一般財団法人の理事と理事会|理事会は必置・3人以上・解任には事由が要る

一般財団法人の理事と理事会|理事会は必置・3人以上・解任には事由が要る 一般社団法人法
一般社団法人のつもりで「理事をいつでも解任できる」と定款に書くと、財団では効きません。

一般財団法人の理事と理事会は、一般社団法人とほとんど同じ条文を使っています。

ただし準用のときに一部の条文が外され、言葉が読み替えられるため、実務で効いてくる違いがいくつも生まれます。

この記事では、財団の理事・理事会だけに当てはまるルールを条文で整理します。

POINT 一般財団法人は理事会が必置(170条1項)。理事は常に3人以上(65条3項・177条準用)。選任は評議員会の決議、そして🔴解任には「職務上の義務違反」などの事由が必要(176条1項)。社団の「いつでも解任できる」(70条1項)は財団に準用されていません

理事会は必置で、「理事会を置かない財団」は存在しない

一般財団法人は、評議員・評議員会・理事・理事会・監事を置かなければなりません(170条1項)。

一般社団法人では理事会を置くかどうかを選べますが、財団にその選択肢はありません。

一般社団法人 一般財団法人
理事会 置くかどうかを選べる 必置(170条1項)
監事 原則任意 必置(170条1項)
理事の員数 理事会を置くなら3人以上 常に3人以上(65条3項・177条準用)
会計監査人 原則任意 原則任意(170条2項)/大規模なら必置(171条)

設置するかどうかで悩む余地がないぶん、財団は最初から役員を3人以上そろえられるかが設立のハードルになります。

一般社団法人側の判断基準は理事会は設置すべき?一般社団法人のメリット・デメリットにまとめています。

POINT 大規模一般財団法人とは、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上である一般財団法人をいいます(2条)。該当すれば会計監査人が必置になります(171条)。ほとんどの法人は当てはまりません。

理事を選ぶのは評議員会

役員および会計監査人は社員総会の決議によって選任する、という63条1項が、177条によって一般財団法人に準用されます。

このとき「社員総会」は「評議員会」と読み替えられます。つまり理事・監事・会計監査人は評議員会の決議で選任です。

理事や理事会が理事を選ぶことはできません。

評議員の側も、理事または理事会が選任・解任する旨の定款の定めは効力を有しません(153条3項1号)。

理事が評議員を選び、評議員が理事を選ぶ、という循環にならないよう条文で塞いであります。

評議員会そのものの運営は一般財団法人の評議員会(招集1週間前・代理出席不可)で解説しています。

理事の解任には「事由」が要る

ここが一般社団法人ともっとも違う点です。

一般社団法人では、役員はいつでも社員総会の決議によって解任できます(70条1項)。

ところが177条の準用から70条は明文で除外されているため、財団にこのルールは適用されません。

代わりに置かれているのが176条です。

解任できる場合 根拠
一般社団法人 いつでも社員総会の決議で解任できる 70条1項
一般財団法人 ①職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき
②心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき
のいずれかに当たるときに限り、評議員会の決議で解任できる
176条1項
注意 「評議員会の決議でいつでも理事を解任できる」と定款に書いても、条文の要件を広げることはできません。財団では事由がなければ任期満了を待つのが原則です。会計監査人については、71条1項各号に該当するときに評議員会の決議で解任できます(176条2項)。

決議要件にも違いがあります。評議員会で3分の2以上が要求されているのは「176条1項の評議員会(監事を解任する場合に限る)」で(189条2項1号)、

理事の解任は普通決議です(189条1項)。

監事のほうが重く守られている点に注意してください。

任期は理事2年・監事4年、短縮は定款でしかできない

任期 短縮 根拠
理事 選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで 定款によってのみ 66条・177条準用
監事 選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで 定款で2年まで 67条
評議員 選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで 定款で6年まで伸長可 174条

一般社団法人の66条ただし書は「定款又は社員総会の決議によって」短縮できると定めていますが、177条はこれを「定款によって」と読み替えています。

財団では、評議員会の決議で理事の任期を縮めることはできません。定款を直す必要があります。

なお、評議員の任期だけは伸長が認められており、方向が逆である点も混同しやすいところです。

理事会の職務と、理事に任せられないこと

理事会はすべての理事で組織し(90条1項)、次の職務を行います(同2項)。

理事会の職務 根拠
業務執行の決定 90条2項1号
理事の職務の執行の監督 90条2項2号
代表理事の選定及び解職 90条2項3号

理事会は、理事の中から代表理事を選定しなければなりません(90条3項)。

また、重要な財産の処分及び譲受け、多額の借財などの重要な業務執行の決定は、理事に委任することができません(90条4項)。

代表理事および業務執行理事に選定された理事は、3か月に1回以上、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければなりません(91条2項)。

定款で「毎事業年度に4か月を超える間隔で2回以上」と定めたときは、それによります。

POINT 理事は、定款で定めた基本財産があるときは、定款で定めるところによりこれを維持しなければならず、かつ目的である事業を行うことを妨げることとなる処分をしてはなりません(172条2項)。財団の理事に固有の義務です。詳しくは一般財団法人の基本財産と純資産300万円の解散ルールをご覧ください。

理事会の招集・決議・議事録

理事会を招集する者は、理事会の日の1週間前までに、各理事および各監事に対して通知を発します(94条1項)。

定款でこれを下回る期間を定めたときはその期間です。

理事および監事の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催できます(94条2項)。

評議員会の招集通知が書面に限られるのと違い、理事会の通知の方法に条文上の限定はありません。

決議は、議決に加わることができる理事の過半数が出席し、その過半数をもって行います(95条1項)。

定款でこれを上回る割合を定めることもできます。

決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができません(95条2項)。

必要なもの 根拠
議事録の作成 法務省令で定めるところにより作成 95条3項
署名・記名押印 出席した理事および監事(定款で出席した代表理事に限る定めも可) 95条3項
異議をとどめない理事 その決議に賛成したものと推定される 95条5項
注意 反対したのに議事録に何も残さないと、賛成したものと推定されます(95条5項)。責任追及の場面で効いてくるので、反対したときは必ず議事録に異議をとどめてください。

理事会の決議の省略(書面決議)は、定款に定めを置いたときだけできます(96条)。

理事全員が書面または電磁的記録で同意し、かつ監事が異議を述べなかったときに、決議があったものとみなされます。

評議員会のみなし決議(194条)が定款の定めなしに使えるのとは条件が違うので、まず自分の法人の定款に理事会の書面決議の定めがあるかを確かめてください。

財団は「解任しにくい」「任期短縮は定款だけ」の2点を、設立時の定款設計に織り込んでおくのが実務です。

よくある質問

Q. 一般財団法人に理事会を置かないことはできますか?

A. できません。一般財団法人は、評議員・評議員会・理事・理事会・監事のすべてを置かなければなりません(170条1項)。一般社団法人のように理事会を置くかどうかを選ぶ制度はなく、「理事会非設置の一般財団法人」は存在しません。

Q. 理事は何人必要ですか?

A. 3人以上です。理事会設置法人の理事は3人以上と定められており(65条3項)、この規定は177条により一般財団法人に準用されます。一般財団法人は必ず理事会設置なので、理事は常に3人以上必要になります。監事も必置です(170条1項)。

Q. 理事は誰が選ぶのですか?

A. 評議員会の決議で選任します。役員および会計監査人は社員総会の決議によって選任するという63条1項が、177条により準用され、「社員総会」は「評議員会」と読み替えられます。理事が理事を選ぶことはできません。

Q. 理事をいつでも解任できますか?

A. できません。ここが一般社団法人と最も違うところです。社団では「役員は、いつでも、社員総会の決議によって解任することができる」(70条1項)と定められていますが、この70条は177条の準用から除外されています。財団では176条1項により、①職務上の義務に違反し、または職務を怠ったとき、②心身の故障のため職務の執行に支障があり、またはこれに堪えないとき、のいずれかに当たる場合に限って、評議員会の決議で解任できます。

Q. 理事の解任の決議要件は?

A. 理事の解任は評議員会の普通決議(議決に加わることができる評議員の過半数が出席し、その過半数)です(189条1項)。3分の2以上が必要とされているのは監事を解任する場合で(189条2項1号)、理事の解任は含まれていません。

Q. 理事の任期は何年ですか?

A. 選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までです(66条・177条準用)。短縮できますが、一般社団法人が「定款又は社員総会の決議によって」短縮できるのに対し、一般財団法人は177条の読み替えにより「定款によって」のみです。監事の任期は4年で、定款で2年まで短縮できます(67条)。

Q. 理事会は何を決めるのですか?

A. 業務執行の決定、理事の職務の執行の監督、代表理事の選定および解職です(90条2項)。理事会は理事の中から代表理事を選定しなければなりません(同3項)。重要な財産の処分及び譲受け、多額の借財などの重要な業務執行の決定は、理事に委任することができません(同4項)。

Q. 理事会の招集通知はいつまでに出しますか?

A. 理事会の日の1週間前までに、各理事および各監事に対して発します(94条1項)。定款でこれを下回る期間を定めたときはその期間です。理事および監事の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催できます(同2項)。

Q. 理事会を開かずに決議できますか?

A. 定款に定めがあるときだけです。理事全員が書面または電磁的記録で同意したときに理事会の決議があったものとみなす旨を、定款で定めることができます(96条)。監事が異議を述べたときは成立しません。評議員会のみなし決議(194条)が定款の定めなしに使えるのとは違うので、定款を確認してください。

Q. 代表理事は理事会に報告する義務がありますか?

A. あります。代表理事および理事会の決議で業務執行理事に選定された理事は、3か月に1回以上、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければなりません(91条2項)。定款で「毎事業年度に4か月を超える間隔で2回以上」と定めたときはそれによります。

Q. 会計監査人は必要ですか?

A. 原則として任意で、定款の定めによって置くことができます(170条2項)。ただし大規模一般財団法人は会計監査人を置かなければなりません(171条)。大規模一般財団法人とは、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上の一般財団法人をいいます。

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