理事を引き受けてくれる人が見つかった。
ただ、その人が役員になれるかどうかを確認したことはあるでしょうか。
特定非営利活動促進法は、役員になれない人を20条ではっきり列挙しています。
さらに21条で親族の人数を制限し、22条で欠員が出たときの補充義務を定めています。
この3つを外すと、設立の認証が下りない、あるいは役員変更の届出でつまずくことになります。
この記事では、NPO法人の役員に関するこの3つの制限を条文に沿って整理します。
役員になれない人|NPO法20条の6つの欠格事由
20条は、次のいずれかに該当する者は役員になることができないと定めています。
1号は、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者です。
破産したことがあるだけでは該当しません。復権していれば役員になれます。
2号は、拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わった日または執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者です。
刑法の改正で懲役・禁錮が拘禁刑に一本化されたため、条文の表記も拘禁刑になっています。
3号は、罰金の刑に処せられた場合の規定です。
対象になる罪は限定されていて、この法律(NPO法)または暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反した場合と、刑法204条(傷害)・206条(現場助勢)・208条(暴行)・208条の2(凶器準備集合等)・222条(脅迫)・247条(背任)の罪、暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯した場合です。
この場合も、執行を終わった日等から2年を経過しない間は役員になれません。
つまり、交通違反の罰金などは原則としてここに含まれません。
4号は、暴力団の構成員等です。
5号は、設立の認証を取り消された法人の解散当時の役員で、取り消された日から2年を経過しない者です。
6号は、心身の故障のため職務を適正に執行することができない者として内閣府令で定めるものです。
実務では、就任承諾書とあわせて欠格事由に該当しない旨の誓約を取るのが通例です。
| 号 | 欠格事由 | 期間 |
|---|---|---|
| 1号 | 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者 | 復権するまで |
| 2号 | 拘禁刑以上の刑に処せられた者 | 執行終了等から2年 |
| 3号 | NPO法・暴力団対策法違反、刑法204・206・208・208条の2・222・247条、暴力行為等処罰法の罪で罰金 | 執行終了等から2年 |
| 4号 | 暴力団の構成員等 | - |
| 5号 | 設立の認証を取り消された法人の解散当時の役員 | 取消しから2年 |
| 6号 | 心身の故障のため職務を適正に執行できない者(内閣府令で定めるもの) | - |
親族は何人まで入れられるか|NPO法21条
21条は、役員のうちに親族が偏らないようにする規定です。
条文は2つの制限を同時にかけています。
1つめは、それぞれの役員について、その配偶者もしくは3親等以内の親族が1人を超えて含まれてはならないという制限です。
つまり、ある役員から見て、配偶者や3親等以内の親族を役員に入れられるのは1人までです。
2つめは、当該役員ならびにその配偶者および3親等以内の親族が、役員の総数の3分の1を超えて含まれてはならないという制限です。
本人を含めて数える点に注意してください。
役員が3人なら本人+親族で1人までしか入れられない、という計算になります。
3親等以内には、両親・子・祖父母・孫・兄弟姉妹・おじおば・おいめい・曽祖父母・ひ孫が入ります。
家族で始めた団体を法人化するときに、ここで人数が足りなくなることがよくあります。
設立の準備段階で、役員の候補は親族以外にも広げておくのが安全です。
役員が欠けたとき|3分の1を超えたら遅滞なく補充
22条は欠員補充の義務を定めています。
理事または監事のうち、その定数の3分の1を超える者が欠けたときは、遅滞なくこれを補充しなければなりません。
ここでいう定数は、実際の人数ではなく定款で定めた数です。
なお、NPO法人の役員は理事3人以上・監事1人以上が必要です(15条)。
理事が3人しかいない法人で1人辞めると、3分の1を超えて欠けたことになります。
この状態を放置すると、法定の員数を欠いたまま総会や理事会の決議をすることになり、あとから手続きの適法性を問われかねません。
また、役員の変更があったときは所轄庁への届出が必要です(23条)。
理事の変更のうち登記事項にあたるものは、登記の手続きも別に必要になります。
就任前に確認する手順
欠格事由は、本人に聞いても正確な答えが返るとは限りません。
刑の執行が終わってから何年経ったかを、本人が正しく数えていないこともあります。
実務では、就任承諾書とあわせて欠格事由に該当しない旨の誓約書を取ります。
所轄庁によっては様式が用意されているので、設立の手引きを確認してください。
親族の制限は、就任承諾を取る前に候補者どうしの関係を一覧にしておくと確実です。
配偶者・3親等以内の親族が誰と誰なのかを図にすると、3分の1の計算を間違えません。
役員が5人なら、本人を含めた親族グループは1人までです。
6人になって初めて2人まで入れられます。
この計算を設立準備の最後にやると、人を探し直す時間がなくなります。
候補者を集める段階で、親族以外を最低でも定数の3分の2は確保しておくのが安全です。
Q. NPO法人の役員になれないのはどんな人ですか?
A. 破産して復権を得ていない人、拘禁刑以上の刑に処せられて執行終了等から2年を経過しない人、NPO法・暴力団対策法違反や刑法204条・206条・208条・208条の2・222条・247条などの罪で罰金に処せられて2年を経過しない人、暴力団の構成員等、設立の認証を取り消された法人の解散当時の役員で2年を経過しない人、心身の故障で職務を適正に執行できない人です(NPO法20条)。
Q. 交通違反の罰金があると役員になれませんか?
A. 3号の対象になる罪は限定列挙されており、一般的な交通違反の罰金は原則として含まれません。条文に挙げられた法律・罪に該当するかどうかで判断します。
Q. 親族は何人まで役員にできますか?
A. ある役員から見て配偶者または3親等以内の親族は1人までです。さらに、その役員と配偶者・3親等以内の親族の合計が役員総数の3分の1を超えてはいけません(NPO法21条)。
Q. 役員が辞めたらすぐ補充しないといけませんか?
A. 理事または監事の定数の3分の1を超える者が欠けたときは、遅滞なく補充しなければなりません(NPO法22条)。定数は定款で定めた数で数えます。
Q. 役員が変わったら届出は必要ですか?
A. 必要です。役員の変更等は所轄庁への届出が求められます(NPO法23条)。登記事項にあたる変更は登記の手続きも別に必要です。
📖 参考にした公的機関の情報


