NPO法人の運営で、役員が途中で辞める場面があります。
逆に、辞めてもらいたい場合もあります。
どちらも、手続きを踏む必要があります。
この記事では、辞任と解任を解説します。
辞任と解任は別のもの
まず、言葉を分けて考えます。
辞任は、本人が辞める意思を示すものです。
団体は、基本的に止められません。
解任は、団体の側から地位を失わせるものです。
こちらは、手続きが厳格になります。
任期の満了とも、区別します。
任期が来て退くのは、辞任ではありません。
改選の手続きに、なります。
どの場面かを、はっきりさせましょう。
辞任の申し出があったら
辞任は、本人の意思で行われます。
第一に、書面で受けます。
口頭だけだと、時期が曖昧になります。
第二に、辞任する日を確認します。
第三に、定款の定めを確認します。
手続きを定めている場合が、あります。
第四に、理事会や総会に報告します。
第五に、記録に残します。
慰留するかどうかは、別の話です。
手続きとしては、意思表示で足ります。
| 場面 | 根拠 | 主な手続き |
|---|---|---|
| 辞任 | 本人の意思 | 書面で受ける・登記と届出 |
| 任期の満了 | 定款の任期 | 改選の議決・登記と届出 |
| 解任 | 定款の定め | 定款の要件に従う・弁明の機会 |
| 資格の喪失 | 法令や定款の欠格事由 | 該当の確認・記録 |
| 死亡 | 事実の発生 | 登記と届出 |
| 欠員 | 上記の結果 | 速やかに補充する |
定数を割らないか確認する
辞任で、まず確認すべき点です。
NPO法人には、役員の定数があります。
理事は3人以上、監事は1人以上です。
定款で、さらに多く定めている場合もあります。
第一に、辞任後の人数を数えます。
第二に、定数を割るかを確かめます。
第三に、割るなら補充が必要です。
第四に、補充までの間の扱いを確認します。
第五に、総会の日程も調整します。
定数を割ったまま放置すると、問題になります。
- 書面で意思を受けたか
- 辞任する日を確認したか
- 定款の手続きの定めを見たか
- 辞任後の人数が定数を満たすか
- 補充が必要か
- 代表権のある理事か
- 登記が必要か(期限あり)
- 所轄庁への届出が必要か
- 議事録に記録したか
- 引き継ぎの手配をしたか
登記と届出の期限
役員が変われば、手続きが生じます。
第一に、代表権のある理事は登記事項です。
変更があれば、登記が必要になります。
第二に、登記には期限があります。
第三に、所轄庁への届出も生じます。
役員の変更の届出です。
第四に、必要な書類を確認します。
名簿や、就任承諾書などです。
第五に、期限を過ぎないよう管理します。
登記の手続きは、司法書士が取り扱う業務です。
解任には定款の定めが要る
解任は、辞任より格段に難しくなります。
第一に、定款に定めがあるかを確認します。
定めがなければ、行えません。
第二に、要件を確認します。
職務の遂行に堪えない場合、といった定めです。
第三に、議決の要件も定款によります。
重い多数を求める定款が、多く見られます。
第四に、決める機関を確認します。
総会とする定款が、一般的です。
定款を読まずに進めないでください。
弁明の機会
解任の手続きで、欠かせない点があります。
本人に、弁明の機会を与えることです。
第一に、定款に定めがある場合が多くあります。
第二に、定めがなくても与えるのが安全です。
第三に、事前に理由を伝えます。
第四に、意見を述べる場を設けます。
第五に、その経過を記録に残します。
手続きを欠くと、決議が争われます。
結論が同じでも、過程が問われます。
急がず、順序を守りましょう。
解任を考える前に
解任は、最後の手段です。
その前に、できることがあります。
第一に、事情を聞きます。
事情があって動けない場合が、あります。
第二に、役割を軽くする方法を探します。
第三に、辞任を打診する方法もあります。
本人が辞任すれば、手続きは簡単です。
第四に、任期の満了を待つ選択もあります。
任期は、2年以内です。
第五に、話し合いの記録は残します。
解任は、団体にも大きな負担を残します。
連絡が取れない役員
困る場面の一つが、これです。
第一に、記録の連絡先すべてに連絡します。
第二に、書面で送ります。
第三に、送った記録を残します。
第四に、他の役員から接触を試みます。
第五に、それでも取れない場合の扱いを検討します。
定款の定めと、任期を確認しましょう。
任期が近いなら、満了を待つ選択もあります。
判断に迷う場合は、所轄庁に相談してください。
独断で名簿から外すことは、できません。
監事が辞める場合
監事の辞任にも、注意が要ります。
第一に、監事は1人以上必要です。
第二に、欠けたまま運営できません。
監査を、受けられなくなるためです。
第三に、決算の承認に影響します。
第四に、補充を急ぎます。
第五に、理事との兼任はできません。
親族の制限も、確認しましょう。
監事のなり手は、見つけにくいものです。
日頃から、候補を考えておきましょう。
代表理事が辞める場合
代表理事の辞任は、影響が大きくなります。
第一に、登記が必要です。
第二に、後任を決める必要があります。
定款の定めに、従います。
第三に、口座の名義の変更が生じます。
第四に、契約の名義も確認します。
第五に、対外的な連絡先も切り替えます。
第六に、引き継ぎの時間を確保します。
辞める日を、手続きから逆算して決めましょう。
急に辞めると、団体が止まります。
欠員が生じたとき
定数を割った場合の対応です。
第一に、速やかに補充します。
第二に、総会での選任が原則です。
定款の定めを、確認してください。
第三に、臨時総会を開く場合もあります。
第四に、補充した役員の任期を確認します。
前任者の残りとする定款も、あります。
第五に、登記と届出を忘れないでください。
欠員のまま総会を開くと、後で問題になります。
定数は、常に満たしておくものです。
記録の残し方
辞任も解任も、記録が要ります。
第一に、辞任なら書面を保管します。
第二に、受けた日を記録します。
第三に、理事会や総会の議事録に書きます。
第四に、解任なら経過も詳しく残します。
弁明の機会を与えた事実も、書きます。
第五に、登記と届出の控えも綴じます。
後から手続きを問われる場面が、あります。
記録がなければ、説明できません。
面倒でも、その都度残しましょう。
辞めた後の関係
辞めた人との関係も、考えます。
第一に、会員として残る場合があります。
役員と会員は、別の立場です。
第二に、退会するかは本人の意思です。
第三に、引き継ぎに協力してもらいます。
第四に、感謝を伝えます。
第五に、悪い形で終わらせないことです。
地域が狭いほど、評判が伝わります。
辞めた人が、また関わることもあります。
扉は、開けておきましょう。
日頃からの備え
役員の交代は、必ず起こります。
第一に、任期を一覧にしておきます。
第二に、次の候補を考えておきます。
第三に、役割を一人に集中させません。
第四に、引き継ぎの資料を作っておきます。
第五に、定款の定めを確認しておきます。
起きてから調べるのでは、遅くなります。
定数と任期は、毎年確認しましょう。
年間の予定に、入れておくことです。
任期の満了で退く場合
いちばん多いのが、任期の満了です。
第一に、任期は2年以内です。
定款で、定められています。
第二に、満了の時期を把握しておきます。
第三に、続けるかを事前に確認します。
総会の直前に聞くのでは、遅くなります。
第四に、退く人には後任を相談します。
第五に、改選の議案を用意します。
第六に、登記と届出も生じます。
再任の場合も、手続きは必要です。
任期の管理を、怠らないでください。
欠格事由に当たる場合
法令上、役員になれない場合があります。
欠格事由と呼ばれるものです。
第一に、就任の時に確認します。
第二に、在任中に該当することもあります。
第三に、該当すれば役員の地位を失います。
第四に、事実を確認して記録します。
第五に、欠員となるなら補充します。
第六に、登記と届出も確認します。
判断に迷う場合は、所轄庁に相談しましょう。
該当するかどうかを、独断で決めないことです。
複数が同時に辞めるとき
一度に何人も辞める事態も、起こります。
方針の対立が、背景にある場合が多くあります。
第一に、定数を必ず数えます。
第二に、割るなら補充を急ぎます。
第三に、臨時総会の開催を検討します。
第四に、残る役員で役割を分け直します。
第五に、会員への説明も考えます。
第六に、外部への影響も見ます。
事情を伏せたままだと、憶測が広がります。
事実だけを、簡潔に伝えましょう。
役員の辞任と解任のまとめ
辞任は本人の意思、解任は団体の意思による点が違います。
辞任は書面で受け、辞任する日を確認してください。
辞任後の人数が、定数を満たすかを必ず数えます。
理事3人以上、監事1人以上が必要です。
代表権のある理事なら、登記が必要になります。
所轄庁への届出も、期限内に行いましょう。
解任は、定款に定めがなければ行えません。
要件も議決も定款によるため、必ず読んでから進めます。
本人に弁明の機会を与え、その経過を記録に残してください。
解任の前に、事情を聞く・役割を軽くする・任期の満了を待つ道もあります。
任期は2年以内です。満了の時期を把握し、続けるかを事前に確認しましょう。
欠格事由に当たるかどうかは独断で決めず、所轄庁に相談してください。
複数が同時に辞めるときは、定数を数え、事実だけを簡潔に会員へ伝えます。
任期の一覧を作り、次の候補を日頃から考えておきましょう。
よくある質問
A. 基本的に止められません。辞任は本人の意思によるものです。慰留するかは別の話で、手続きとしては意思表示で足ります。書面で受け、辞任する日を確認してください。
A. 速やかに補充します。理事は3人以上、監事は1人以上必要です。定款でさらに多く定めている場合もあります。定数を割ったまま放置すると問題になります。
A. 定款に定めがなければ行えません。定めがある場合も、要件と議決の方法は定款によります。重い多数を求める定款が多く見られます。まず定款を読んでください。
A. 定款に定めがある場合が多く、定めがなくても与えるのが安全です。事前に理由を伝え、意見を述べる場を設け、経過を記録に残してください。手続きを欠くと決議が争われます。
A. 記録の連絡先すべてに連絡し、書面で送って記録を残します。独断で名簿から外すことはできません。任期が近いなら満了を待つ選択もあります。判断に迷うなら所轄庁に相談してください。
A. 代表権のある理事の変更は登記事項で、期限があります。所轄庁への届出も必要です。登記の手続きは、司法書士が取り扱う業務です。
A. 役員と会員は別の立場です。役員を辞めても、会員として残ることができます。退会するかどうかは本人の意思によります。
本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。
- 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。
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