認定NPO法人とは、所轄庁の認定を受けたNPO法人のことをいいます。
最大の特徴は、寄付をした人が税金の優遇を受けられることです。
そのぶん認定の要件は厳しく、認定を受けているNPO法人はごく一部にとどまります。
この記事では、認定の要件と税制優遇の中身、申請の進め方まで解説します。
認定NPO法人とはどんな制度か
認定NPO法人は、NPO法人のなかでも一定の基準を満たしたものに与えられる資格です。
正式には認定特定非営利活動法人といいます。
認定を行うのは、そのNPO法人を所管する所轄庁です。
都道府県知事または政令指定都市の市長が、申請を受けて審査します。
制度の目的は、市民から広く支持されている団体への寄付を後押しすることにあります。
そのため、認定の基準も「どれだけ多くの人から支えられているか」を重視した設計になっています。
事業の内容が立派かどうかではなく、支援の広がりが問われるという点が特徴です。
全国のNPO法人のうち、認定を受けているのはごく一部にとどまります。
それだけ、認定を受けていること自体が団体の信頼につながります。
普通のNPO法人との違い
普通のNPO法人と認定NPO法人は、法人格としては同じです。
違いは、税制上の取り扱いと、社会的な信用度にあります。
最も大きいのが、寄付をした人が税制優遇を受けられるかどうかです。
普通のNPO法人へ寄付しても、寄付者は原則として控除を受けられません。
認定NPO法人への寄付なら、個人も法人も税の優遇を受けられます。
また、認定NPO法人には、みなし寄附金という制度が使えます。
収益事業で得た利益を非収益事業に繰り入れた分を、寄附金とみなして損金にできる仕組みです。
相続で得た財産を認定NPO法人に寄付した場合、その財産は相続税の課税対象から外れます。
こうした優遇があるため、寄付を主な財源にする団体にとって認定の価値は非常に大きくなります。
| 項目 | NPO法人 | 認定NPO法人 |
|---|---|---|
| 法人格 | 特定非営利活動法人 | 同じ(認定を受けた状態) |
| 寄付者の所得税控除 | 原則なし | あり(所得控除または税額控除) |
| 寄付者の相続税 | 課税対象 | 一定の要件で非課税 |
| みなし寄附金 | 使えない | 使える |
| 認定の有効期間 | — | 5年(更新制) |
| 取得の難易度 | 要件を満たせば認証 | PSTなど厳しい基準あり |
認定の中心はパブリック・サポート・テスト
認定を受けるうえで、最大の関門がパブリック・サポート・テストです。
頭文字をとってPSTと呼ばれます。
これは、その団体が広く市民から支持されているかどうかを測る基準です。
判定の方法は3つあり、いずれかを満たせば要件をクリアできます。
1つ目が相対値基準で、経常収入金額のうち寄付金等収入金額が5分の1以上であることです。
2つ目が絶対値基準で、年3000円以上の寄付者が年平均100人以上いることです。
3つ目が条例個別指定で、自治体の条例により個別に指定を受けている場合です。
小規模な団体では、絶対値基準のほうが現実的なことが多くあります。
一方、事業収入が大きい団体は相対値基準を満たしにくいという傾向があります。
どちらの基準で申請するかを、早い段階で決めて逆算しておくことが重要です。
- 相対値基準 経常収入金額のうち寄付金等収入金額が5分の1以上
- 絶対値基準 年3000円以上の寄付者が年平均100人以上
- 条例個別指定 都道府県または市区町村の条例で個別に指定を受けている
PST以外の主な認定要件
PSTを満たしても、それだけで認定されるわけではありません。
第1に、事業活動のうち共益的な活動の割合が50パーセント未満であることです。
会員だけに向けたサービスばかりでは、認定を受けられません。
第2に、運営組織と経理が適正であることが求められます。
帳簿が整備され、役員報酬や取引に不適切なものがないかが確認されます。
第3に、事業活動の内容が適正であることです。
宗教活動や政治活動、特定の個人や法人に特別の利益を与える活動がないかが見られます。
第4に、情報公開を適切に行っていることです。
第5に、事業報告書等を所轄庁へきちんと提出していることです。
第6に、法令違反や不正な行為がないこと、そして設立から1年を超える期間が経過していることです。
寄付者が受けられる税制優遇
個人が認定NPO法人に寄付した場合、所得控除か税額控除のいずれかを選べます。
税額控除は、寄付金額から2000円を引いた額の40パーセントを税額から差し引く方式です。
控除できる額には、その年の所得税額の25パーセントという上限があります。
多くの個人寄付者にとっては、税額控除のほうが有利になるケースが多く見られます。
住民税についても、自治体が条例で指定していれば控除の対象になります。
法人が寄付した場合は、一般の寄附金とは別枠の損金算入限度額が使えます。
つまり、通常より多くの金額を損金にできるということです。
相続や遺贈で取得した財産を、申告期限までに認定NPO法人へ寄付した場合、その財産には相続税がかかりません。
これらの優遇は、寄付を呼びかけるときの強力な材料になります。
寄付者に控除を受けてもらうには、法人が発行する受領証が必要です。
特例認定NPO法人という入口
設立して間もない団体のために、特例認定という制度が用意されています。
特例認定NPO法人は、PSTを満たしていなくても認定に準じた扱いを受けられる仕組みです。
対象は、設立の日から5年を経過していないNPO法人です。
有効期間は3年間で、更新はできず、1回限りの制度です。
この3年の間に寄付者を増やし、本来の認定へ移行することが想定されています。
特例認定でも、寄付者の所得税の控除は受けられます。
ただし、みなし寄附金の制度は使えません。
相続財産の寄付についての非課税措置も、対象外です。
あくまで本認定への助走期間と位置づけて活用するのが正しい使い方です。
| 項目 | 特例認定NPO法人 | 認定NPO法人 |
|---|---|---|
| 対象 | 設立から5年以内 | 設立から1年超 |
| PST | 不要 | 必要 |
| 有効期間 | 3年(更新不可・1回限り) | 5年(更新可) |
| 寄付者の所得税控除 | あり | あり |
| みなし寄附金 | なし | あり |
| 相続財産の非課税 | なし | あり |
認定申請の進め方
申請先は、そのNPO法人を所管する所轄庁です。
認定を受けようとする日の直前に終了した事業年度までの実績が審査されます。
提出書類は、認定申請書のほか、寄付者名簿、役員報酬規程、収益の明細などです。
寄付者名簿は、PSTの判定の根拠になるため、日ごろからの管理が欠かせません。
寄付を受け取った日、金額、寄付者の氏名と住所を、正確に記録しておきましょう。
申請書類の一部は、認証申請と同じように公開されます。
審査には数か月を要するのが一般的です。
申請前に所轄庁へ相談し、PSTの計算方法を確認しておくと安心です。
計算のやり方を誤ると、基準を満たしているのに不認定になることがあります。
認定を取るための実務的な準備
認定を目指すなら、設立の段階から寄付の記録を残す体制を作っておきましょう。
絶対値基準を狙うなら、年3000円以上の寄付者を100人集める必要があります。
会費と寄付は別のものなので、区別して管理することが重要です。
通常の会費は、原則としてPSTの寄付金には含められません。
会費のうち対価性のない部分を寄付として扱えるかは、慎重な判断が必要です。
寄付を受けたら、必ず受領証を発行して控えを保管します。
銀行振込や決済サービスの記録も、証拠として残しておきます。
会計は、認定を意識した勘定科目の立て方にしておくと申請時に楽になります。
3年から5年をかけて準備するつもりで、計画的に進めるのが現実的です。
認定を維持するための注意点
認定の有効期間は5年です。
継続したい場合は、有効期間の満了前に更新の申請をしなければなりません。
更新のときも、あらためてPSTなどの要件が審査されます。
寄付が減っていれば、更新できないこともあります。
毎年の事業報告書等の提出は、認定後も当然に続きます。
役員報酬規程や寄付者名簿など、認定NPO法人に固有の書類の提出も必要です。
要件を満たさなくなった場合や、法令違反があった場合は認定が取り消されます。
取得することより、維持し続けることのほうが難しいという声も少なくありません。
一般社団法人との比較で考える
寄付を主な財源にするなら、認定NPO法人を目指す価値は大きくあります。
一般社団法人への寄付は、原則として寄付者の税制優遇の対象になりません。
一方で、一般社団法人は設立が早く、活動分野の制限もありません。
事業収入で運営していく団体なら、一般社団法人のほうが動きやすい面があります。
また、一般社団法人でも公益社団法人に移行すれば、寄付者への税制優遇が受けられます。
ただし公益認定は、認定NPO法人よりもさらに高いハードルがあります。
寄付中心ならNPO法人から認定を目指す、事業収入中心なら一般社団法人という整理が分かりやすいでしょう。
自分たちの収入構造がどちらに近いかを、まず見きわめてください。
認定NPO法人のまとめ
認定NPO法人は、所轄庁の認定を受けたNPO法人で、寄付者が税制優遇を受けられます。
認定の中心はパブリック・サポート・テストで、相対値基準か絶対値基準を満たす必要があります。
設立から5年以内の団体には、PSTが不要な特例認定という入口があります。
有効期間は5年で、更新のたびに要件が審査されます。
寄付者名簿と会計の整備が、認定を取るうえでの実務的な鍵になります。
寄付を財源にする活動なら、設立当初から認定を意識した運営をしておきましょう。
よくある質問
A. 法人格は同じですが、認定を受けると寄付者が税制優遇を受けられます。またみなし寄附金が使え、相続財産の寄付が非課税になるなど、税務上の扱いが有利になります。
A. 広く市民から支持されているかを測る基準です。経常収入のうち寄付金等が5分の1以上という相対値基準か、年3000円以上の寄付者が年平均100人以上という絶対値基準のいずれかを満たします。
A. 受けられません。認定には設立から1年を超える期間の経過が必要です。ただし設立5年以内なら、PSTが不要な特例認定を1回だけ受けられます。
A. 個人が税額控除を選んだ場合、寄付金額から2000円を引いた額の40パーセントが所得税額から差し引かれます。ただし控除額はその年の所得税額の25パーセントが上限です。
A. 通常の会費は原則として含められません。対価性のない部分を寄付として扱えるかは個別の判断になるため、会費と寄付は最初から区別して管理しておくことが大切です。
A. 有効期間は5年です。継続するには満了前に更新申請が必要で、更新時にもPSTなどの要件があらためて審査されます。
📖 参考にした公的機関の情報


