一般社団法人を設立するとき、最初に作成するのが『定款』です。
定款は法人の運営ルールを定めたいわば法人の『憲法』で、公証役場での認証が必要になります。
この記事では、一般社団法人の定款に必ず書くべき項目(絶対的記載事項)と、書いておくべき項目を、記載例とともに解説します。
定款の3種類の記載事項
| 種類 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 絶対的記載事項 | 必ず書く。欠けると定款全体が無効 | 名称・目的・所在地など |
| 相対的記載事項 | 書かないと効力が生じない事項 | 理事会の設置・基金の定めなど |
| 任意的記載事項 | 任意で書ける事項 | 事業年度・役員の人数など |
絶対的記載事項【必ず書く7項目】
一般社団法人の定款で、必ず記載しなければならないのは次の7項目です。
- 目的(どんな事業を行うか)
- 名称(『一般社団法人』を含む)
- 主たる事務所の所在地
- 設立時社員の氏名・住所
- 社員の資格の得喪に関する規定
- 公告の方法
- 事業年度
1つでも欠けると定款認証を受けられず、設立できません。
特に『目的』は、法人が行う事業の範囲を定める重要な項目です。
将来やる可能性のある事業も含めて、幅広く記載しておくのが一般的です。
記載例:名称と目的
第3条 当法人は、次の事業を行う。
(1) ○○に関する調査研究
(2) ○○に関するセミナー・講演会の開催
(3) 前各号に附帯または関連する一切の事業
書いておくと安心な項目
絶対的記載事項以外にも、運営をスムーズにするために定めておくとよい項目があります。
- ✅ 理事の人数・任期
- ✅ 理事会・監事を置くかどうか
- ✅ 社員総会の招集方法・決議要件
- ✅ 会費に関する定め
- ✅ 基金を引き受ける場合の定め
- ✅ 残余財産の帰属(非営利型を目指すなら必須)
特に非営利型を目指す場合は、残余財産の帰属先を定款に定める必要があります。
これがないと非営利型の要件を満たせず、税制優遇を受けられません。
定款認証の流れ
作成した定款は、公証役場で認証を受けます。
事前に公証人に内容をチェックしてもらい、修正したうえで認証日を予約するのが一般的な流れです。
電子定款にすれば収入印紙代4万円が不要になります。
詳しくは定款認証の記事をご覧ください。
定款作成でやりがちな間違い
定款は一度認証を受けると、変更に社員総会の決議と登記が必要になります。
そのため、作成時のちょっとした見落としが、後々の手間とコストにつながります。
特に多いのが『目的』を狭く書きすぎる失敗です。
設立時の事業だけを書いてしまうと、新しい事業を始めるたびに定款変更が必要になります。
将来の展開も見据えて、関連する事業を幅広く記載し、最後に『前各号に附帯または関連する一切の事業』と入れておくのが定石です。
非営利型を目指すなら定款が決め手
税制優遇のある非営利型を目指すなら、定款の内容が決定的に重要です。
具体的には、剰余金を分配しない旨と、解散時の残余財産を国・公益法人等に帰属させる旨を定款に明記する必要があります。
この記載が抜けていると、どれだけ非営利的に運営していても税務上は『普通型(全所得課税)』として扱われてしまいます。
設立後に気づいて定款を変更するのは手間がかかるため、最初から非営利型の要件を盛り込んでおくことが大切です。
よくある質問
A. 作れます。法務省や公証役場のひな形を参考にすれば個人でも作成可能です。ただし目的の書き方や非営利型の要件など専門的な判断が必要な場面もあります。
A. 公証人手数料が約3〜5万円かかります。電子定款にすれば収入印紙代4万円は不要です。
A. 社員総会の特別決議で変更できますが、変更登記が必要で費用もかかります。設立時に幅広く定めておくのがおすすめです。
まとめ
定款は一般社団法人の運営ルールを定める最重要書類です。
絶対的記載事項7項目を必ず押さえ、非営利型を目指すなら残余財産の帰属も定めましょう。
電子定款にすれば印紙代4万円を節約できます。
目的は将来の事業も見据えて幅広く記載しておくのがコツです。


