一般財団法人の評議員会|招集は1週間前・代理出席は不可・議事録は10年保存

一般財団法人の評議員会|招集1週間前・代理出席不可・議事録10年保存 一般社団法人法
社員総会と同じ感覚で委任状を配ると、評議員会は成立しません。

一般財団法人には社員がいないため、法人の意思を決めるのは評議員会です。

ところが評議員会は、一般社団法人の社員総会と条文の作りがかなり違います。

この記事では招集の手順・出席のしかた・決議できる範囲・議事録の保存を条文で整理します。

POINT 定時評議員会は毎事業年度の終了後、一定の時期に必ず招集(179条1項)。招集事項は理事会の決議で決め(181条1項)、通知は日の1週間前までに書面(182条1項)。🔴評議員会に議決権の代理行使・書面行使の制度はない。全員の予定が合わないときは、全員の書面同意によるみなし決議(194条)を使います。議事録は主たる事務所に10年保存(193条2項)。

評議員会が決められることは、法律と定款で限られている

評議員会はすべての評議員で組織されます(178条1項)。

そしてこの法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができると定められています(178条2項)。

つまり、何でも決められる万能の機関ではありません。

一方で、法律が評議員会の決議を必要としている事項について、理事・理事会その他の評議員会以外の機関が決定できるとする定款の定めは、その効力を有しません(178条3項)。

評議員会の権限を定款で骨抜きにすることはできない、ということです。

評議員会の決議で行う代表的なものには、理事・監事・会計監査人の選任と解任(177条・176条)、定款の変更(200条)、事業の全部の譲渡(201条)などがあります。

定款変更の要件は一般財団法人の定款変更の手続き(評議員会の3分の2・認証不要)にまとめています。

定時評議員会は毎年必ず開く

定時評議員会は、毎事業年度の終了後、一定の時期に招集しなければなりません(179条1項)。

「必要があれば開く」ではなく毎年開くことが義務です。

これとは別に、必要がある場合にはいつでも招集できます(179条2項)。

招集するのは理事です(179条3項)。ただし、次に見るとおり、招集の中身を決めるのは理事1人ではありません。

招集は「理事会の決議」で決めて、1週間前までに書面で通知する

評議員会を招集するときは、理事会の決議によって次の事項を定めなければなりません(181条1項)。

決めること 根拠
評議員会の日時及び場所 181条1項1号
評議員会の目的である事項があるときは、当該事項 181条1項2号
そのほか法務省令で定める事項 181条1項3号

一般財団法人は理事会が必置なので(170条1項)、この理事会決議を飛ばすことはできません。

通知は、評議員会の日の1週間前までに、評議員に対して書面で発しなければなりません(182条1項)。

定款でこれを下回る期間を定めたときは、その期間になります。短縮はできますが、条文が想定しているのは下回る方向だけです。

評議員の承諾を得れば、書面に代えて電磁的方法で通知を発することもできます(182条2項)。

通知には181条1項各号の事項を記載します(182条3項)。

POINT 評議員の全員の同意があるとき、招集の手続を経ることなく評議員会を開催できます(183条)。全員がその場に揃っているときなどに使える例外です。

評議員は代理出席も書面投票もできない

ここが社員総会といちばん違うところです。

一般社団法人の社員総会には、議決権の代理行使(50条)と書面による議決権の行使(51条)の規定があります。

委任状を出して代理人に出てもらう、あるいは議決権行使書面を提出する、という実務ができます。

ところが評議員会には、これに当たる規定がありません。

POINT 一般財団法人の規定のうち、一般社団法人の条文を準用しているのは理事・監事・会計監査人の選任及び解任(177条)と役員等及び評議員の損害賠償責任(198条)などで、社員総会の議決権に関する50条・51条は準用されていません。評議員会の条文(178条から195条)には「議決権」という語自体が一度も出てきませんです。
注意 委任状を集めて定足数に算入する運用は、条文上の根拠がありません。評議員は本人が出席するのが原則です。出席できない評議員がいるときは、次のみなし決議を検討してください。

なお、決議は議決に加わることができる評議員の過半数が出席し、その過半数で行うのが原則です(189条1項)。

定款変更や監事の解任など一定の事項は、議決に加わることができる評議員の3分の2以上が必要です(189条2項)。

決議について特別の利害関係を有する評議員は、議決に加わることができません(189条3項)。

評議員の役割や兼任の制限そのものは評議員とは?役割・選ばれ方・理事との違いで解説しています。

全員の予定が合わないときは、みなし決議を使う

理事が評議員会の目的である事項について提案し、議決に加わることができる評議員の全員が書面または電磁的記録で同意の意思表示をしたときは、その提案を可決する旨の評議員会の決議があったものとみなされます(194条1項)。

報告事項についても、理事が評議員全員に通知し、報告を要しないことにつき全員が同意すれば、報告があったものとみなされます(195条)。

必要な同意 根拠 注意
招集手続の省略 評議員の全員の同意 183条 会議自体は開く
決議の省略(みなし決議) 議決に加わることができる評議員の全員の同意(書面・電磁的記録) 194条1項 同意書面等を10年備置(同2項)
報告の省略 評議員の全員の同意 195条
注意 いずれも全員の同意が条件です。1人でも反対や無回答があれば成立しません。通常の決議のように過半数で押し切ることはできないので、期限を切って全員から回収できる体制がないと使えません。

みなし決議で定時評議員会の目的である事項のすべてが可決されたとみなされた場合には、その時に定時評議員会が終結したものとみなされます(194条4項)。

当日その場で議題を追加することはできない

評議員会は、181条1項2号に掲げる事項、つまり招集の際に定めた「評議員会の目的である事項」以外の事項については決議をすることができません

(189条4項)。

当日の動議で議題を足す、という運用はできません。決議したいことは招集の段階で漏れなく載せておきます。

評議員の側から議題を出したいときは、評議員会の日の4週間前までに、

理事に対して一定の事項を評議員会の目的とすることを請求します(184条)。

議案そのものの提出は当日の評議員会でもできますが、法令・定款違反の議案などは除かれます(185条)。

理事および監事は、評議員から特定の事項について説明を求められたときは、必要な説明をしなければなりません(190条)。

ただし、その事項が評議員会の目的である事項に関しないものである場合などは、この限りではありません。

議事録は10年、写しは5年

評議員会の議事については、法務省令で定めるところにより議事録を作成しなければなりません(193条1項)。

保存場所 期間 根拠
議事録 主たる事務所 評議員会の日から10年 193条2項
議事録の写し 従たる事務所 評議員会の日から5年 193条3項
みなし決議の同意書面等 主たる事務所 決議があったとみなされた日から10年 194条2項

議事録が電磁的記録で作成されていて、従たる事務所で閲覧謄写の請求に応じられる措置をとっているときは、従たる事務所への備置きは不要です(193条3項ただし書)。

評議員および債権者は、業務時間内はいつでも議事録の閲覧または謄写を請求できます(193条4項)。

社員のいない財団では、債権者に見せる仕組みが監視の役割を担っています。

理事が評議員会を開かないときの手当て

評議員は、評議員会の目的である事項と招集の理由を示して、理事に対し評議員会の招集を請求できます(180条1項)。

次のどちらかに当たるときは、請求をした評議員が裁判所の許可を得て評議員会を招集できます(180条2項)。

ケース 根拠
請求の後、遅滞なく招集の手続が行われない場合 180条2項1号
請求があった日から6週間(定款でこれを下回る期間を定めたときはその期間)以内の日を評議員会の日とする招集通知が発せられない場合 180条2項2号

理事・監事の解任は評議員会の決議で行えるので(176条1項)、評議員会が開かれないままになると、監督の仕組みそのものが止まります。

この招集請求は、その詰まりを解く手段として用意されています。

委任状が使えないぶん、日程調整とみなし決議の段取りを先に決めておくのが実務のコツです。

よくある質問

Q. 評議員会は必ず開かなければなりませんか?

A. 定時評議員会は、毎事業年度の終了後、一定の時期に招集しなければなりません(179条1項)。開かないという選択肢はありません。必要があるときは、それとは別にいつでも招集できます(同2項)。

Q. 評議員会の招集は誰が決めるのですか?

A. 招集するのは理事ですが(179条3項)、日時・場所・目的である事項などは理事会の決議で定めなければなりません(181条1項)。理事が1人で決めてよいわけではない点に注意してください。

Q. 招集通知はいつまでに出しますか?

A. 評議員会の日の1週間前までに、評議員に対して書面で発しなければなりません(182条1項)。定款でこれを下回る期間を定めたときはその期間です。評議員の承諾を得れば電磁的方法でも構いません(同2項)。

Q. 評議員は代理人を出席させられますか?

A. できません。一般社団法人の社員総会には議決権の代理行使(50条)と書面による議決権の行使(51条)の規定がありますが、評議員会にはこれに当たる規定がなく、一般財団法人へ準用もされていません。評議員会の条文(178条から195条)には「議決権」という語自体が出てきません。委任状や書面投票という考え方が制度として存在しないため、評議員本人が出席するのが原則です。

Q. 全員の予定が合わないときはどうしますか?

A. 理事が提案し、議決に加わることができる評議員の全員が書面または電磁的記録で同意すれば、評議員会の決議があったものとみなされます(194条1項)。報告事項も、全員の同意があれば報告があったものとみなされます(195条)。ただし、いずれも全員の同意が要るので、1人でも反対や無回答があれば成立しません。

Q. 招集の手続きを省略できますか?

A. 評議員の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく評議員会を開催できます(183条)。全員がその場に揃っている場合などに使えます。

Q. 当日その場で議題を追加できますか?

A. できません。評議員会は、招集の際に定めた「評議員会の目的である事項」以外については決議をすることができません(189条4項)。決議したい事項は、招集の段階で漏れなく載せておく必要があります。

Q. 評議員会で決められることに制限はありますか?

A. 評議員会は、法律に規定する事項および定款で定めた事項に限り決議をすることができます(178条2項)。逆に、法律が評議員会の決議を必要としている事項について、理事や理事会が決められるとする定款の定めは効力を有しません(同3項)。

Q. 議事録はどれくらい保存しますか?

A. 評議員会の日から10年間、議事録を主たる事務所に備え置かなければなりません(193条2項)。従たる事務所には、評議員会の日から5年間その写しを備え置きます(同3項)。評議員および債権者は、業務時間内はいつでも閲覧または謄写を請求できます(同4項)。

Q. 理事が評議員会を開いてくれないときは?

A. 評議員は、目的である事項と招集の理由を示して理事に招集を請求できます(180条1項)。請求後に遅滞なく招集の手続が行われないとき、または請求日から6週間以内の日を評議員会の日とする招集通知が発せられないときは、裁判所の許可を得て評議員自身が招集できます(同2項)。

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