結論から申し上げます。任意団体の総会議事録に、法律で決まった様式はありません。
それでも、書く項目はほぼ共通です。日時・場所・出席者数・成立の確認・議長・議案ごとの結果・署名がそろっていれば、後で困ることはまずありません。
議事録は、決めたことの証拠です。銀行口座の名義変更や、市町村への申請で提出を求められることもあります。
この記事では、書く項目、テンプレート、記入例、署名、保管、よくある間違いまでを順に説明します。
総会議事録は何のために作るのか
議事録の役目は、「いつ、誰が集まって、何を決めたか」を後から確かめられるようにすることです。
役員が交代したとき、前の年に何が決まっていたかを確かめる手がかりは議事録しかありません。
会費の額、会則の変更、役員の選任など、会員の権利や負担にかかわる決定ほど、議事録の重みが増します。
また、外部の手続でも使われます。銀行で団体の口座を作るときや代表者を変えるときには、会則と、代表者を決めた議事録の提出を求められるのが一般的です。
自治会が認可地縁団体の認可を申請するときは、認可を申請することについて総会で議決したことを証する書類と、申請者が代表者であることを証する書類を添えます(地方自治法施行規則18条1項2号・5号)。議事録の写しがこれに当たることが多くあります。
総会議事録に書く10項目
次の10項目を押さえておけば、どの団体の総会でも足ります。
| 項目 | 書き方の例 | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 会議の名称 | 令和〇年度 〇〇会 定期総会 | 定期か臨時かを書く |
| 2. 日時 | 令和〇年4月〇日(日)午前10時00分〜11時30分 | 開会と閉会の時刻 |
| 3. 場所 | 〇〇集会所 | オンライン併用ならその旨 |
| 4. 会員数と出席者数 | 会員数45名、出席20名、委任状15名、計35名 | 委任状・書面表決を分けて書く |
| 5. 成立の確認 | 会則第〇条の定足数を満たし成立 | 会則の条番号を書く |
| 6. 議長 | 会員の互選により〇〇〇〇を議長に選出 | 選び方も書く |
| 7. 議案と結果 | 第1号議案 〇〇の件 賛成多数で承認 | 議案ごとに結果を書く |
| 8. 主な質疑 | 〇〇について質問があり、会計が回答した | 要点だけでよい |
| 9. 閉会 | 議長が閉会を宣言した | 時刻とともに |
| 10. 作成者・署名 | 議長・議事録署名人の署名 | 作成日も書く |
そのまま使える総会議事録のテンプレート(記入例)
以下は、会員45名の任意団体の定期総会を想定した記入例です。人数や金額は説明のための仮の数字です。
令和〇年度 〇〇会 定期総会議事録
1 日時 令和〇年4月〇日(日)午前10時00分から午前11時30分まで
2 場所 〇〇集会所
3 会員数 45名
4 出席者数 35名(本人出席20名、委任状15名)
5 成立の確認 会則第〇条に定める定足数(会員の過半数)を満たしており、本総会は有効に成立した。
6 議長の選出 会長〇〇〇〇が開会を宣言し、出席者の互選により〇〇〇〇を議長に選出した。
7 議事録署名人の選出 議長の指名により、〇〇〇〇及び〇〇〇〇を議事録署名人に選出した。
8 議事の経過及び結果
第1号議案 令和〇年度事業報告の件
会長から、別紙のとおり事業報告があった。議長が承認を諮ったところ、賛成34名、反対0名、保留1名で承認された。
第2号議案 令和〇年度会計報告及び監査報告の件
会計から別紙のとおり報告があり、会計監査から適正である旨の報告があった。会員から行事費の増加について質問があり、会計が参加者の増加によるものと回答した。議長が承認を諮ったところ、賛成33名、反対1名、保留1名で承認された。
第3号議案 令和〇年度事業計画案及び予算案の件
会長及び会計から別紙のとおり説明があった。議長が承認を諮ったところ、賛成35名で原案どおり承認された。
第4号議案 役員選任の件
議長が役員候補者を別紙のとおり諮ったところ、賛成35名で承認され、各被選任者は就任を承諾した。
9 閉会 以上をもって全ての議案の審議を終了し、議長は午前11時30分に閉会を宣言した。
上記の議事の経過及び結果を明らかにするため、この議事録を作成し、議長及び議事録署名人が署名する。
令和〇年4月〇日
議長 〇〇〇〇
議事録署名人 〇〇〇〇
議事録署名人 〇〇〇〇
記入例のポイント
出席者数は、本人出席と委任状を分けて書いています。委任状を出席に数えるかどうかは会則で決まるので、会則に合わせて書きます。
議案ごとに、誰が説明し、どんな質疑があり、何票で決まったかを書いています。
事業報告や会計報告の中身は、議事録に全部書き写す必要はありません。「別紙のとおり」として、総会資料を議事録に綴じておけば足ります。
役員選任の議案では、選ばれた人が就任を承諾したことを書いています。銀行で代表者を変えるときなどに、この一文が役に立ちます。
議事録署名人と署名のルール
誰が議事録に署名するかは、会則で決めます。会則に定めがなければ、総会で選ぶのが一般的です。
よくある形は、議長と、出席した会員の中から選んだ議事録署名人2名です。書いた人と別の人が内容を確かめて署名することで、議事録の信頼性が増します。
署名人は、総会の最初に選んでおきます。終わってから探すと、議事の中身を聞いていない人が署名することになりかねません。
署名の代わりに押印を求めるかどうかも、会則や団体の慣習で決まります。銀行などに提出する場合は、提出先から押印を求められることがあるので、先に確かめておきます。
議事録を作る手順と期限
議事録は、総会が終わったら記憶が新しいうちに作ります。
| 時期 | やること | 担当 |
|---|---|---|
| 総会の前 | テンプレートに日時・場所・議案を入れておく | 書記 |
| 総会の当日 | 出席者数・票数・質疑のメモを取る | 書記 |
| 総会後1週間以内 | 議事録の案を作る | 書記 |
| 総会後2週間以内 | 議長・署名人が内容を確かめて署名する | 議長・署名人 |
| 署名の後 | 原本を保管し、会員に周知する | 会長・書記 |
当日のメモの取り方
当日は、議事録の項目の順に書き込めるメモ用紙を用意しておくと楽です。
票数は、議長が採決のたびに読み上げるようにしておきます。書記が自分で数えるより確実です。
質疑は、発言をそのまま書き取る必要はありません。「誰が」「何について」質問し、「誰が」「どう答えたか」の要点だけを残します。
録音する場合は、総会の最初に出席者へ伝えておきます。録音は議事録を作るための補助で、議事録そのものの代わりにはなりません。
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保管と会員への周知
議事録の原本は、会則・会員名簿・会計の書類と一緒に、団体の書類として保管します。
任意団体の議事録の保存期間を定めた一般的な法律はありません。ただし、会則の変更や役員の選任、不動産や口座にかかわる決定の議事録は、期限を決めずに保管しておくのが安全です。
会員への周知は、総会に出られなかった会員のために大切です。要点を会報や回覧で知らせ、全文は希望する会員が閲覧できるようにしておきます。
個人の住所や電話番号など、会員の個人情報を議事録に書き込むことは避けます。周知のときに困らないようにするためです。
- 総会の招集通知
- 総会資料(事業報告・会計報告・監査報告・事業計画・予算案)
- 委任状・書面表決書
- 出席者の名簿(受付の記録)
- 役員の就任承諾書(ある場合)
臨時総会・役員会の議事録はどう書くか
臨時総会の議事録も、定期総会と同じ10項目で書きます。会議の名称を「臨時総会」とし、招集した理由(会員からの請求など)を一行書き添えます。
役員会の議事録は、総会ほど形式にこだわる必要はありません。それでも、出席した役員・決めたこと・次にやること(担当と期限)の3つは必ず残します。
役員会で決めたことを総会に報告する場合は、役員会の議事録が根拠になります。日付と決定事項が後から確かめられるようにしておきます。
書面決議・オンライン総会の議事録
集まらずに書面で賛否を集める「書面決議」や、オンラインで開く総会も増えています。
これらの方法がとれるかどうかは、会則の定めによります。会則にない方法で決めると、決議が有効かどうかで争いになるおそれがあります。
書面決議の議事録には、提案の内容・提案した日・書面を送った会員数・回答数・賛否の数・決議とみなした日を書き、回答の書面を綴じておきます。
オンライン併用の総会では、会場の出席者とオンラインの出席者を分けて数え、音声や映像が途切れずにやり取りできたことを一行書いておくと安心です。
よくある間違い
一つめは、成立の確認が書かれていないことです。定足数を満たしていたかがわからないと、決議が有効だったかを説明できません。
二つめは、議案の結果が「承認された」だけで、票数が書かれていないことです。特別な多数が必要な議案では、要件を満たしたかどうかが確かめられません。
三つめは、総会で修正された内容が反映されていないことです。予算案を修正して承認した場合は、修正した科目と額を議事録に書きます。
四つめは、議事録を作ったまま署名をもらっていないことです。署名のない議事録は、外部の手続で受け付けてもらえないことがあります。
法人の議事録との違い
一般社団法人やNPO法人の議事録は、法律や定款で記載事項や保存が決まっています。任意団体の議事録とは扱いが違います。
例えば一般社団法人の社員総会の議事録は、法律で作成と備え置きが求められ、記載する事項も法務省令で定められています。
任意団体から法人になる予定がある団体は、任意団体のうちから法人の議事録の書き方に近い形で作っておくと、移行のときに慌てずに済みます。法人の議事録の書き方は、別の記事で整理しています。
総会議事録についてよくある質問
A. 法律で決まった様式はありません。日時・場所・出席者数・成立の確認・議長・議案ごとの結果・署名がそろっていれば足ります。
A. 会則の定めによります。一般的には議長と、出席した会員から選んだ議事録署名人2名が署名します。
A. 会則で委任状による出席を認めていれば、定足数の計算に含めます。議事録には本人出席と委任状の人数を分けて書くと明確です。
A. 発言をそのまま書き取る必要はありません。誰が何について質問し、誰がどう答えたかの要点を残せば足ります。
A. 法律の期限はありません。記憶が新しいうちに、総会後1〜2週間で案を作り、署名まで済ませるのが目安です。
A. 任意団体の保存期間を定めた一般的な法律はありません。会則の変更、役員の選任、財産にかかわる決定の議事録は、期限を決めずに保管するのが安全です。
A. 銀行口座の開設や代表者の変更、認可地縁団体の認可申請(地方自治法施行規則18条1項)、補助金の申請などで、総会の決定や代表者を示す書類として求められることがあります。
📖 参考にした公的機関の情報


