結論から申し上げます。現金出納帳とは、お金の出入りを日付順に1行ずつ記録し、そのつど残高を出す帳簿です。「金銭出納帳」とも呼ばれます。
書く項目は、日付・科目・摘要・収入・支出・残高の6つが基本です。領収書に振った番号の欄を足すと、後で確かめやすくなります。
いちばん大切なのは、出納帳の残高が、手元の現金や通帳の残高と一致していることです。
この記事では、団体の会計向けの無料エクセルを配布し、記入例、科目の決め方、締め方、検算、会計報告への写し方まで順に説明します。
📥 無料ダウンロード:団体の会計向け 現金出納帳(エクセル)
出納帳・科目別集計・科目・使い方の4シート。残高と科目別の決算額は自動で計算されます。登録は不要です。
現金出納帳とは ― 団体の会計の土台になる帳簿
現金出納帳は、お金が入ったとき、出たときに、その日付と内容と金額を記録する帳簿です。
1行ごとに残高を出すので、「今いくらあるはずか」がいつでもわかるのが特徴です。
自治会・PTA・サークルなどの団体では、この出納帳がほぼ唯一の帳簿になります。年度末の会計報告も、会計監査も、この出納帳を土台に行います。
団体の口座がある場合は、現金の出納帳と、預金の出納帳(または通帳)を分けて管理する方法と、一冊にまとめる方法があります。お金の動きが少ない団体なら、一冊にまとめて「現金」「預金」の欄を分ける方が簡単です。
| 名前 | 意味 | 団体での使い方 |
|---|---|---|
| 現金出納帳 | 現金の出入りと残高の記録 | 手元の現金を管理する帳簿 |
| 金銭出納帳 | 現金出納帳とほぼ同じ意味で使われる | 団体では同じものと考えてよい |
| 預金出納帳 | 預金口座の出入りと残高の記録 | 通帳で代わりにする団体も多い |
| 会計報告(収支決算書) | 1年分を科目ごとにまとめた報告 | 出納帳を集計して作る |
書く項目と、記入例
現金出納帳の1行には、次の項目を書きます。
| 項目 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 日付 | お金が動いた日 | 4/15 |
| 区分 | 収入か支出か | 支出 |
| 科目 | 予算書と同じ科目名 | 会議費 |
| 摘要 | 内容と相手 | 総会 会場使用料(〇〇公民館) |
| 収入 | 入った金額 | ― |
| 支出 | 出た金額 | 3,100 |
| 残高 | 前の行の残高+収入-支出 | 83,900 |
| 証憑番号 | 領収書・レシートに振った番号 | 1 |
記入例
配布しているエクセルには、次の4行の記入例が入っています。前年度繰越金を0円とした場合の例です。
| 日付 | 区分 | 科目 | 摘要 | 収入 | 支出 | 残高 | 証憑 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4/1 | 繰越 | 前年度繰越金 | 前年度から繰越 | 0 | 0 | ||
| 4/10 | 収入 | 会費 | 4月分会費 29名 | 87,000 | 87,000 | R1 | |
| 4/15 | 支出 | 会議費 | 総会 会場使用料 | 3,100 | 83,900 | 1 | |
| 4/20 | 支出 | 印刷費 | 総会資料 コピー代 | 1,260 | 82,640 | 2 | |
| 5/8 | 収入 | 補助金 | 〇〇市 活動補助 | 20,000 | 102,640 | R2 |
科目は予算書とそろえる
科目は、その年度の予算書と同じ名前・同じ区分にそろえます。年度末に科目ごとに合計すれば、そのまま会計報告の決算額になるからです。
科目を細かくしすぎると、どこに入れるかで迷います。団体の規模なら、収入5つ・支出7つ程度で足ります。
配布のエクセルでは、「科目」シートの科目名を書き換えると、出納帳の選択肢に反映されます。
| 収入の科目(例) | 支出の科目(例) |
|---|---|
| 会費 | 会議費(会場代・茶菓) |
| 補助金 | 印刷費(コピー・会報) |
| 事業収入(バザー等) | 通信費(切手・はがき) |
| 寄付金 | 行事費(祭り・清掃) |
| 雑収入(預金利息) | 備品費(テント・机) |
| 雑費(振込手数料) |
摘要の書き方
摘要は、後で読んだ人が「何のお金か」「誰に払ったか・誰から受け取ったか」がわかるように書きます。
「会議費」だけでは何の会議かわかりません。「6月役員会 会場使用料(〇〇公民館)」のように書きます。
会費のように同じ種類の入金が多いときは、「4月分会費 29名」とまとめ、名前の一覧は別の集金表に残します。
立替の精算は、「〇〇さん立替分 精算(夏祭り 氷代)」のように、立て替えた人と内容を書きます。
領収書と証憑番号の付け方
出納帳の1行ごとに、根拠になる書類(証憑)を残します。支出なら領収書やレシート、収入なら領収書の控えや集金表です。
証憑には、出納帳の行と同じ番号を書き込みます。支出は1、2、3…、収入はR1、R2…のように分けると探しやすくなります。
レシートは台紙に日付順に貼り、番号を書きます。感熱紙のレシートは時間がたつと文字が消えるので、コピーを取っておくと安心です。
領収書がもらえない支出(自動販売機、交通費など)は、日付・内容・金額・支払った人を書いた出金伝票を作り、別の役員に確認の署名をもらいます。
月末・年度末の締め方
出納帳は、書きっぱなしにしないことが大切です。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 毎月末 | 手元の現金を数え、出納帳の残高と一致するか確かめる/通帳を記帳する |
| 半年ごと | 科目別の合計と予算を比べ、役員会で報告する |
| 年度末 | 最後の行まで記入し、現金を数えて金種表を作る/通帳を年度末の日付で記帳する |
| 会計報告の前 | 科目別の合計を会計報告に写し、検算の等式を確かめる |
検算 ― 残高が合わないときは
年度末の検算の式は、前年度繰越金+収入合計-支出合計=次年度繰越金=通帳残高+手元現金です。
配布のエクセルの「科目別集計」シートに通帳残高と手元現金の合計を入力すると、差が自動で出ます。差が0なら一致です。
合わないときは、次の順番で探します。
- 通帳を1行ずつ出納帳と突き合わせる(手数料・利息の書き漏れ)
- 領収書を日付順に並べ、出納帳に書いていないものがないか確かめる
- 立て替えてもらったまま精算していないお金がないか確かめる
- 年度末をまたいだ入金・引き落としがないか確かめる
- 数字の打ち間違い(桁・入れ替え)がないか確かめる
会計報告への写し方
年度末に、科目ごとの合計を出して会計報告(収支決算書)に写します。
配布のエクセルでは、「科目別集計」シートに科目ごとの決算額が自動で出ます。予算額を入力すると、差額も出ます。
この表の決算額・予算額・差額を、そのまま会計報告の表に写せば完成です。会計報告のひな形と、監査・総会での承認までの手順は、別の記事で詳しく説明しています。
配布エクセルの使い方 ― 5つのステップ
配布しているエクセルは、次の手順で使います。
一つめに、「科目」シートの科目名を、団体の予算書と同じ名前に書き換えます。
二つめに、「出納帳」シートの5行目に、前年度繰越金の額を収入欄に入力します。
三つめに、お金が動いたら、上から順に1行ずつ入力します。区分を選ぶと、科目の選択肢が収入用・支出用に切り替わります。途中に空白の行を空けないことが、残高を正しく出すための約束です。
四つめに、記入例の4行は、使い始める前に削除します。
五つめに、年度末に「科目別集計」シートの予算額を入力し、通帳残高と手元現金の合計を入れて、差が0になることを確かめます。
班長などが集金するときの記録
自治会の会費のように、班長など複数の人が集金する団体では、出納帳に入れる前の記録が大切です。
班長は、世帯名・金額・集めた日を書いた集金表と一緒に、集めたお金を会計に渡します。会計は、受け取った日に集金表の合計と現金を確かめ、受領の署名をします。
出納帳には、「〇班 4月分会費 12世帯」のように班ごとにまとめて1行で記入し、集金表に収入の証憑番号(R1など)を書きます。
こうしておくと、年度末に会費の収入が合わないとき、どの班のどの世帯の分かまでさかのぼって確かめられます。
会計を交代するときの出納帳の引き継ぎ
会計の交代は、総会で承認された会計報告を区切りにするのが基本です。
前の会計は、出納帳の最後の行に「次年度へ繰越」と書き、残高を確定させます。新しい会計は、新しい年度の出納帳の最初の行に、その額を前年度繰越金として記入します。
エクセルで付けている場合は、年度ごとにファイルを分け、前の年度のファイルは書き換えずに保存しておきます。
出納帳・証憑・通帳・印鑑・手元現金は一式で渡し、受け取った側が残高を確かめて受領の署名をします。
よくある書き方の間違い
一つめは、まとめ書きです。1か月分のレシートを月末にまとめて1行で書くと、何に使ったのかが追えなくなります。支出は1件1行で書きます。
二つめは、預り金を収入にしてしまうことです。上部団体への負担金や共同購入の代金など、預かってそのまま渡すお金は、別の表で管理します。
三つめは、修正液や上書きで直すことです。紙の出納帳で間違えたら、二重線を引いて正しい数字を書き、訂正した人の印やサインを添えます。
四つめは、個人のお金と混ぜることです。会計担当者の財布や個人口座に団体のお金を入れないようにします。手元の現金は、団体専用の封筒や手提げ金庫で分けて保管します。
エクセル・紙・アプリ、どれで付けるか
出納帳は、紙のノートでも、エクセルでも、会計アプリでも付けられます。
紙は、パソコンがなくても使え、引き継ぎも簡単です。一方で、集計は手計算になります。
エクセルは、残高と集計が自動で出るので、計算の間違いが減ります。ファイルの保存場所と、引き継ぎの方法を決めておく必要があります。
会計アプリは便利ですが、有料のものや、担当者の個人のアカウントに紐づくものは、引き継ぎで困ることがあります。団体として使うなら、団体のアカウントで契約します。
どれを使う場合も、領収書などの証憑と、通帳は原本を保管することは変わりません。
📥 無料ダウンロード:団体の会計向け 現金出納帳(エクセル)
出納帳・科目別集計・科目・使い方の4シート。残高と科目別の決算額は自動で計算されます。登録は不要です。
現金出納帳についてよくある質問
A. お金の出入りを日付順に記録し、1行ごとに残高を出す帳簿です。「金銭出納帳」とも呼ばれます。団体の会計では、会計報告や会計監査の土台になります。
A. 日付・科目・摘要・収入・支出・残高の6つが基本です。領収書に振った証憑番号の欄を足すと、後で確かめやすくなります。
A. その年度の予算書と同じ名前・同じ区分にそろえます。年度末に科目ごとに合計すれば、そのまま会計報告の決算額になります。
A. 日付・内容・金額・支払った人を書いた出金伝票を作り、別の役員に確認の署名をもらいます。
A. 通帳と出納帳の突き合わせ、領収書の書き漏れ、立替の未精算、年度末をまたいだ入出金、数字の打ち間違いの順に確かめます。
A. 団体の会計用に作成したもので、登録なしで自由に改変してお使いいただけます。科目名は「科目」シートで書き換えられます。
A. どちらでも構いません。お金の動きが少ない団体は一冊にまとめ、多い団体は現金出納帳と預金出納帳(または通帳)を分けると管理しやすくなります。


