公益法人の外部理事・外部監事と役員構成|2025年4月からの新基準・特別利害関係の3分の1規制・理事と監事の兼ね合い

公益法人
公益社団法人の理事長です。理事5人・監事1人で運営しています。
2025年から「外部理事」が必要になったと聞きました。うちの規模でも要るのですか。監事は理事の親族ではだめですか。

公益法人の役員には、一般社団法人・一般財団法人にはない構成の基準があります。認定法5条10号〜16号です。2025年4月1日施行の改正で、理事と監事の特別利害関係の禁止(12号)、外部理事(15号)、外部監事(16号)の3つが加わりました。

ただし外部理事には小規模法人の免除があり、外部監事にはありません。この違いを知らないまま「うちは小さいから関係ない」と判断すると、監事の側で基準を落とします。この記事では、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下「認定法」)5条と施行令・施行規則の条文で、役員構成の基準を一つずつ確かめます。

役員構成の基準は7つ(認定法5条10〜16号)

基準 対象 2025年4月改正
10号 各理事について、その理事と特別利害関係にある理事の合計が理事総数の3分の1以下。監事も同様 理事・監事 従来から
11号 他の同一の団体の理事・使用人など相互に密接な関係にある者が理事総数の3分の1以下。監事も同様 理事・監事 従来から
12号 各理事が、監事と特別利害関係を有しないこと 理事×監事 新設
13号 会計監査人を置いていること(政令の基準未満の法人は不要) 会計監査人 基準が引下げ(収益等1,000億→100億)
14号 理事・監事・評議員の報酬等について、不当に高額にならない支給の基準を定めていること 報酬 従来から
15号 理事のうち1人以上が外部理事であること(政令の基準未満の法人は不要) 理事 新設
16号 監事のうち1人以上が外部監事であること(免除なし) 監事 新設
POINT 10号〜12号は「身内で固めない」基準、15号・16号は「外の目を入れる」基準です。どれも認定の基準であると同時に、認定後に適合しなくなれば29条2項1号の取消し事由になります。

「特別利害関係」の範囲(認定法5条10号・施行令4条)

10号と12号の「特別利害関係」は、一方の者が他方の者の配偶者または三親等以内の親族である関係と、政令で定める関係です。施行令4条が政令の関係を列挙しています。

特別利害関係に当たる関係 根拠
配偶者・三親等以内の親族 認定法5条10号
婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者 施行令4条1号
その者の使用人 同2号
その者から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者 同3号
2号・3号の者の配偶者 同4号
1号〜3号の者の三親等内の親族で、これらの者と生計を一にする者 同5号

三親等以内の親族には、親・子・兄弟姉妹(二親等)、おじ・おば・甥・姪(三親等)と、それぞれの配偶者側の姻族が入ります。「理事長の甥」も「理事長の妻の兄」も三親等以内です。加えて、理事長が経営する会社の従業員を理事にすれば、施行令4条2号の「使用人」に当たります。

3分の1規制の数え方(10号)― 「各理事について」が要点

10号は「各理事について、当該理事及び当該理事と特別利害関係にある理事の合計数が理事の総数の3分の1を超えない」という書き方です。本人を含めて数えること、そして理事一人ひとりを起点に数え直すことがポイントです。

理事総数 本人を含めた特別利害関係グループの上限
3人 1人(3分の1=1) 親族は理事に入れられない
4人・5人 1人(4÷3、5÷3は1.33、1.67) 同上
6人 2人 理事長と配偶者の2人まで
9人 3人 理事長・配偶者・子の3人まで

「超えない」なので、3分の1ちょうどは適合します。理事3人の法人で夫婦2人が理事なら、夫を起点に数えると夫+妻=2人で3分の1(1人)を超えるため不適合です。監事についても同じ計算をします(10号後段)。

同一団体の関係者も3分の1まで(11号・施行令5条)

11号は、親族ではなく所属先の偏りを見る基準です。他の同一の団体(公益法人等を除く)の理事または使用人である者、その他相互に密接な関係にある者が、理事総数の3分の1を超えてはなりません。施行令5条は「密接な関係にある者」として、その団体の理事以外の役員・業務執行社員、国・地方公共団体・独立行政法人・国立大学法人・地方独立行政法人・特殊法人・認可法人の職員を挙げています。

典型は、ある株式会社の役員・社員が理事の過半を占める企業財団や、特定の自治体の職員が理事の多くを占める法人です。公益法人が特定の団体の意思決定に従属しないようにする趣旨です。監事についても同様です。

理事と監事は特別利害関係があってはならない(12号・2025年4月〜)

12号は改正で新設されました。各理事について、監事(監事が2人以上なら各監事)と特別利害関係を有しないこと、です。理事長の配偶者や子を監事にする構成は、これで認められなくなりました。

10号の3分の1規制は「理事どうし」「監事どうし」の話でしたが、12号は「理事と監事の間」です。監事は理事の職務執行を監査する役職なので、監査する側とされる側が親族では機能しない、という趣旨です。理事が1人でも監事と特別利害関係にあれば不適合です。3分の1のような割合はありません。

外部理事(15号)― 定義と、収益・費用3,000万円未満の免除

15号の外部理事は、次のすべてに当たる理事です。

要件 内容 根拠
現在 その法人またはその子法人の業務執行理事(一般法人法115条1項)または使用人でないこと 5条15号
過去 就任の前10年間、その法人またはその子法人の業務執行理事または使用人であったことがないこと
準ずる要件 公益社団法人なら社員、公益財団法人なら設立者(これらが法人の場合はその役員・使用人、財団では子法人の役員・使用人も)でないこと 施行規則4条

そしてただし書があります。毎事業年度における収益の額、費用及び損失の額がいずれも政令で定める基準に達しない法人は、外部理事を置かなくてよい、というものです。施行令7条はこの基準を3,000万円と定め、対象の勘定を最終事業年度の損益計算書の収益の部の合計額費用及び損失の部の合計額としています。

POINT つまり、収益も費用も3,000万円未満の公益法人は外部理事が要りません。どちらか一方でも3,000万円以上なら必要です。冒頭の質問の法人も、直近の決算書の収益・費用がどちらも3,000万円未満なら15号は適用されません。ただし次の外部監事には、この免除がありません。

外部監事(16号)― 免除なし・就任前10年間の理事・使用人でないこと

16号は、監事(2人以上なら監事のうち1人以上)が、就任の前10年間その法人またはその子法人の理事または使用人であったことがない者であること、です。施行規則5条により、公益社団法人の社員、公益財団法人の設立者(これらが法人の場合はその役員・使用人等)も除かれます。

外部理事(15号) 外部監事(16号)
見る期間 就任前10年間 就任前10年間
なっていてはいけなかった地位 業務執行理事・使用人 理事・使用人
社員・設立者の扱い 外部理事になれない(規則4条) 外部監事になれない(規則5条)
小規模法人の免除 あり(収益・費用がいずれも3,000万円未満) なし
必要人数 理事のうち1人以上 監事のうち1人以上

外部監事の「理事であったことがない」は、業務執行理事に限りません。10年以内に理事だった人が退任して監事になるのは、よくある人事ですが、その人は外部監事にはなれません。監事が1人の法人なら、その1人が外部監事の要件を満たす必要があります。

会計監査人の設置基準(13号・施行令6条)

13号は会計監査人を置いていることを求めますが、政令の基準に達しない法人は不要です。施行令6条の基準は次の3つで、いずれにも達しない場合に免除されます。

勘定 基準 根拠
最終事業年度の損益計算書の収益の部の合計額 100億円 施行令6条1号
同・費用及び損失の部の合計額 100億円 同2号
貸借対照表の負債の部の合計額 50億円 同3号

改正前は収益等の基準が1,000億円でしたが、100億円に引き下げられました。会計監査人を置く法人は、財産目録とキャッシュ・フロー計算書も監査対象になります(認定法23条)。

役員が欠格事由に当たる法人は認定を受けられない(6条1号)

構成の基準とは別に、認定法6条1号は、理事・監事・評議員のうちに次の者がいる法人は公益認定を受けられないとしています。

欠格事由 期間 根拠
公益認定を取り消された法人で、取消原因の事実の日以前1年内に業務を行う理事だった者 取消しの日から5年 6条1号イ
認定法・一般法人法・暴力団対策法違反、刑法の傷害・暴行・脅迫・背任等の罪、税の不正行為で罰金に処せられた者 執行終了等から5年 同ロ
拘禁刑以上の刑に処せられた者 執行終了等から5年 同ハ
暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者 同ニ

役員の交代のたびに、この欠格事由と5条10〜16号の構成基準の両方を確かめる必要があります。交代は行政庁への届出事項でもあります(13条1項5号・規則13条2項1号)。

基準を満たさなくなったときの帰結

5条各号の基準に適合しなくなることは、認定法29条2項1号の「取り消すことができる」事由です。行政庁はまず期限を定めて勧告し、その内容を公表します(28条1項・2項)。役員の死亡や辞任で一時的に基準を割ることは起こり得るので、補充の選任を速やかに行い、期限内に届け出ることが実務の要点です。

この記事の位置づけ

本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。

  • 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。

役員改選のチェックリスト

候補者が決まったら確かめること

  • 各理事を起点に、本人+特別利害関係の理事が理事総数の3分の1以下か(10号・施行令4条)
  • 監事についても同じ計算をしたか(10号後段)
  • 同一団体の理事・使用人・密接関係者が理事総数の3分の1以下か(11号・施行令5条)
  • 理事の誰かが監事と特別利害関係(配偶者・三親等以内の親族・使用人など)にないか(12号)
  • 直近の損益計算書の収益・費用がいずれも3,000万円未満か。未満でなければ外部理事が1人以上いるか(15号・施行令7条)
  • 監事のうち1人以上が、就任前10年間その法人・子法人の理事・使用人でなく、社員・設立者でもないか(16号・規則5条)
  • 候補者が6条1号の欠格事由(取消し法人の理事・罰金刑・拘禁刑・暴力団員)に当たらないか
  • 選任後、理事等の氏名の変更を行政庁へ届け出たか(13条・規則13条2項1号)。登記も2週間以内に

よくある質問

Q. 外部理事は必ず必要ですか?

A. 原則として理事のうち1人以上が必要です(認定法5条15号)。ただし最終事業年度の損益計算書の収益の部と費用及び損失の部の合計額がいずれも3,000万円未満の法人は免除されます(同ただし書・施行令7条)。

Q. 外部監事にも小規模法人の免除はありますか?

A. ありません。監事のうち1人以上が、就任前10年間その法人または子法人の理事・使用人でなかった者であることが、規模にかかわらず求められます(認定法5条16号)。

Q. 外部理事・外部監事の「外部」とは何ですか?

A. 外部理事は、その法人・子法人の業務執行理事や使用人でなく、就任前10年間もそうでなかった者です(5条15号)。外部監事は就任前10年間その法人・子法人の理事・使用人でなかった者です(16号)。いずれも、公益社団法人の社員や公益財団法人の設立者(法人の場合はその役員・使用人等)は除かれます(施行規則4条・5条)。

Q. 理事長の妻を監事にできますか?

A. できません。2025年4月からは、各理事が監事と特別利害関係(配偶者・三親等以内の親族など)を有しないことが認定基準です(認定法5条12号)。

Q. 理事3人のうち2人が親族でも大丈夫ですか?

A. 不適合です。各理事について本人を含めた特別利害関係の理事が理事総数の3分の1以下でなければならず(5条10号)、理事3人なら上限は1人です。

Q. 特別利害関係には誰が含まれますか?

A. 配偶者と三親等以内の親族(5条10号)に加え、事実婚の相手、その者の使用人、その者から受ける財産で生計を維持している者、これらの配偶者、生計を一にする三親等内の親族です(施行令4条)。

Q. 会計監査人はいつ必要になりますか?

A. 最終事業年度の収益の部の合計が100億円以上、費用及び損失の部の合計が100億円以上、または負債の部の合計が50億円以上のいずれかに該当すると必要です(認定法5条13号・施行令6条)。

Q. 役員構成の基準を満たさなくなったらどうなりますか?

A. 認定法29条2項1号の取消し事由に当たります。行政庁はまず期限を定めて勧告し、その内容を公表します(28条1項・2項)。速やかに補充の選任を行い、届け出ることが対応の基本です。

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