結論から申し上げます。広報誌づくりは、年度の初めに「年何回・何月に・何を載せるか」の年間計画を決め、1号ごとに発行日から逆算して動くと、ぐっと楽になります。
あわせて大切なのが、写真や名前を載せるときの本人の同意です。個人情報保護委員会は、自治会や同窓会のような団体にも個人情報保護法が適用されると説明しています。
この記事では、年間計画、1号ができるまでの流れ、紙面レイアウトの基本、写真と個人情報・著作権の注意、印刷と配布、ホームページやSNSとの使い分けを説明します。年間発行計画と写真掲載の同意書のWordひな形も用意しました。
まず決める ― 年間の発行計画
年度の初めの広報部会で、次のことを決めておきます。
一つめは、発行の回数と月です。年3〜4回、行事のあとに合わせて発行する団体が多いです。毎月出すより、回数を絞って中身を充実させる方が続けやすくなります。
二つめは、体裁と部数です。A4で1〜2ページか、A3を二つ折りにして4ページにするかを決め、会員数や配布先から部数を決めます。
三つめは、各号の主な記事です。総会の報告、行事の報告と予定、防災の情報、会計の報告など、時期に合わせて割り振ります。
四つめは、担当です。号ごとに編集の担当を決めておくと、一人に負担が集中しません。
| 号 | 発行の時期(例) | 主な記事(例) |
|---|---|---|
| 第1号 | 5〜6月 | 総会の報告・新役員の紹介・年間行事予定 |
| 第2号 | 8〜9月 | 夏祭りの報告・防災訓練のお知らせ |
| 第3号 | 12月 | 防災訓練の報告・年末年始のお知らせ |
| 第4号 | 3月 | 1年のまとめ・会計の中間報告・次年度の予定 |
1号ができるまでの流れ
1号ごとに、発行日から逆算して6週間ほどの流れで進めると、余裕をもって作れます。
6週間前に編集会議を開き、載せる記事、写真、担当を決めます。5週間前に取材と写真の撮影をし、写真や名前を載せる人から同意をもらいます。
3週間前を原稿の締切にします。2週間前にレイアウトと校正をし、名前・日付・数字の誤りがないかを、複数の人で確かめます。
1週間前に印刷を手配し、発行日に配布・掲示・ホームページへの掲載をします。

紙面レイアウトの基本
読まれる紙面にするには、いちばん伝えたいことを1つ決めて、大きく載せるのが基本です。
題字(広報誌の名前)と号数・発行日は、毎号同じ位置に置きます。トップ記事は見出しと写真1枚、短い文章でまとめます。
お知らせは、日時・場所・持ち物などを箇条書きにすると読みやすくなります。文字を詰め込みすぎず、余白を残すことも大切です。
最下段には、発行者と問い合わせ先を必ず入れます。
名古屋市は、広報紙を作る手順やレイアウトの工夫をまとめたガイドブックと、Wordのテンプレートを公開しています。紙面のデザインに迷ったら参考にするとよいでしょう。

- 1つの号で、いちばん伝えたいことを1つに絞る
- 見出しは短く、内容がわかる言葉にする
- 写真は大きく1枚。小さな写真をたくさん並べない
- 文字の大きさは、高齢の人でも読める大きさにする
- 日時・場所・連絡先は、太字や枠で目立たせる
記事のネタに困ったときは
広報誌づくりでよくある悩みが、「載せることがない」です。そんなときは、次のような記事が使えます。
一つめは、地域の人の紹介です。長く活動している会員、新しく引っ越してきた家族、地域のお店などを、本人の同意を得て紹介します。
二つめは、暮らしに役立つ情報です。ごみの出し方の変更、防災の備え、市区町村の手続きのお知らせなど、自治体の発表をもとに要点をまとめます。
三つめは、写真のコーナーです。季節の風景や行事の様子を、短い説明とともに載せます。
四つめは、会員の声です。アンケートの結果や、行事の感想を紹介すると、会員が「自分たちの広報誌」と感じやすくなります。
日ごろからネタを書きためるメモを、広報部で共有しておくと便利です。
文章の書き方のコツ
広報誌の文章は、一文を短く、結論を先に書くと読みやすくなります。
行事のお知らせは、いつ・どこで・何を・誰が・持ち物・問い合わせ先、の順で書くと、読む人が迷いません。
報告の記事は、何人が参加したか、どんな様子だったか、協力してくれた人へのお礼、の順にまとめます。
専門用語や略語は避け、高齢の人やこどもにもわかる言葉を選びます。書き終えたら、声に出して読んでみると、読みにくいところが見つかります。
写真と名前を載せるときの同意 ― 個人情報の注意
個人情報保護委員会は、以前は扱う個人情報が少ない事業者には法律が適用されない例外がありましたが、いまは自治会や同窓会のような団体にも個人情報保護法が適用されると説明しています。
同委員会は、自治会名簿の作成が禁止されるわけではないとしたうえで、利用目的を決めること、適正に取得すること、本人の同意なく第三者に提供しないことなどのルールを守る必要があるとしています。
広報誌に、写真や名前、こどもの学年などを載せるときは、撮影や取材の段階で、本人(こどもの場合は保護者)に、どこに・何のために載せるかを伝えて同意をもらうのが安心です。紙の広報誌だけでなく、ホームページやSNSに載せる場合は、誰でも見られる状態になるため、特に注意が必要です。
住所や電話番号など、載せる必要のない個人情報は載せません。行事の集合写真でも、掲載を望まない人がいれば、顔がわからないように加工するか、別の写真を使います。
| 載せるもの | 気をつけること |
|---|---|
| 写真(顔がわかるもの) | 本人・保護者の同意。ホームページやSNSは特に慎重に |
| 名前・学年・役職 | 載せる目的があるものだけ。同意をもらう |
| 住所・電話番号 | 原則として載せない(問い合わせ先は団体の窓口に) |
| 会計の報告 | 金額と使い道。個人の会費の未納などは載せない |
著作権の注意 ― 他人の写真やイラストを使わない
広報誌に載せる写真やイラスト、文章には、著作権があります。インターネットで見つけた画像や、新聞・雑誌の記事、市販のイラストを、許可なく使うことはできません。
写真は、団体のメンバーが撮ったものを使うのが基本です。イラストを使う場合は、自治会や地域の広報誌での利用が認められている素材集を選び、利用条件(クレジットの表記など)を確かめます。
自治体や消防署などのお知らせを載せるときは、発行元に転載してよいかを確かめるか、要点を自分たちの言葉でまとめ、出典を書きます。
印刷と配布、費用の扱い
印刷の方法は、部数と予算で選びます。部数が少なければ、集会所のプリンターやコンビニのプリントで足ります。部数が多い場合や、カラーできれいに仕上げたい場合は、地域の印刷会社やネット印刷に頼む方法があります。
配布は、回覧、各戸への配布、掲示板への掲示などを組み合わせます。配布の担当と、配り終えたかを確かめる方法も決めておきます。
印刷代や用紙代は、予算案に「広報費」などの科目で計上し、支出したら出納帳に記録して領収書を保管します。年度末の会計報告で、広報にかかった費用を示します。
ホームページやSNS、LINEとの使い分け
最近は、紙の広報誌に加えて、ホームページやSNS、LINEなどで情報を届ける団体も増えています。
紙の広報誌は、スマートフォンを使わない人にも確実に届くのが強みです。ホームページやSNSは、すぐに届けられ、写真も多く載せられるのが強みです。
使い分けの例としては、行事の報告や会計の報告など、記録として残したいものは紙の広報誌に、行事の急な変更や当日の様子はLINEやSNSに、という形があります。
ホームページやSNSに載せるときは、誰でも見られることを前提に、写真や名前の掲載の同意をあらためて確かめます。
広報誌の年間発行計画・写真掲載同意書のWordひな形(無料)
A4・2ページ(1枚目=年間発行計画・1号の制作の流れ・発行前チェックリスト/2枚目=写真・氏名の掲載についての同意書。媒体・期間・取り下げの説明つき)。
発行したあとにすること
広報誌を配り終えたら、次の号の準備のために、いくつか記録を残しておきます。
まず、発行日・部数・配布の方法・かかった費用を記録します。会計担当には領収書を渡し、出納帳に記録してもらいます。
次に、読んだ人の反応を集めます。回覧に感想を書ける欄を設けたり、行事のアンケートに広報誌についての質問を入れたりすると、次の号の改善点が見えてきます。
掲載の同意書は、写真のデータと一緒に保管し、取り下げの連絡があったときにすぐ対応できるようにしておきます。
広報部の負担を減らす工夫
広報誌づくりは、担当者の負担が大きくなりがちです。続けるための工夫をいくつか紹介します。
一つめは、紙面の型を決めて、毎号同じレイアウトを使うことです。題字やコーナーの位置を固定すれば、毎号ゼロから作らずに済みます。
二つめは、原稿を集める仕組みを作ることです。行事の担当者に、行事が終わったら写真と短い報告を送ってもらうよう、あらかじめ頼んでおきます。
三つめは、校正を複数の人で行うことです。名前の誤りは、いちばん苦情につながりやすい部分です。
四つめは、前年度の広報誌とデータを残して引き継ぐことです。ファイルの保存場所と、ひな形・同意書の控えの場所を決めておきます。
広報誌の作り方についてよくある質問
A. 決まりはありません。行事のあとに合わせて年3〜4回出す団体が多いです。回数を絞って中身を充実させる方が、続けやすくなります。
A. 個人情報保護委員会は、自治会のような団体にも個人情報保護法が適用されると説明しています。写真や名前を載せるときは、撮影や取材の段階で、本人(こどもは保護者)にどこに何のために載せるかを伝えて同意をもらうのが安心です。
A. 写真やイラストには著作権があり、許可なく使うことはできません。団体のメンバーが撮った写真や、地域の広報誌での利用が認められている素材集を、利用条件を確かめて使います。
A. 名古屋市が、広報紙を作る手順やレイアウトの工夫をまとめたガイドブックとWordのテンプレートを公開しています。
A. 予算案に広報費などの科目で計上し、支出したら出納帳に記録して領収書を保管します。年度末の会計報告で、広報にかかった費用を示します。
A. 紙はスマートフォンを使わない人にも確実に届くのが強み、SNSやLINEはすぐに届けられるのが強みです。記録に残したい報告は紙、急な変更や当日の様子はSNSやLINE、という使い分けの例があります。
📖 参考にした公的機関の情報


