人に返されます。登記に使う謄本の分を含めて、実務では3通用意するのが通常です。
A. 定款を作る設立時社員全員の分です。発行後3か月以内のものを使います。設立時社員が法人の場合は、その法人の登記事項証明書と代表者の印鑑証明書を提出します。
A. 事業活動に支配的な影響力を持つ個人がいればその人、いなければ代表理事です(犯収法施行規則11条2項3号ロ・4号)。申告は公証人法施行規則46条1項に基づきます。
A. 頼めます(公証人法32条1項)。委任状に実印を押し、委任する人の印鑑登録証明書を付けます。代理人も本人確認書類を持参します。
A. 認証手数料は5万円です(公証人手数料令35条3号)。紙の定款では謄本の手数料が1枚250円かかります(同令40条2項)。一般社団法人の定款に収入印紙は不要です。
A. 日本公証人連合会によると、2024年3月1日から電子定款の認証はウェブ会議で行うのが原則です。紙の定款の認証ではウェブ会議は使えません。
A. 受けられません。主たる事務所の所在地を管轄する法務局・地方法務局に所属する公証人が扱います(公証人法57条)。
📖 参考にした公的機関の情報


