結論から申し上げます。附属明細書は、計算書類(貸借対照表と損益計算書)と事業報告の内容を補足するための書類で、一般社団法人と一般財団法人は毎事業年度これを作らなければなりません(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律〈以下「一般法人法」〉123条2項、一般財団法人は199条で準用)。
附属明細書は1種類ではありません。「計算書類の附属明細書」と「事業報告の附属明細書」の2種類があり、記載する内容を定める条文も別です。計算書類の附属明細書には、少なくとも重要な固定資産の明細と引当金の明細を表示します(一般法人法施行規則33条)。事業報告の附属明細書は、事業報告の内容を補足する重要な事項を内容とします(同34条3項)。
この記事では、附属明細書の位置づけから始めて、2種類それぞれの記載事項、作成の期間と根拠になる帳簿、監事の監査の期限、社員総会(評議員会)との関係、備置きと保存の期間、閲覧請求、清算中の附属明細書、そしてNPO法人・公益法人との違いまでを、条文の順に整理します。
附属明細書とは ― 計算書類と事業報告の「補足」にあたる書類
一般社団法人が毎事業年度に作る書類は、一般法人法123条2項で「計算書類(貸借対照表及び損益計算書をいう。)及び事業報告並びにこれらの附属明細書」と定められています。つまり、決算で作る法定書類は、貸借対照表・損益計算書・事業報告・それぞれの附属明細書という組み合わせです。
貸借対照表や損益計算書は、科目ごとの金額を一覧にした書類です。一覧だけでは、たとえば建物の金額がどう動いたのか、引当金をなぜ積んだのかまでは読み取れません。そこを明細で補うのが附属明細書の役割です。事業報告についても同じで、本体に書ききれない重要な事項を補足します。
「附属」という名前から任意の添付資料のように受け取られがちですが、123条2項は附属明細書も含めて「作成しなければならない」と定めています。作るかどうかを法人が選べる書類ではありません。
毎事業年度に作る書類の全体像
まず、附属明細書が決算書類のどこに位置するのかを表で確認します。成立の日の貸借対照表(123条1項)は設立時に一度だけ作るもので、毎年作るものとは別です。
| 書類 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 貸借対照表 | 事業年度末日の資産・負債・純資産 | 一般法人法123条2項 |
| 損益計算書 | 事業年度の収益と費用(正味財産増減計算書の形式で作る法人も多い) | 同上 |
| 事業報告 | 法人の状況に関する重要な事項など | 同上・施行規則34条2項 |
| 計算書類の附属明細書 | 重要な固定資産の明細・引当金の明細ほか | 同上・施行規則33条 |
| 事業報告の附属明細書 | 事業報告の内容を補足する重要な事項 | 同上・施行規則34条3項 |
計算書類の附属明細書に書くこと ― 施行規則33条の2項目と「補足する重要な事項」
施行規則33条は、各事業年度に係る計算書類の附属明細書には、次の事項のほか、貸借対照表及び損益計算書の内容を補足する重要な事項を表示しなければならない、と定めています。列挙されているのは「重要な固定資産の明細」と「引当金の明細」の二つです。
一つめの重要な固定資産の明細は、建物、構築物、車両、備品、土地、ソフトウェアといった固定資産について、期首の残高、当期の増加、当期の減少、期末の残高、減価償却の状況などを並べて示すのが一般的な作り方です。貸借対照表には期末の金額しか出ないので、1年の間に何を取得し何を手放したのかが、この明細で分かるようになります。
二つめの引当金の明細は、賞与引当金や退職給付引当金など、法人が計上している引当金ごとに、期首残高、当期の増加、当期の減少(目的に使った分とそれ以外の分)、期末残高を示すものです。引当金を計上していない法人では、この明細に記載する対象がないことになります。
条文は「次に掲げる事項のほか」と書いているので、二つを書けば終わりではありません。貸借対照表や損益計算書だけでは読み手が判断を誤りかねない事項があれば、それも補足として表示します。どの事項が「重要」かは法人の規模や取引の内容によって変わるため、会計基準や、法人が採用している会計処理の方針とあわせて決めることになります。
| 明細の種類 | よく使われる項目の例 |
|---|---|
| 重要な固定資産の明細 | 資産の種類ごとに、期首帳簿価額・当期増加額・当期減少額・当期償却額・期末帳簿価額 |
| 引当金の明細 | 引当金の科目ごとに、期首残高・当期増加額・当期減少額(目的使用/その他)・期末残高 |
| 補足する重要な事項 | 貸借対照表・損益計算書だけでは内容が読み取れない重要な項目 |
※上の項目の並べ方は一般的な作り方の例です。法令が定めているのは「重要な固定資産の明細」「引当金の明細」「補足する重要な事項」という内容までで、列の見出しや様式は法令で決められていません。
事業報告の附属明細書に書くこと ― 施行規則34条3項
事業報告そのものの内容は、施行規則34条2項が定めています。一つは当該一般社団法人の状況に関する重要な事項(計算書類とその附属明細書の内容となる事項は除く)、もう一つは、理事の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制など(一般法人法76条3項3号・90条4項5号)について決定や決議をしているときの、その内容の概要と運用状況の概要です。
これに対して、事業報告の附属明細書は、施行規則34条3項で「事業報告の内容を補足する重要な事項をその内容としなければならない」とだけ定められています。計算書類の附属明細書のように具体的な項目の列挙はありません。
そのため、何を書くかは法人ごとの判断になります。事業報告に書いた事業の実施状況を、事業別の実績や主な契約、役員の兼務の状況などで補うといった使い方が考えられます。事業報告で「重要」と書いたことの裏付けを、ここで具体的に示すと考えると整理しやすいでしょう。
注意したいのは、事業報告の附属明細書は計算書類の附属明細書と監査の担当や保存の扱いが違う点です。この違いは後の見出しで表にまとめます。
いつの期間について、何に基づいて作るか ― 施行規則29条
計算書類とその附属明細書の作成に係る期間は、前事業年度の末日の翌日(最初の事業年度は成立の日)から当該事業年度の末日までです(施行規則29条1項)。この期間は1年を超えることができず、事業年度の末日を変更した後の最初の事業年度に限り1年6か月までとされています。
また、計算書類とその附属明細書は、その事業年度に係る会計帳簿に基づいて作成しなければなりません(施行規則29条2項)。会計帳簿は、一般法人法120条1項で適時に正確に作ることが求められ、閉鎖の時から10年間、事業に関する重要な資料とともに保存します(120条2項)。附属明細書の数字が帳簿と一致していることが、監査でも最初に確かめられる点です。
計算書類や事業報告、附属明細書は、紙ではなく電磁的記録で作ることもできます(一般法人法123条3項)。
監事の監査 ― 附属明細書は受け取ってから1週間が一つの基準
監事を置いている一般社団法人では、計算書類と事業報告、これらの附属明細書は、監事の監査を受けなければなりません(一般法人法124条1項)。会計監査人を置いている法人では、計算書類とその附属明細書は監事と会計監査人の両方が、事業報告とその附属明細書は監事が監査します(124条2項)。
監事が監査報告の内容を通知する期限は、次の日のうちいずれか遅い日です。計算書類については、計算書類の全部を受領した日から4週間を経過した日、附属明細書を受領した日から1週間を経過した日、特定理事と特定監事が合意で定めた日です(施行規則37条1項)。事業報告についても、事業報告を受領した日から4週間、事業報告の附属明細書を受領した日から1週間、合意で定めた日のいずれか遅い日です(同46条1項)。
つまり、附属明細書を本体より遅れて渡すと、その分だけ監査の期限も後ろにずれます。定時社員総会の日程から逆算するときは、附属明細書も本体と同時に監事へ渡せるように準備しておくと、期限の計算が単純になります。
監事が期限までに通知をしないときは、その期限の日に監査を受けたものとみなされます(施行規則37条3項・46条3項)。監事を置いていない一般社団法人では、124条1項の監査の手続そのものがありません。
| 計算書類の附属明細書 | 事業報告の附属明細書 | |
|---|---|---|
| 記載する内容 | 重要な固定資産の明細・引当金の明細・補足する重要な事項(施行規則33条) | 事業報告の内容を補足する重要な事項(施行規則34条3項) |
| 監査する人 | 監事(会計監査人設置法人では監事と会計監査人) | 監事 |
| 監査報告の通知期限の起算 | 附属明細書の受領から1週間(施行規則37条1項2号) | 附属明細書の受領から1週間(施行規則46条1項2号) |
| 備置き | 計算書類等として5年(一般法人法129条1項) | 同左 |
| 保存 | 計算書類とともに作成時から10年(123条4項) | 123条4項の保存の対象には挙げられていない |
理事会の承認と社員総会 ― 附属明細書は招集通知に付けるものではない
理事会を置いている一般社団法人では、監査を受けた計算書類と事業報告、これらの附属明細書は、理事会の承認を受けなければなりません(一般法人法124条3項)。ここまでは附属明細書も本体と一緒に動きます。
ところが、定時社員総会の招集通知に際して社員に提供するものは、理事会の承認を受けた計算書類と事業報告、監査報告(会計監査人設置法人では会計監査報告を含む)です(125条)。条文に附属明細書は挙げられていません。
定時社員総会に提出する書類も、計算書類と事業報告です(126条1項)。計算書類は社員総会の承認を受け(126条2項)、事業報告は理事がその内容を報告します(126条3項)。附属明細書は、社員総会で承認を受ける対象にも報告する対象にも挙げられていません。
それでは社員は附属明細書を見られないのかというと、そうではありません。次の見出しのとおり、附属明細書は計算書類等として主たる事務所に備え置かれ、社員と債権者が閲覧を請求できます。一般財団法人では、これらの規定が199条で準用され、「社員総会」は「評議員会」、「社員」は「評議員」と読み替えられます。
備置き5年・保存10年と、誰が閲覧できるか
一般法人法129条1項は、各事業年度に係る計算書類と事業報告、これらの附属明細書(監査を受けた場合は監査報告・会計監査報告を含む)をまとめて「計算書類等」と呼び、定時社員総会の日の1週間前(理事会設置一般社団法人では2週間前)の日から5年間、主たる事務所に備え置くよう定めています。従たる事務所には写しを3年間備え置きます(129条2項。電磁的記録で作成し、従たる事務所で閲覧等に応じられる措置をとっている場合は除く)。
社員と債権者は、法人の業務時間内であれば、いつでも計算書類等の閲覧を請求できます。書面の謄本・抄本の交付や、電磁的記録の内容を書面で受け取る請求もでき、その場合は法人が定めた費用を支払います(129条3項)。一般財団法人では、閲覧を請求できるのは評議員と債権者です(199条による読み替え)。
備置きとは別に、保存の義務もあります。123条4項は、計算書類を作成した時から10年間、当該計算書類及びその附属明細書を保存しなければならないと定めています。条文の文言上、10年保存の対象として挙げられているのは計算書類とその附属明細書で、事業報告とその附属明細書は挙げられていません。ただ、事業報告の附属明細書も129条の計算書類等として5年間の備置きの対象です。
正当な理由がないのに閲覧や謄本の交付を拒んだとき、附属明細書に記載すべき事項を記載しなかったときや虚偽の記載をしたときは、理事などが100万円以下の過料の対象になります(一般法人法342条4号・7号)。
| 義務 | 期間 | 対象 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 主たる事務所での備置き | 定時社員総会の1週間前(理事会設置法人は2週間前)から5年 | 計算書類等(附属明細書を含む) | 一般法人法129条1項 |
| 従たる事務所での備置き | 同じ日から3年(写し) | 同上 | 129条2項 |
| 保存 | 作成した時から10年 | 計算書類及びその附属明細書 | 123条4項 |
| 閲覧・謄本等の請求 | 業務時間内はいつでも | 社員・債権者(財団は評議員・債権者) | 129条3項・199条 |
解散して清算に入ったとき ― 貸借対照表と「事務報告」の附属明細書
法人が解散して清算法人になると、毎事業年度の計算書類に代わって、各清算事務年度に係る貸借対照表と事務報告、これらの附属明細書を作ります(一般法人法227条1項)。損益計算書と事業報告の代わりに事務報告が入る点が、通常の事業年度と違います。
清算中の貸借対照表の附属明細書は、貸借対照表の内容を補足する重要な事項を内容とし(施行規則71条3項)、事務報告の附属明細書は、事務報告の内容を補足する重要な事項を内容とします(同72条2項)。清算人は、貸借対照表を作成した時から清算結了の登記の時まで、貸借対照表とその附属明細書を保存します(227条3項)。
清算法人に監事がいるときは、監事がこれらの書類を受け取って監査報告を作ります(施行規則73条2項)。通常の事業年度と同じく、附属明細書も監査の対象に含まれます。
NPO法人・公益法人との違い
NPO法人(特定非営利活動法人)には、附属明細書という書類の作成義務はありません。特定非営利活動促進法(NPO法)28条1項が毎事業年度初めの3か月以内に作るよう定める「事業報告書等」は、前事業年度の事業報告書、計算書類(活動計算書及び貸借対照表。27条3号)、財産目録、年間役員名簿、社員のうち10人以上の氏名・住所を記載した書面で、附属明細書は含まれていません。
一方、公益社団法人・公益財団法人は、一般社団法人・一般財団法人としての法人格を持ったまま公益認定を受けた法人です。そのため、附属明細書を含む一般法人法の計算書類等の規定は、公益法人にもそのまま適用されます。そのうえで、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律による財産目録などの書類の作成・備置き・提出が加わります。
同じ「決算の書類」でも、NPO法人は財産目録を毎年作る一方で附属明細書はなく、一般社団法人・一般財団法人は附属明細書を毎年作る一方で財産目録は清算時などに限られます。どの法律の書類なのかを先に確認すると、書類の名前で迷わずに済みます。
| 一般社団法人・一般財団法人 | 公益社団法人・公益財団法人 | NPO法人 | |
|---|---|---|---|
| 附属明細書の作成義務 | あり(毎事業年度・2種類) | あり(一般法人法が適用される) | なし |
| 根拠 | 一般法人法123条2項・施行規則33条・34条 | 同左 | NPO法28条1項の事業報告書等に含まれない |
| 毎年の財産目録 | 法律上の作成義務なし(清算時は作成) | あり(公益認定法) | あり(NPO法28条1項) |
- 計算書類の附属明細書に「重要な固定資産の明細」と「引当金の明細」があるか(引当金がない場合はその扱いを確認)
- 明細の期末残高が、貸借対照表の金額と一致しているか
- 数字が当期の会計帳簿に基づいているか(施行規則29条2項)
- 事業報告の附属明細書に、事業報告を補足する重要な事項を書いたか
- 監事に本体と附属明細書を同時に渡し、監査報告の通知期限を計算したか
- 理事会設置法人なら、附属明細書も含めて理事会の承認を受けたか
- 定時社員総会の1週間前(理事会設置法人は2週間前)から主たる事務所に備え置いたか
よくある誤解を4つ
一つめは「附属明細書は任意の資料だから作らなくてもよい」という誤解です。一般法人法123条2項は計算書類・事業報告と並べて附属明細書の作成を義務づけています。
二つめは「附属明細書は1種類」という誤解です。計算書類の附属明細書と事業報告の附属明細書は別の書類で、記載内容の条文も施行規則33条と34条3項に分かれています。
三つめは「附属明細書も招集通知に付けて社員総会で承認を受ける」という誤解です。招集通知に際して提供するのは計算書類・事業報告・監査報告で(125条)、社員総会で承認を受けるのは計算書類です(126条2項)。附属明細書は備置きと閲覧によって社員に開示されます。
四つめは「NPO法人も附属明細書を作る」という誤解です。NPO法28条1項の事業報告書等に附属明細書は含まれていません。NPO法人が毎年作るのは、事業報告書・活動計算書・貸借対照表・財産目録・年間役員名簿・社員名簿の書面です。
附属明細書についてよくある質問
A. 計算書類(貸借対照表・損益計算書)と事業報告の内容を補足する書類です。一般社団法人・一般財団法人は、毎事業年度、計算書類と事業報告に加えてこれらの附属明細書を作成しなければなりません(一般法人法123条2項・199条)。
A. 重要な固定資産の明細と引当金の明細のほか、貸借対照表及び損益計算書の内容を補足する重要な事項を表示します(一般法人法施行規則33条)。
A. 事業報告の内容を補足する重要な事項です(施行規則34条3項)。計算書類の附属明細書のような具体的な項目の列挙はなく、何を補足するかは法人ごとに判断します。
A. 社員総会で承認を受けるのは計算書類で(一般法人法126条2項)、事業報告は内容を報告します(同条3項)。附属明細書は、理事会設置法人では理事会の承認を受けますが(124条3項)、招集通知に際して社員に提供する書類には挙げられていません(125条)。
A. 計算書類の全部を受領した日から4週間、附属明細書を受領した日から1週間、合意で定めた日のいずれか遅い日までに、監事が監査報告の内容を通知します(施行規則37条1項)。事業報告も同じ構造です(46条1項)。
A. 計算書類等として、定時社員総会の1週間前(理事会設置法人は2週間前)の日から5年間、主たる事務所に備え置きます(129条1項)。計算書類とその附属明細書は、作成した時から10年間保存します(123条4項)。
A. NPO法人には附属明細書の作成義務はありません。NPO法28条1項の事業報告書等は、事業報告書・計算書類(活動計算書と貸借対照表)・財産目録・年間役員名簿・社員のうち10人以上の名簿の書面です。
📖 参考にした公的機関の情報


