NPO法人の活動報告には、二つの種類があります。
所轄庁へ提出する事業報告書と、会員や支援者へ届ける報告です。
目的が違うので、書き方も変えます。
この記事では、伝わる活動報告の作り方を解説します。
二つの報告を分ける
まず、目的の違いを押さえます。
事業報告書は、法律に基づく提出書類です。
所轄庁へ出し、一般にも公開されます。
事業ごとに、実施したことを淡々と書きます。
会員や支援者への報告は、これとは別です。
読んでもらい、納得してもらうためのものです。
同じ文章を使うと、どちらも中途半端になります。
事業報告書は硬く、支援者向けは伝わりやすく書きます。
内容が矛盾しないことだけ、確認しましょう。
| 報告の種類 | 相手 | 書き方の方針 |
|---|---|---|
| 事業報告書 | 所轄庁・一般 | 制度に沿って淡々と |
| 会報・年次報告 | 会員・支援者 | 写真と数字で分かりやすく |
| 寄付者への報告 | 寄付をした人 | 使いみちと成果を具体的に |
| 助成金の報告書 | 助成する団体 | 様式と要件に沿って |
| ウェブサイトの活動記録 | 一般・検索から来た人 | 継続して更新する |
数字を入れる
報告に説得力を持たせるのは、数字です。
活動を頑張りました、では伝わりません。
何回開いたか、何人が参加したかを書きます。
延べ人数と、実人数を分けると正確になります。
前年と比べた変化も、有効です。
増えていなくても、書いて差し支えありません。
正直な数字のほうが、信頼されます。
数えていないと、書けません。
活動のたびに、記録する習慣をつけましょう。
場面を書く
数字だけでは、心に残りません。
具体的な場面を、一つでも入れましょう。
参加した人の言葉が、いちばん強く伝わります。
本人の許可を得たうえで、載せます。
個人が特定されない形にする配慮も必要です。
写真も、同じ効果があります。
撮影と掲載の可否を、必ず確認します。
子どもが写る場合は、保護者の意向を聞きます。
数字と場面の両方があると、報告が立体的になります。
- 実施した回数と参加した人数
- 前年との比較
- 具体的な場面や参加者の声
- 写真(許可を得たもの)
- うまくいかなかったこと
- 協力してくれた人や団体への謝辞
- 収支の概要
- 次の一年の予定
- 会員になる・寄付する・参加するための入口
- 連絡先とウェブサイトの場所
うまくいかなかったことも書く
報告に、良いことだけを並べないでください。
課題や、届かなかった目標も書きます。
正直な報告は、信頼を生みます。
順調ですとだけ書く団体は、かえって疑われます。
ただし、言い訳の羅列にはしません。
何が難しかったか、次にどうするかを書きます。
支援を求める根拠にも、なります。
人手が足りないと書けば、手を挙げる人が出ます。
弱さを見せることが、関わりを増やすこともあります。
お金のことを書く
報告には、収支の概要も入れましょう。
会費や寄付が、何に使われたかを示します。
細かい決算書を、そのまま載せる必要はありません。
大きな項目だけ、円グラフなどで示します。
詳細は、事業報告書等で公開している旨を書きます。
使いみちが見えると、次の支援につながります。
逆に、まったく触れないと不信を招きます。
会計の具体的な処理は、専門家に相談してください。
報告の書き方としては、概要で足ります。
届ける方法を選ぶ
報告は、届かなければ意味がありません。
第一が、紙の会報です。
手元に残り、高齢の支援者にも届きます。
一方、印刷と郵送の費用がかかります。
第二が、電子メールです。
費用がかからず、すぐ届きます。
第三が、ウェブサイトへの掲載です。
検索から新しい人に届く可能性があります。
第四が、交流サイトへの投稿です。
相手に応じて、複数を組み合わせましょう。
頻度を決める
報告は、続けることが大切です。
年一回の年次報告は、最低限です。
それだけだと、間が空きすぎます。
季節ごとの短い便りを、加えるとよいでしょう。
年4回なら、負担も現実的です。
毎月出そうとすると、たいてい続きません。
続けられる頻度を、先に決めます。
発行の時期を、年間の予定表に入れましょう。
出さない月があっても、責める必要はありません。
年次報告書という形
一年をまとめた冊子を作る団体もあります。
年次報告書や、アニュアルレポートと呼ばれます。
活動の全体像を、一冊で示せます。
助成金の申請や、協働の相談で使えます。
新しい会員への説明にも、役立ちます。
費用はかかりますが、長く使える資料になります。
印刷せず、電子版だけにする方法もあります。
構成は、目的、活動、収支、今後の順が基本です。
毎年同じ型にしておくと、作りやすくなります。
ウェブサイトに残す
報告を、ウェブサイトにも載せましょう。
会員以外の人にも、届く形になります。
過去の分を残しておくと、実績の証明になります。
助成金の申請で、参照を求められることもあります。
検索から、新しい支援者が来る可能性もあります。
写真と一緒に載せると、読まれやすくなります。
更新が止まっているサイトは、活動も止まって見えます。
短くてもよいので、続けることが大切です。
年間の予定表に、更新の時期を入れましょう。
個人情報への配慮
報告には、人が登場します。
氏名を出す場合は、必ず本人の許可を得ます。
写真も、同じです。
許可を得た範囲を、記録しておきましょう。
掲載後に削除を求められたら、速やかに応じます。
過去の記事に残っているものも、対象です。
寄付者の氏名を載せる場合も、事前に確認します。
匿名を希望する人が、必ずいます。
確認の手順を、決めておくと安心です。
書く担当を決める
報告は、誰かが書かなければ出ません。
担当を、決めておきましょう。
一人で全部書く必要は、ありません。
事業ごとに、担当者が短く書く形もあります。
それを、まとめる人がいれば足ります。
締切を決めて、声をかけます。
書くのが苦手な人には、聞き取る方法もあります。
話してもらい、こちらで文章にします。
担当が代わっても続くよう、型を残しましょう。
読まれる長さにする
報告は、長ければよいものではありません。
会報なら、A4で2枚から4枚が現実的です。
文字が詰まっていると、読まれません。
見出しを付けて、区切りを作ります。
写真を入れて、余白を残します。
一つの記事は、短くまとめます。
詳しく書きたいことは、ウェブサイトに載せます。
会報からそちらへ誘導する形が、効率的です。
読み切れる量にすることが、届ける第一歩です。
伝える相手を意識する
同じ報告でも、読む人によって受け取り方が違います。
会員は、団体の内側を知っています。
専門の用語も、ある程度は通じます。
一方、寄付をしただけの人は違います。
団体の名前と、活動の概要しか知りません。
略称や内輪の言い回しは、避けましょう。
初めて読む人にも分かる形にします。
前提を一行添えるだけで、伝わり方が変わります。
誰に向けて書いているかを、最初に決めてください。
次につなげる一文
報告の終わりに、次の行動を書きましょう。
会員になる、寄付をする、活動に参加するといった選択肢です。
報告を読んだ直後が、いちばん動きやすい瞬間です。
そこに入口がなければ、関心は流れて消えます。
押しつけがましくする必要は、ありません。
一緒に活動しませんか、という一文で足ります。
連絡先と、申し込みの方法を添えます。
ウェブサイトの場所も、書いておきます。
報告と入口を、必ず一組にしてください。
写真の集め方
報告に使う写真は、その場でしか撮れません。
活動のたびに、撮る担当を決めましょう。
難しく考える必要は、ありません。
手元の電話機で十分です。
人の顔が写らない構図も、いくつか撮っておきます。
許可が取れなかった場合に、使えます。
撮った写真は、活動ごとにまとめて保存します。
日付と場所が分かる形にしておきましょう。
報告を書く段階で探し回るのが、いちばん時間を食います。
整理までを、その日のうちに済ませてください。
報告を資産にする
書いた報告は、その場限りのものではありません。
助成金の申請で、実績として使えます。
協働の相談でも、資料になります。
新しい役員や職員への説明にも、役立ちます。
数年分をまとめれば、団体の歴史になります。
毎年の報告を、同じ場所に保存しましょう。
紙と電子の両方で、残しておきます。
担当が代わっても、探せる形にします。
過去の報告があること自体が、信用の裏づけになります。
書き出しでつまずかない
報告を書けない理由の多くは、書き出しにあります。
立派な文章を書こうとして、止まってしまうのです。
まず、事実を箇条書きにしましょう。
いつ、どこで、何を、何人でと並べます。
それを、文章に直していきます。
順番は、時系列でかまいません。
凝った構成にする必要は、ありません。
書き終えてから、写真と見出しを入れます。
完璧を目指すより、出すことを優先してください。
出さない報告に、価値はありません。
活動報告の書き方のまとめ
所轄庁への事業報告書と、支援者への報告は目的が違います。
同じ文章を使い回すと、どちらも中途半端になります。
支援者向けには、数字と具体的な場面を組み合わせます。
参加した人の言葉と写真が、いちばん強く伝わります。
うまくいかなかったことも、正直に書きましょう。
収支の概要を入れると、次の支援につながります。
続けられる頻度を先に決め、年間の予定表に入れてください。
氏名や写真は、必ず本人の許可を得てから載せましょう。
会報はA4で2枚から4枚が現実的で、詳細はウェブサイトへ誘導します。
寄付をしただけの人にも分かるよう、内輪の言い回しは避けてください。
報告の終わりには、次の行動への入口を必ず添えます。
写真は活動のたびに撮る担当を決め、その日のうちに整理しましょう。
数年分をまとめれば、団体の歴史そのものが資産になります。
書き出しで止まるなら、まず事実を箇条書きにしてください。
完璧を目指すより、出すことを優先しましょう。
出さない報告に、価値はありません。
よくある質問
A. いけません。事業報告書は制度上の記録、支援者への報告は理解と共感のためのものです。同じ文章を使い回すと、どちらも中途半端になります。
A. 数字と具体的な場面の組み合わせです。何回開き何人が参加したかに加えて、参加した人の言葉を一つでも入れると、報告が立体的になります。
A. 書いてください。順調ですとだけ書く団体は、かえって疑われます。何が難しかったか、次にどうするかまで書けば、支援を求める根拠にもなります。
A. 収支の概要で足ります。大きな項目だけ示し、詳細は事業報告書等で公開している旨を書きます。まったく触れないと不信を招きます。
A. 年一回の年次報告が最低限で、季節ごとの短い便りを加えると間が空きません。年4回なら負担も現実的です。毎月出そうとすると、たいてい続きません。続けられる頻度を先に決めてください。
A. 必ず本人の許可を得てください。子どもが写る場合は保護者の意向も聞きます。掲載後に削除を求められたら、過去の記事も含めて速やかに応じましょう。
📖 参考にした公的機関の情報


