NPO法人には、理事3人以上と監事1人以上を置かなければなりません。
理事と監事は兼任できないため、最低でも4人の役員が必要です。
さらに、報酬や親族の人数にも制限があります。
この記事では、役員の人数、任期、職務、選び方までまとめて解説します。
NPO法人の役員は理事と監事
NPO法人の役員は、理事と監事の2種類です。
理事は、法人の業務を執行する役割を担います。
監事は、理事の業務執行と法人の財産の状況を監査する役割です。
理事は3人以上、監事は1人以上を置かなければなりません。
監事は、理事または法人の職員を兼ねることができません。
独立した立場でチェックする役割だからです。
したがって、最低でも4人の役員が必要になります。
社員10人のなかから役員を選ぶことは可能です。
設立時には、この4人を確実に確保しておきましょう。
理事の職務と代表権
理事は、法人の業務を執行します。
法律上は、理事の全員が法人を代表するのが原則です。
ただし、定款によって代表権を制限することができます。
実務では、理事長など特定の理事だけが代表するよう定めるのが一般的です。
この代表権の有無や制限は、登記される事項になります。
代表権を持つ理事が変わったら、2週間以内に登記しなければなりません。
登記を怠ると、過料の対象になることがあります。
理事の役職名は、理事長、副理事長、常務理事などを定款で定めます。
対外的な契約は、代表権のある理事の名で行います。
監事の職務
監事の職務は、法律で定められています。
第1に、理事の業務執行の状況を監査することです。
第2に、法人の財産の状況を監査することです。
監査の結果、不正な行為や法令違反があれば、総会または所轄庁に報告します。
その報告のために必要があるときは、総会を招集することもできます。
また、理事に対して意見を述べることもできます。
毎年の決算では、監事が監査を行い、監査報告を作成します。
通帳と帳簿の突合など、最低限の手続きは実際に行ってもらいましょう。
形だけの監事では、この制度の意味がありません。
| 項目 | 理事 | 監事 |
|---|---|---|
| 人数 | 3人以上 | 1人以上 |
| 職務 | 業務の執行 | 業務執行と財産の監査 |
| 兼任 | 監事は兼ねられない | 理事・職員を兼ねられない |
| 代表権 | 定款で制限可(理事長のみが通例) | なし |
| 登記 | 代表権を持つ者を登記 | 登記されない |
| 任期 | 2年以内(再任可) | 2年以内(再任可) |
| 総会での選任 | 必要 | 必要 |
役員の任期は2年以内
役員の任期は、2年以内で定款に定めます。
2年を超える任期を定めることはできません。
再任は可能なので、同じ人が続けることに問題はありません。
任期満了で再任した場合も、重任の登記が必要です。
この登記を忘れる団体が非常に多いので注意してください。
登記を怠ると、過料が科されることがあります。
任期は2年ごとに必ず来るので、カレンダーに登録しておきましょう。
定款で、任期の満了後も後任が就任するまで職務を行う旨を定めることもできます。
この定めがあると、選任が遅れたときの空白を避けられます。
報酬を受けられるのは3分の1以下
役員に報酬を払うことはできますが、人数に制限があります。
報酬を受ける役員は、役員総数の3分の1以下でなければなりません。
役員が4人なら1人まで、6人なら2人まで、9人なら3人までです。
この制限は、法人の運営が特定の人の利益になることを防ぐための規定です。
ここでいう報酬は、役員としての職務に対する報酬を指します。
理事が職員として実際に働いている分の給与は、別に支払えます。
ただし、勤務実態がなければ実質的な報酬とみなされる可能性があります。
勤務時間を記録し、給与規程にもとづいて支給する体制を整えましょう。
役員名簿には、報酬の有無を記載して毎年公開されます。
親族に関する制限
役員の構成には、親族に関する制限もあります。
ある役員について、その配偶者や3親等以内の親族が1人を超えて含まれてはなりません。
さらに、その役員本人と配偶者、3親等以内の親族の合計が、役員総数の3分の1を超えてもいけません。
この計算をすると、役員が4人以下の場合は親族を入れられないことになります。
役員が6人いれば、本人と親族1人の合計2人までが認められます。
家族だけで運営する形は、そもそも想定されていないということです。
設立の段階で、家族以外のメンバーを集めておく必要があります。
一般社団法人には、この親族制限がありません。
家族中心で始めたいなら、一般社団法人のほうが向いています。
- 理事3人以上・監事1人以上(兼任不可)
- 任期は2年以内・再任可
- 報酬を受ける役員は役員総数の3分の1以下
- ある役員の配偶者・3親等以内の親族は1人を超えて含められない
- 役員本人と親族の合計が役員総数の3分の1を超えてはならない
- 欠格事由に該当する者は就任できない
役員の欠格事由
一定の事情がある人は、役員になることができません。
成年被後見人または被保佐人は、就任できません。
破産手続開始の決定を受けて復権していない人も対象です。
禁錮以上の刑に処せられ、執行を終えていない人も就任できません。
特定非営利活動促進法や暴力団に関する法律に違反して罰金刑を受けた人も同様です。
暴力団員、または暴力団員でなくなってから5年を経過していない人も就任できません。
設立の認証を取り消された法人の役員だった人にも、期間の制限があります。
これらに該当しないことを、就任時に誓約書で申し出ます。
理事会は必須ではない
意外に思われますが、法律はNPO法人に理事会の設置を義務づけていません。
株式会社の取締役会のような法定の機関ではないのです。
ただし、実務ではほとんどの団体が定款で理事会を設置しています。
日常の意思決定を、そのつど総会にかけるのは現実的でないからです。
定款で理事会を置く場合は、その権限と運営方法を定めます。
総会の決議事項と理事会の決議事項を、明確に分けておきましょう。
重要な事項は総会、日常の業務執行は理事会という整理が一般的です。
理事会の議事録も、作成して保管しておきます。
役員が変わったときの手続き
役員に変更があったら、所轄庁へ役員変更届出書を提出します。
就任した役員については、就任承諾書と誓約書、住所を証する書面も添えます。
退任した役員については、退任した旨を届け出ます。
代表権を持つ理事が変わった場合は、法務局への登記も必要です。
登記は、変更から2週間以内に行わなければなりません。
任期満了で再任した場合も、重任の登記が必要です。
登記事項証明書を取得して、所轄庁への届出に添えることもあります。
手続きが二重になるので、忘れないよう手順書を作っておくと確実です。
役員の選び方
役員を選ぶときは、肩書きより実際に動ける人かどうかを見ましょう。
名前だけの役員が増えると、総会や理事会が成立しなくなります。
理事には、事業を回せる人と、事務や会計が分かる人を入れると安定します。
外部の視点を持つ人を1人入れておくと、判断が偏りにくくなります。
監事には、会計の知識がある人が望ましいと言えます。
税理士や会計に詳しい人に依頼できると理想的です。
難しければ、帳簿を確認する姿勢のある人であれば構いません。
報酬を受けられるのは3分の1以下なので、無報酬で協力してくれる人が必要です。
設立前から、この点を説明して合意を得ておきましょう。
役員のなり手がいないとき
役員のなり手が見つからないという相談は少なくありません。
まず、役員の仕事の範囲を具体的に説明することが有効です。
責任が重そうという漠然とした不安が、断られる理由の多くを占めます。
理事の定数を、実態に合わせて見直すことも検討しましょう。
定数が多すぎると、欠員が出るたびに補充の義務が生じます。
定款の定数を何人以上何人以内という幅のある形にしておくと運用しやすくなります。
会員のなかから、活動に積極的な人に声をかけるのが基本です。
中間支援組織や社会福祉協議会に相談すると、人を紹介してもらえることもあります。
どうしても集まらないなら、一般社団法人への切り替えも視野に入ります。
役員の責任
役員は、法人に対して善良な管理者としての注意義務を負います。
職務を怠って法人に損害を与えた場合、賠償責任を負うことがあります。
第三者に損害を与えた場合も、悪意または重大な過失があれば責任を負い得ます。
ただし、通常の業務判断で結果的に失敗しただけでは、責任は問われにくいものです。
重要なのは、意思決定の過程を記録に残しておくことです。
理事会や総会の議事録は、そのための証拠になります。
会計の透明性を保つことも、役員自身を守る仕組みです。
不安がある場合は、役員賠償責任保険という選択肢もあります。
役員名簿と情報公開
役員の氏名と住所は、役員名簿として所轄庁へ提出します。
毎年の事業報告書等でも、年間役員名簿を提出します。
その事業年度に在任していた役員を全員記載する形式です。
報酬を受けたかどうかも、名簿に記載されます。
これらの書類は、所轄庁を通じて一般に公開されます。
個人の住所が公開されることに、抵抗を感じる人もいます。
就任を依頼するときは、この点をあらかじめ説明しておきましょう。
説明せずに就任してもらうと、後でトラブルになることがあります。
公開されることを前提に、引き受けてくれる人を探すことが大切です。
理事・監事のまとめ
NPO法人の役員は、理事3人以上と監事1人以上です。
監事は理事や職員を兼ねられないため、最低4人が必要になります。
任期は2年以内で、再任した場合も重任の登記が必要です。
報酬を受ける役員は、役員総数の3分の1以下に制限されます。
親族についても人数の制限があり、家族だけの運営はできません。
理事会は法律上の必須機関ではありませんが、定款で置くのが一般的です。
役員が変わったら、所轄庁への届出と法務局への登記を忘れないでください。
よくある質問
A. 理事3人以上と監事1人以上で、監事は理事や職員を兼ねられないため、最低4人が必要です。社員10人のなかから選ぶことはできます。
A. できません。監事は理事の業務執行を監査する立場なので、理事や法人の職員を兼ねることが禁じられています。
A. なれません。ある役員の配偶者や3親等以内の親族は1人を超えて含められず、本人と親族の合計が役員総数の3分の1を超えてもいけません。役員4人以下では親族を入れられない計算になります。
A. 払えません。報酬を受ける役員は役員総数の3分の1以下です。ただし、理事が職員として実際に働いた分の給与は、この制限とは別に支払えます。
A. 総会で選任し直します。同じ人が再任される場合も、法務局で重任の登記が必要です。登記を怠ると過料の対象になることがあります。
A. 法律上の義務ではありません。ただし日常の意思決定を総会だけで行うのは現実的でないため、ほとんどの団体が定款で理事会を設置しています。
📖 参考にした公的機関の情報


