PTAとは?法律上の位置づけ(任意団体・社会教育関係団体)と、加入・退会・会費・役員のルール|会則の見直しで押さえる7つのポイント

一般社団法人法
「PTAって入らないといけないの?」「会費や役員はどう決まっているの?」。保護者からも、役員を引き受けた人からも出てくる疑問です。法律上の位置づけから順番に整理しましょう。

結論から申し上げます。PTAとは、保護者(Parent)と教職員(Teacher)でつくる団体(Association)で、法律上は任意団体です。

PTAは、社会教育法10条の「社会教育関係団体」にあたると整理されるのが一般的です。同条は、法人であると否とを問わず、公の支配に属しない団体で、社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とするものと定めています。

PTAへの加入を保護者に義務づける法律の規定はありません。入会・退会・会費・役員の決め方は、それぞれのPTAの会則で決まります。

この記事では、法律上の位置づけ、加入と退会、会費、個人情報、役員、会則の見直しまでを順に説明します。

PTAの法律上の位置づけ

PTAは、学校の一部ではありません。学校とは別の、保護者と教職員が自主的につくる団体です。

多くのPTAは法人格を持たない任意団体です。会則を持ち、総会で物事を決め、代表者(会長)がいるPTAは、法律上「権利能力なき社団」として扱われます。

社会教育法は、社会教育関係団体と行政の関係について定めています。文部科学大臣と教育委員会は、団体の求めに応じて専門的技術的な指導や助言を与えることができます(11条1項)。

そして、国と地方公共団体は、社会教育関係団体に対し、いかなる方法によっても、不当に統制的支配を及ぼし、又はその事業に干渉を加えてはならないとされています(12条)。

国や地方公共団体が社会教育関係団体に補助金を出すときは、あらかじめ審議会や社会教育委員の会議などの意見を聴くことになっています(13条)。

項目 PTA 学校
性格 保護者と教職員の任意団体 公の教育機関
根拠 会則(社会教育法10条の社会教育関係団体) 学校教育法など
加入 会則で決める(法律上の義務なし) 在籍により当然に関係が生じる
お金 会費・事業収入など(PTAの会計) 公費・学校徴収金
意思決定 総会・運営委員会など 校長・教育委員会
POINT PTAと学校は別の団体です。PTAの会費や名簿を学校の事務と混ぜないことが、トラブルを防ぐ第一歩になります。

加入と退会のルール

PTAは任意団体なので、会員になるかどうかは保護者が決めることです。

自治会については、最高裁平成17年4月26日第三小法廷判決が、強制加入団体ではなく、退会を制限する定めもない団体の会員は、いつでも一方的な意思表示で退会できると判断しています。PTAも、法律で加入を義務づけられた団体ではない点で共通しています。

そのため、入会の意思を確かめないまま全員を会員として扱う運用は、見直しが進んでいます。

入会届で加入の意思を確かめ、退会の方法も会則に書いておくのが、今の標準的な形です。

加入・退会について会則で決めておくこと

  • 会員の資格(在籍する児童・生徒の保護者と教職員)
  • 入会の方法(入会届の提出など)
  • 退会の方法(退会届の提出など)と、いつから効力が生じるか
  • 年度の途中で入会・退会した場合の会費の扱い
  • 非会員の家庭の子どもへの対応(行事・記念品など)の方針

非会員の家庭の子どもへの対応

PTAに入らない家庭があるとき、よく問題になるのが、PTAの費用で配る記念品や行事の扱いです。

PTAの活動は、学校の子ども全体のために行われることが多くあります。一方で、会費を払っていない家庭との公平をどう考えるかという問題もあります。

どちらにするにしても、方針を総会などで決めて、事前に保護者に示しておくことが大切です。子ども本人が不利益を感じる形は避けるのが一般的な考え方です。

実費を払えば参加できる、記念品の費用は学校徴収金で扱うなど、PTAの会計と切り離す方法もあります。

PTA会費の決め方と管理

PTA会費の額は、会則や総会の決議で決めます。額を会則に直接書くと、変えるたびに会則の変更が必要になるため、総会の決議や細則で決める団体も多くあります。

会費の集め方には注意が必要です。学校の徴収金と一緒に口座から引き落とす場合は、PTAの会費であることと、会員であることの確認が前提になります。

PTAの会計は、PTAの口座で管理します。学校の会計や、担当の先生個人の口座と混ぜてはいけません。

年度末には、会計報告を作り、会計監査の確認を受けて総会で承認を受けます。予算と決算を同じ科目・同じ順番で作ると、会員に説明しやすくなります。

既に納めた会費を退会時に返すかどうかも、会則に書いておきます。権利能力なき社団の財産は構成員の総有とされ、定めがない限り持分の払戻請求権はないとされています(最判昭和32年11月14日)。

よくある論点 考え方 記録に残すもの
会費の額 総会の決議や細則で決める 総会の議事録
集め方 会員の確認と、PTA会費であることの明示 入会届・引き落としの同意
学校への寄付 PTAの予算として総会で承認 予算書・会計報告
上部団体への負担金 内訳を示し、預り金として区別 会計報告の注記
年度途中の退会 会則で返還の有無を決めておく 会則・退会届

個人情報の扱い

PTAの活動には、会員名簿や連絡網が欠かせません。一方で、名簿は個人情報のかたまりです。

PTAが名簿を作るときは、何のために使うのかを示したうえで、会員から直接集めるのが基本です。

学校が持っている児童・生徒や保護者の情報を、PTAがそのまま受け取って使う運用は、個人情報保護の観点から見直しが進んでいます。本人の同意を得る手続を踏むことが大切です。

名簿の保管者、保管方法、年度末の廃棄の方法も決めておきます。連絡網をメッセージアプリで作るときは、参加の同意と、卒業時の退出のルールも決めておきます。

役員の決め方とPTAの負担軽減

PTAの役員(会長・副会長・会計・書記・会計監査)と委員の決め方も、会則で決めます。

「全員が在学中に一度は役員をやる」といったルールは、会則や総会の決定がなければ会員を拘束しません。そもそも会員でない保護者に役員を割り当てることはできません。

なり手不足への対策としては、委員会を減らす、行事を見直す、1年で終わる仕事に分ける、得意な人が単発で手伝える「ボランティア登録制」にするなどの方法があります。

役員の決め方をくじ引きにする場合は、事情のある人の免除の基準を先に決めて公表しておきます。くじで決まった人も、本人の承諾を得て総会で選任します。

PTAの組織と主な活動

PTAの組織は、総会を最高の意思決定機関とし、その下に役員会(運営委員会)と各委員会を置く形が一般的です。

委員会には、学年・学級の委員会、広報委員会、校外(安全)委員会、文化・厚生委員会などがあります。どの委員会を置くかは、会則や総会で決めます。

主な活動は、登下校の見守り、広報誌の発行、学校行事への協力、講演会・研修会の開催などです。

活動の中には、学校が本来行うべき仕事と、PTAが自主的に行う仕事が混ざっていることがあります。誰の仕事なのかを学校と話し合って整理することが、保護者の負担を減らす近道です。

機関 役割 主なメンバー
総会 会則の変更・予算と決算の承認・役員の選任 全会員
役員会(運営委員会) 日常の運営・総会の準備 会長・副会長・会計・書記・委員長など
各委員会 広報・校外・学年などの活動 委員
会計監査 会計の監査と総会での報告 会計監査

上部団体(P連)との関係

多くの単位PTAは、市区町村や都道府県のPTA連合会(いわゆるP連)に加盟しています。

加盟は、それぞれの単位PTAが決めることです。加盟すると、負担金を納め、研修や表彰、保険などの事業に参加できます。

加盟を続けるか、退会するかも、単位PTAの総会などで決めることができます。判断するときは、負担金の額と、受けているサービスの中身を並べて比べます。

P連への負担金をPTA会費から払う場合は、会計報告で内訳を示し、会員に説明できるようにしておきます。

会則の見直しで押さえる7つのポイント

会則が何十年も変わっていないPTAは少なくありません。見直すときは、次の7点を確かめます。

ポイント 見直しの方向
1. 会員の定義 「入会した者を会員とする」と入会の手続を明記
2. 退会 退会届の提出で退会できることを明記
3. 会費 額の決め方・集め方・返還の有無を明記
4. 役員の選び方 選び方・任期・欠員補充・承諾の手続を明記
5. 総会 定足数・委任状・書面決議やオンラインの可否
6. 個人情報 名簿の作成・利用目的・保管・廃棄
7. 学校との関係 会計・名簿・事務を学校と分けることを明記

PTAの保険と行事の安全

PTA活動中のけがや事故に備えて、PTA向けの保険に加入している団体が多くあります。P連を通じて加入する形のほか、民間の団体向け保険もあります。

保険の対象になるのは、多くの場合、PTAが計画し、承認した活動です。活動の計画を役員会や総会で決め、記録に残しておくことが、いざというときの確認につながります。

保険の内容(対象者・対象の活動・補償の範囲)は、年度の初めに役員で確かめ、委員にも伝えておきます。

会則を変える手続

会則の変更は、会則に定めた手続で行います。多くは総会で出席者の3分の2以上など、通常より重い多数が必要です。

変更案は、総会の前に会員へ配り、変更の理由と新旧の対照表を示します。

総会で承認されたら、議事録に変更した条文と施行日を残し、附則に改正の履歴を書き足します。新しい会則は、入会届と一緒に全ての保護者に配っておきます。

PTAについてよくある質問

Q. PTAとは何ですか?

A. 保護者と教職員でつくる任意団体です。社会教育法10条の社会教育関係団体にあたると整理されるのが一般的で、学校とは別の団体です。

Q. PTAには必ず入らないといけませんか?

A. 法律でPTAへの加入を義務づける規定はありません。入会・退会の方法は各PTAの会則で決まります。入会届で加入の意思を確かめる運用が広がっています。

Q. PTAは途中で退会できますか?

A. 会則の退会の定めに従います。自治会について最高裁平成17年4月26日判決は、強制加入団体でなく退会の制限もない団体の会員はいつでも退会できると判断しています。

Q. PTA会費は誰が決めますか?

A. 会則や総会の決議で決めます。学校の徴収金と一緒に集める場合も、PTAの会費であることと会員であることの確認が前提です。

Q. 行政はPTAの運営に口を出せますか?

A. 社会教育法12条は、国と地方公共団体が社会教育関係団体に不当に統制的支配を及ぼし、事業に干渉してはならないと定めています。指導・助言は団体の求めに応じて行うものです(11条)。

Q. PTAの名簿はどう作ればよいですか?

A. 利用目的を示して会員から直接集めるのが基本です。学校の情報をそのまま使うのではなく、本人の同意を得る手続を踏み、保管と廃棄の方法も決めておきます。

Q. 退会したら会費は返してもらえますか?

A. 会則の定めによります。権利能力なき社団の財産は構成員の総有とされ、定めがない限り払戻請求権はないとされています(最判昭和32年11月14日)。

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