結論から申し上げます。お祭りで必要になる届出・許可は、「何をするか」で窓口が決まります。
道路で行事や露店をするなら警察署、コンロや発電機などの火気を使う露店を出すなら消防署、食べ物を調理して出すなら保健所、公園や広場を使うならその管理者です。あわせて、けがに備える保険も準備します。
名前・期限・様式は自治体ごとに違うので、開催の3か月前を目安に、それぞれの窓口に事前に相談するのがいちばん確実です。この記事では、窓口ごとに必要なことを整理し、準備のスケジュールと、届出の一覧を管理できるExcelのひな形を用意しました。

警察署 ― 道路を使うときの道路使用許可
道路で行事をしたり、露店を出したりするときは、その場所を管轄する警察署長の道路使用許可が必要です(道路交通法77条)。
警視庁の案内では、道路使用許可の対象として、道路に露店・屋台などを出す場合(3号)や、祭礼行事・パレードなど一般の交通に著しい影響を及ぼす行為をする場合(4号)が挙げられています。
申請先は、道路を使う場所を管轄する警察署(交通規制の係)です。祭礼行事の場合は、行事の概要がわかる企画書、会場周辺の見取図、交通誘導員や資器材の配置を書いた図などを用意します。
手数料もかかります。警視庁の場合、工事・作業以外の申請は2,100円です(2026年3月更新の案内)。手数料の額は都道府県ごとに定められています。
通行止めにする行事などは、事前の協議が必要になることがあります。日程が決まったら早めに警察署に相談しましょう。
道路の管理者・公園の管理者 ― 占用と使用の許可
道路に看板やアーチなどの工作物を置く場合は、警察の道路使用許可とあわせて、道路管理者(市区町村や都道府県など)の道路占用許可も必要になります。警視庁の案内でも、工作物を設置する場合は道路占用許可もあわせて必要と書かれています。
公園や広場、公民館の敷地などを会場にする場合は、その施設の管理者のルールに従って、使用の申請や許可を受けます。都市公園では、行事や物品の販売に許可が必要とされていることが多く、火気の使用やテントの設営に条件がつくこともあります。
神社やお寺の境内、学校の校庭を借りる場合も、管理者との事前の取り決めが必要です。
消防署 ― 火気を使う露店の届出と消火器
2013年8月に京都府福知山市の花火大会で、露店でのガソリンの不適切な取扱いによる火災が起き、多数の死傷者が出ました。これを受けて、各地の火災予防条例で、多数の人が集まる催しでの火気の扱いが定められています。
長崎市の案内では、祭礼・縁日・花火大会などの多数の者の集合する催しで、コンロ・鉄板焼き機・発電機などの火気器具を使う場合は、消火器の準備が義務とされています。地域の夏祭りや学校の学園祭なども対象で、親族だけのバーベキューのような個人的な行事は対象外です。
また、火気器具を使う露店を出す場合は、事前に消防署へ「露店等の開設届」を出す必要があります。地域の夏祭りなどでは、主催者が取りまとめて届け出ることもできます。東京消防庁は、開設の3日前までの届出を求めています。
準備する消火器は、検定に合格した業務用の消火器です。住宅用消火器やエアゾール式の簡易消火具では足りないとする消防本部もあります。何本必要かも含めて、管轄の消防署に確かめます。
- どの露店で、どんな火気器具(コンロ・鉄板・発電機など)を使うかの一覧
- 業務用の消火器の数と、置く場所
- 露店等の開設届の期限と、主催者がまとめて出すか
- 発電機の燃料(ガソリンなど)の保管と給油の場所
- テントと火気器具の距離、風への備え
保健所 ― 模擬店で食べ物を出すとき
焼きそばやフランクフルトなど、お祭りで食べ物を調理して出す模擬店は、保健所への届出や相談が必要になります。
扱いは都道府県や保健所ごとに違います。たとえば埼玉県は、地域のお祭りや学園祭などの行事で飲食物を提供する場合、行事の主催者が出店者を取りまとめて「臨時出店届」を保健所に出すよう求めています。この届は保健所が許可を出すものではなく、食中毒を防ぐための助言を受けるためのものと説明されています。
埼玉県の要領では、臨時出店として扱われるのは、営利を主な目的としない一時的な行事で、出店者が年8日以内・年4行事以内・同じ行事での出店が3日以内などの条件を満たす場合とされています。条件に当てはまらない出店は、営業許可が必要になることがあります。
提供する食品は、提供する直前に十分に加熱する食品を中心にするよう案内されています。生ものや作り置きは避け、手洗いの設備や食材の温度管理も保健所の注意事項に沿って準備します。
自分の地域の扱いは、「(都道府県名)臨時出店」「行事 模擬店 保健所」などで調べるか、管轄の保健所に問い合わせると確かめられます。
| 確かめること | 例(埼玉県の場合) |
|---|---|
| 誰が届け出るか | 行事の主催者が出店者を取りまとめて |
| どこへ | 行事の開催場所を管轄する保健所 |
| 許可か届出か | 届出(保健所が許可をするものではない) |
| 対象になる行事 | 営利を主な目的としない一時的な祭礼・催事 |
| 出す食品 | 提供直前に十分に加熱する食品が基本 |
※上の表は埼玉県の取扱要領の例です。他の都道府県・保健所では、届出の名前や条件が違います。
保険 ― スタッフと参加者のけがに備える
お祭りでは、準備や当日の運営をするスタッフと、来場する住民の両方のけがに備える必要があります。
スタッフ(ボランティア)は、社会福祉協議会のボランティア活動保険などで備えるのが一般的です。来場者のけがには、行事用の保険や、自治体が保険料を負担する市民活動の補償制度が使える場合があります。
火気を使う露店がある場合は、出店者が賠償責任の保険に入っているかも確かめておくと安心です。
準備のスケジュール
お祭りの準備は、3か月前から逆算して進めると、届出の期限に間に合わないということを防げます。
3か月前に、役員会で日程・予算・場所を決め、警察署・消防署・保健所・施設の管理者に事前に相談します。2か月前には、協賛金や出店者を集め、道路使用許可などの申請を進めます。
1か月前には、出店者の一覧を作って保健所への届出を準備し、保険の加入と、テント・消火器・発電機などの備品を手配します。数日前には、期限を確かめて消防署へ露店等の開設届を出し、住民に案内します。
当日は見回りと消火器・救護の確認を行い、終わったあとは協賛企業へのお礼状と会計報告をまとめます。

お祭りの準備スケジュール・届出一覧のExcelひな形(無料)
シート1=届出・許可の一覧(窓口・期限・提出者・済チェック)/シート2=3か月前から終了後までの準備スケジュール。担当者と済の欄を書き込んで使えます。
バザー・フリーマーケット・餅つきなど、行事ごとの注意
お祭り以外の行事でも、考え方は同じです。「道路を使うか」「火気を使うか」「食べ物を出すか」で、必要な窓口が決まります。
PTAや子ども会のバザーで、手作りのお菓子など食べ物を売る場合は、保健所の扱いを事前に確かめます。家庭で作った食品の販売は認められないことが多いので注意が必要です。
餅つき大会のように、その場で調理して配る行事も、模擬店と同じように保健所に相談します。かまどや炭火を使うなら、消防の届出と消火器も必要になります。
防災訓練で炊き出しをする場合や、道路で訓練をする場合は、消防署や警察署と事前に調整します。警視庁の案内でも、道路での訓練は道路使用許可の対象の例に挙げられています。
フリーマーケットで出品者を募る場合は、会場の管理者のルール(物品の販売の可否など)を先に確かめます。
お金の扱い ― 協賛金・出店料・会計報告
お祭りの費用は、自治会の予算、協賛金、出店料、模擬店の売上などでまかなうことが多くあります。
協賛金を集める場合は、使い道と特典を書いた協賛依頼書を用意し、受け取ったら領収書を渡して出納帳に記録します。模擬店の売上や釣り銭は、担当者を決めて、終了後すぐに数えて記録します。
終わったあとは、収入と支出を行事ごとにまとめて会計報告を作り、役員会や総会で報告します。協賛企業には、お礼状とあわせて行事の様子と使い道を伝えます。
当日の安全管理
当日は、全体の責任者と、火気・救護・交通誘導・迷子の担当を決めておきます。担当者の連絡先を一覧にして、スタッフ全員が持てるようにします。
火気を使う露店は、開始前に消火器の位置と使い方を確かめます。発電機の燃料の補給は、火気から離れた場所で、エンジンを止めてから行います。
熱中症や急な天候の変化にも備えます。救護の場所と、近くの病院や救急への連絡の流れを決めておきます。
終了後は、火の始末を確かめ、ごみと片付けの担当を決めて、会場を元の状態に戻します。
お祭りの届出・許可についてよくある質問
A. その場所を管轄する警察署長の道路使用許可が必要です(道路交通法77条)。露店を出す場合や、祭礼行事で一般の交通に著しい影響がある場合が対象です。看板などを置く場合は、道路管理者の道路占用許可もあわせて必要になります。
A. 多くの自治体の火災予防条例で、多数の人が集まる催しで火気器具を使う露店を出す場合は、事前に消防署へ露店等の開設届を出すことと、消火器を準備することが定められています。地域の夏祭りでは、主催者がまとめて届け出ることもできます。
A. 食べ物を調理して出す模擬店は、保健所への届出や相談が必要になるのが一般的です。たとえば埼玉県では、行事の主催者が出店者を取りまとめて臨時出店届を出します。扱いは都道府県ごとに違うので、管轄の保健所に確かめてください。
A. 窓口ごとに期限が違います。たとえば東京消防庁は、露店等の開設の3日前までの届出を求めています。道路使用許可も審査に日数がかかるため、開催の3か月前を目安に、各窓口へ事前に相談するのが確実です。
A. スタッフは社会福祉協議会のボランティア活動保険など、来場者は行事用の保険や自治体の市民活動の補償制度で備えるのが一般的です。対象や補償額は制度ごとに違うので、事前に確かめてください。
A. 必要かどうかは、団体の種類ではなく「道路を使うか」「火気を使うか」「食べ物を調理して出すか」で決まります。学校の敷地を使う場合は、学校の許可も必要です。
📖 参考にした公的機関の情報


