行政庁に何か手続きは要りますか? 届出だけで済むものと、認定が要るものの違いが分かりません。
公益法人は、認定を受けたときの内容を前提に公益性が認められています。だから変更には手続きが要ります。ただし、すべてが同じ重さではなく、行政庁の「認定」が要る変更と、「届出」で足りる変更にはっきり分かれています。
根拠は公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下「認定法」)の11条(変更の認定)と13条(変更の届出)、そして認定法施行規則(内閣府令)の9条・10条・13条です。2025年4月1日施行の改正で、収益事業等の変更が認定から届出に変わり、軽微な変更の範囲も広がりました。改正前の手引きで判断すると、要らない申請をすることになります。
「認定」が要る変更は2つだけ(認定法11条1項)
認定法11条1項は、公益法人が次の変更をしようとするときは行政庁の認定を受けなければならないとしています。
| 号 | 認定が要る変更 | 中身 |
|---|---|---|
| 1号 | 公益目的事業を行う都道府県の区域(定款で定めるものに限る)、または主たる事務所・従たる事務所の所在場所の変更(従たる事務所の新設・廃止を含む) | 行政庁が内閣総理大臣か都道府県知事かを決める要素(認定法3条)だから |
| 2号 | 公益目的事業の種類または内容の変更 | 公益性の審査をやり直す必要があるから |
ただし書があります。内閣府令で定める軽微な変更は認定が要りません。その軽微な変更は施行規則9条にあり、2025年4月から範囲が広がっています。
| 軽微な変更(認定不要・届出でよい) | 条件 | 根拠 |
|---|---|---|
| 事務所の所在場所や事業区域の変更(行政庁が内閣総理大臣の法人) | 変更後も二以上の都道府県の区域内にとどまる | 規則9条1号 |
| 事務所の所在場所の変更(行政庁が都道府県知事の法人) | 変更前も変更後も同じ都道府県の区域内 | 規則9条2号 |
| 公益目的事業の一部の廃止 | — | 規則9条3号イ |
| 事業の統合・再編・承継など | 変更後の事業が引き続き公益目的事業に該当することが明らかなものとして内閣総理大臣が定めるもの | 規則9条3号ロ |
| 認定申請書の「公益目的事業の種類・内容」の記載事項を変えない変更 | 字句の訂正など実質的な影響がないものを除く | 規則9条3号ハ |
「届出」で足りる変更(認定法13条1項)
認定法13条1項は、次の変更があったときは遅滞なく行政庁に届け出なければならないとしています。認定と違って事前ではなく、変更があった後の手続きです。
| 号 | 届出で足りる変更 | 補足 |
|---|---|---|
| 1号 | 名称または代表者の氏名の変更 | 届出があると行政庁が公示する(13条2項) |
| 2号 | 収益事業等の内容の変更 | 🔑2025年4月から届出に。改正前は変更認定の対象だった。届出後に行政庁が公示 |
| 3号 | 11条1項ただし書の軽微な変更 | 前章の表の変更(同一県内の移転、事業の一部廃止など) |
| 4号 | 定款の変更(認定が要る変更と1〜3号に係るものを除く) | 定款を変えたら、その内容が何であれ届出 |
| 5号 | 内閣府令で定める事項の変更 | 規則13条2項=理事等(代表者を除く)・会計監査人の氏名または名称/報酬等の支給の基準/事業に必要な許認可等 |
届出は様式第三号の届出書に、認定申請書の添付書類(認定法7条2項各号)のうち変更に係るものを添えて行います(規則13条1項・3項)。役員が交代したら理事等の氏名の変更として、報酬規程を改めたら支給基準の変更として、それぞれ届出です。
「遅滞なく」に日数の定めはありませんが、登記事項の変更(一般法人法303条=2週間以内)と一緒に処理する法人が多いです。登記と届出は別の手続きなので、登記を済ませただけでは行政庁への届出は済んでいません。
2025年4月の改正で「認定」から「届出」に移ったもの
改正前の認定法11条1項は、収益事業等の内容の変更も変更認定の対象にしていました。2025年4月1日施行の改正で、収益事業等の内容の変更は13条1項2号の届出に移りました。収益事業等は公益目的事業の財源であって公益性の審査対象そのものではない、という整理です。
| 変更の内容 | 改正前(2025年3月まで) | 改正後(2025年4月から) |
|---|---|---|
| 収益事業等の内容の変更 | 変更認定 | 届出(13条1項2号)。届出後に公示 |
| 公益目的事業の一部廃止 | 変更認定(軽微でない限り) | 軽微な変更=届出(規則9条3号イ) |
| 事業の統合・再編で公益目的事業性が明らかに続くもの | 変更認定 | 内閣総理大臣が定める範囲で届出(規則9条3号ロ) |
| 公益目的事業の種類・内容の変更(上記以外) | 変更認定 | 変更認定のまま(11条1項2号) |
| 行政庁が変わる事務所・区域の変更 | 変更認定 | 変更認定のまま(11条1項1号) |
変更認定の申請のしかた(規則10条)
| 手順 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| ① 理事会で決議 | 変更を決議し、議事録を作る(申請書に議事録の写しを添付) | 規則10条2項1号 |
| ② 定款変更が必要なら社員総会・評議員会 | 定款の変更は認定申請と並行して進める。認定後に定款と登記事項証明書を提出 | 規則10条3項 |
| ③ 様式第二号の申請書 | 認定申請書の添付書類(7条2項各号)のうち変更に係るものを添付 | 規則10条1項・2項 |
| ④ 合併・事業譲渡に伴う変更 | 契約書の写しも添付 | 規則10条2項2号 |
| ⑤ 行政庁の審査 | 認定基準(5条)と欠格事由(6条)が改めて当てはめられる | 11条4項 |
| ⑥ 認定後 | 遅滞なく定款と登記事項証明書を提出。合併なら3か月以内に消滅法人の書類も | 規則10条3項・4項 |
変更認定には審査があり、5条の認定基準に照らして判断されます(11条4項)。新しい公益目的事業を加えるなら、その事業が公益目的事業に当たること、収支の見込み、公益目的事業比率への影響を、最初の認定申請と同じ精度で説明することになります。
行政庁が変わる変更(例:1つの県から2つの県へ事務所を広げる=知事から内閣総理大臣へ)の場合は、申請書を変更前の行政庁を経由して変更後の行政庁に提出します(12条1項)。認定されると変更後の行政庁が変更前の行政庁から事務の引継ぎを受け、帳簿・書類が引き継がれます(12条2項・規則12条)。
合併・事業譲渡・公益目的事業の全部廃止は「24条の届出」
認定法24条1項は、他の法人との合併、事業の全部または一部の譲渡、公益目的事業の全部の廃止について、13条とは別にあらかじめ(行為の前に)届け出ることを求めています。13条の届出が事後なのに対し、こちらは事前です。様式第六号の届出書に、契約書の写しと理事会議事録の写しを添えます(規則59条)。届出があると行政庁が公示します(24条2項)。
| 行為 | 添付書類 | 注意 |
|---|---|---|
| 合併 | 合併契約書の写し・理事会議事録の写し | 存続法人に13条の変更があれば併せて届出。消滅法人の書類は3か月以内に提出(規則59条3項・4項) |
| 公益目的事業の譲渡 | 譲渡契約書の写し・理事会議事録の写し | 譲渡先が公益法人なら、その行政庁にも通知が回る(規則11条) |
| 公益目的事業の全部の廃止 | 廃止を決議した理事会議事録の写し | 公益目的取得財産残額の見込額と算定根拠を添付(規則67条)。公益認定の取消しにつながる |
公益目的事業を全部やめる届出は、事実上、公益認定を手放す手続きです。取消しになれば公益目的取得財産残額に相当する財産を1か月以内に他の公益法人等へ贈与する定めが動きます。詳しくは公益認定の取消しの記事で扱っています。
手続きを飛ばすとどうなるか ― 罰金・過料・認定取消し
| 違反 | 罰則 | 条文 |
|---|---|---|
| 変更認定を受けずに、行政庁が変わる事務所・区域の変更をした | 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 62条2号 |
| 変更認定を受けずに公益目的事業の種類・内容を変え、認定基準に適合しなくなった | 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 | 62条3号 |
| 変更認定の申請書・添付書類に虚偽の記載 | 30万円以下の罰金 | 64条2号 |
| 13条・24条の届出をしない、虚偽の届出 | 理事・監事・清算人に50万円以下の過料 | 66条1号 |
| 偽りその他不正の手段で変更認定を受けた | 公益認定を取り消さなければならない | 29条1項2号 |
| 認定法の遵守事項を守らない | 公益認定を取り消すことができる。前段階として勧告・命令 | 29条2項2号・28条 |
本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。
- 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。
判定フロー ― 変更が決まったらこの順に見る
| 問い | はい | いいえ |
|---|---|---|
| ① 行政庁が変わる事務所・区域の変更か(1県→2県以上、都道府県をまたぐ移転) | 変更認定(11条1項1号) | ②へ |
| ② 認定申請書に書いた公益目的事業の種類・内容を変えるか(新規追加・中身の変更) | 変更認定(11条1項2号)。ただし一部廃止・内閣総理大臣が定める再編は届出 | ③へ |
| ③ 合併・事業譲渡・公益目的事業の全部廃止か | 24条の事前届出(様式第六号・あらかじめ) | ④へ |
| ④ 名称・代表者・収益事業等・定款・理事等・会計監査人・報酬基準・許認可の変更か | 13条の届出(様式第三号・遅滞なく) | 手続き不要(ただし定期提出書類には反映) |
迷ったら②で止まってください。「今の事業の延長」に見えても、認定申請書の「公益目的事業の種類及び内容」の記載を書き換える必要があるなら認定です。記載を変えずに済む範囲(規則9条3号ハ)かどうかが分かれ目になります。
変更のチェックリスト
- 変更後も行政庁(内閣総理大臣/都道府県知事)が同じか(認定法3条・11条1項1号)
- 認定申請書の「公益目的事業の種類及び内容」の記載が変わるか(11条1項2号・規則9条3号ハ)
- 収益事業等の変更なら届出で足りる(13条1項2号・2025年4月から)
- 定款を変えるなら、定款変更の届出(13条1項4号)と登記(一般法人法)を両方行う
- 理事・監事・評議員・会計監査人の交代は、登記+13条5号の届出(規則13条2項1号)
- 報酬規程を改めたら支給基準の変更として届出(規則13条2項2号)
- 変更認定の申請には理事会議事録の写しを添付し、認定後に定款と登記事項証明書を提出(規則10条)
- 合併・譲渡・全部廃止は24条の届出(様式第六号)と、消滅法人の書類の3か月以内提出
よくある質問
A. 公益目的事業の種類や内容を変える変更なら、行政庁の変更認定が要ります(認定法11条1項2号)。収益事業等を新しく始める・変える場合は、2025年4月からは届出で足ります(13条1項2号)。
A. 行政庁が都道府県知事の法人で、変更前後とも同じ都道府県内なら軽微な変更に当たり、変更認定は不要で届出です(規則9条2号・認定法13条1項3号)。別の都道府県へ移る、または2以上の都道府県に広がる場合は、行政庁が変わるため変更認定です。
A. 理事等(代表者を除く)の氏名の変更として、遅滞なく届出をします(認定法13条1項5号・規則13条2項1号)。代表者の変更は13条1項1号の届出で、行政庁が公示します。登記の変更とは別の手続きです。
A. 要ります。報酬等の支給の基準の変更は、内閣府令で定める届出事項です(規則13条2項2号)。
A. 収益事業等の内容の変更が変更認定から届出に移り、公益目的事業の一部廃止や内閣総理大臣が定める再編が軽微な変更として届出で済むようになりました(認定法13条1項2号・規則9条3号)。公益目的事業の種類・内容の変更と、行政庁が変わる事務所・区域の変更は、引き続き変更認定です。
A. 行政庁が変わる変更や、認定基準に適合しなくなる公益目的事業の変更を認定なしで行うと、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(認定法62条2号・3号)。不正の手段で認定を受けた場合は公益認定が取り消されます(29条1項2号)。
A. あります。13条や24条の届出をしない、または虚偽の届出をすると、理事・監事・清算人に50万円以下の過料が科されます(認定法66条1号)。
A. 様式第二号の申請書に、認定申請書の添付書類(認定法7条2項各号)のうち変更に係るもの、変更を決議した理事会議事録の写し、合併・事業譲渡なら契約書の写しを添付します(規則10条)。認定後は遅滞なく定款と登記事項証明書を提出します。
変更認定を受けずに変えたり届出を怠ったりすると、勧告(公表)→命令→取消しの監督が動きます。その流れはこちら。
事業を変えると収支の見込みも変わります。認定後に毎年判定される中期的収支均衡(14条・5年判定)の仕組みはこちらです。
事業を変えると使途不特定財産額の上限(過去5年の事業費平均)も動きます。計算方法と予備財産の要件はこちらです。
事業を変えると公益目的事業比率(50%以上・15条)も動きます。計算式と、費用に算入できるものはこちらです。
理事・監事の交代は届出事項ですが、交代後も役員構成の基準(3分の1規制・外部理事・外部監事)を満たしている必要があります。基準はこちら。
届出があると行政庁が公示するもの(名称・代表者・収益事業等の変更)と、法人側の閲覧・公表義務はこちらで整理しています。
変更認定と届出の前提になる「公益法人の制度の全体像」(行政庁・認定基準・認定後の義務・監督)はこちらです。
報酬等の支給の基準の変更は届出事項です(規則13条2項2号)。基準そのものの作り方と「不当に高額でない」の物差しはこちら。
📖 参考にした公的機関の情報


