NPO法人には、毎年決まった時期にやるべきことがあります。
これを年間スケジュールとして1枚にまとめておくと、抜けがなくなります。
提出の遅れは、認定の要件や過料に関わってきます。
この記事では、事業年度を基準にした年間の流れを解説します。
事業年度を確認する
年間スケジュールの起点は、事業年度です。
事業年度は、定款で定めます。
4月1日から翌年3月31日とする団体が、多くを占めます。
ただし、これは決まりではありません。
活動の繁忙期を避けて設定することもできます。
決算と総会の作業が、活動と重ならない時期が理想です。
設立のときに深く考えずに決めているなら、見直しの余地があります。
変更するには、定款変更の手続きが必要です。
まずは、自分たちの事業年度を正確に把握しましょう。
事業年度が終わってから3か月
いちばん忙しいのが、事業年度の終了後3か月です。
この間に、決算をまとめます。
監事による監査を受けます。
通常総会を開き、事業報告と決算を承認します。
所轄庁へ、事業報告書等を提出します。
資産の総額に変更があれば、変更登記も行います。
これらが、3か月の間に集中します。
3月末が年度末なら、6月末までということです。
逆算すると、4月には準備を始めていなければ間に合いません。
| 時期(3月末決算の場合) | やること | 根拠・期限 |
|---|---|---|
| 4月 | 決算作業・事業報告書の作成 | 総会に間に合わせる |
| 5月 | 監事による監査・理事会で承認 | 総会の前に |
| 5〜6月 | 通常総会を開催 | 定款の定めによる |
| 総会後すみやかに | 所轄庁へ事業報告書等を提出 | 事業年度終了後3か月以内 |
| 総会後2週間以内 | 資産の総額の変更登記 | 毎事業年度終了後3か月以内 |
| 随時 | 役員変更の届出と登記 | 変更の都度 |
通常総会の準備
通常総会は、年に1回必ず開きます。
招集の通知は、定款で定めた期間より前に出します。
5日前までとする定款が、多く見られます。
通知には、日時、場所、議題を書きます。
議案の資料も、あわせて送るのが親切です。
事業報告と決算の承認が、主な議題になります。
役員の任期が満了する年は、選任も議題に入ります。
議事録は、総会のあとすみやかに作ります。
所轄庁への提出や、登記の添付書類にも使います。
所轄庁への提出
事業年度が終わったら、事業報告書等を所轄庁へ提出します。
期限は、事業年度終了後3か月以内です。
提出するのは、事業報告書、活動計算書、貸借対照表などです。
財産目録、年間役員名簿、社員のうち10人以上の名簿も含まれます。
様式は、所轄庁が指定していることが多いものです。
提出しない状態が続くと、認証の取消しもあり得ます。
認定を目指しているなら、提出は要件そのものです。
毎年きちんと出していることが、団体の信用になります。
提出した控えは、事務所に保管しておきましょう。
資産の総額の変更登記
見落とされやすいのが、資産の総額の変更登記です。
毎事業年度の終了後3か月以内に行います。
毎年必要になる、数少ない登記です。
前年と金額が変わっていれば、登記します。
忘れたまま何年も過ぎている団体は、少なくありません。
登記を怠ると、代表者個人に過料が科されることがあります。
年間の予定表に、必ず書き込んでください。
登記申請の手続きそのものは、司法書士の業務範囲です。
自分たちで行うか依頼するかは、早めに決めておきましょう。
役員の任期と改選
役員の任期は、2年以内で定款に定めます。
2年ごとに、改選の年が来ます。
再任する場合も、手続きは必要です。
総会で選任し、就任を承諾してもらいます。
代表権のある理事が変わらない場合でも、重任の登記が必要です。
所轄庁への役員変更届も、忘れずに出します。
任期の満了日を、予定表に書いておきましょう。
改選の年は、通常総会の議題が増えます。
候補者への打診は、数か月前から始めてください。
- 事業年度の末日
- 決算作業の開始日
- 監事による監査の日
- 理事会の開催日
- 通常総会の開催日
- 所轄庁への提出期限(事業年度終了後3か月以内)
- 資産の総額の変更登記の期限
- 役員の任期満了日
- 主な助成金の公募の締切
- 定期的な理事会の開催日
理事会をいつ開くか
理事会の回数は、定款で定めます。
年に2回から4回とする団体が、多く見られます。
最低でも、総会の前には必ず開きます。
総会に出す議案を、理事会で決めるためです。
事業年度の始めにも、開いておくとよいでしょう。
計画の確認と、担当の割り振りができます。
年度の途中で1回入れると、修正が利きます。
日程は、年度の初めにまとめて決めてしまいましょう。
その都度調整すると、集まりにくくなります。
総会以外の届出
年に1回の作業のほかにも、随時の手続きがあります。
役員が変わったときは、届出と登記が必要です。
定款を変更したときは、認証または届出が必要です。
事務所を移転したときも、手続きが生じます。
これらは、時期が決まっていません。
起きたときに、すぐ動くしかありません。
誰が手続きを担当するかを、決めておきましょう。
担当が決まっていないと、放置されがちです。
登記の期限は、変更から2週間や3週間と短いものが多くあります。
予定表を1枚にする
これらをすべて頭で管理するのは、無理があります。
1枚の紙にまとめてしまいましょう。
横軸に12か月、縦軸にやることを並べます。
期限があるものは、色を変えて目立たせます。
事務所の壁に貼っておくのが、いちばん確実です。
共有のカレンダーに入れる方法も有効です。
担当者の名前も、あわせて書いておきます。
毎年同じ内容なので、一度作れば使い回せます。
年度の初めに、理事会で確認する習慣を作りましょう。
引き継ぎに使える
年間スケジュールは、引き継ぎの道具にもなります。
事務局の担当が代わるときに、これ1枚で流れが伝わります。
各項目に、必要な書類の場所を書き添えておきましょう。
前年の提出書類の写しが、いちばんの手本になります。
ファイルの場所を書いておけば、探す手間が減ります。
属人化を防ぐという意味で、規程と同じ役割を果たします。
役員が代わったときにも、渡す資料の1つになります。
団体の運営が、人に依存しなくなります。
小さな団体ほど、この効果は大きくなります。
会計年度と提出時期の関係
事業年度をいつにするかで、忙しい時期が決まります。
3月末決算なら、4月から6月が繁忙期です。
この時期に大きな事業を入れると、両方が回りません。
活動の山と、決算の山を重ねないことが要点です。
夏に大きな催しがある団体なら、3月末決算が合います。
春に事業が集中する団体なら、別の時期が向きます。
9月末や12月末を年度末にする団体もあります。
設立のときに、この視点で決めておくと後が楽です。
すでに決まっている場合も、変更は可能です。
定款変更の手間と、毎年の負担を比べて判断しましょう。
総会を開かない年はない
通常総会は、毎年必ず開きます。
開かなかった年があると、あとで問題になります。
決算の承認を得ていない状態が、続いてしまうためです。
所轄庁への提出書類にも、総会の議事録が関わります。
人数が集まらない場合は、書面表決や委任状を使います。
定款にその定めがあるかを、確認しておきましょう。
定めがなければ、定款変更で追加できます。
会場に集まる形にこだわる必要は、必ずしもありません。
大切なのは、社員が意思を示す機会を確保することです。
書類の保存期間を決める
毎年の書類は、放っておくと事務所にたまります。
どれをいつまで保存するかを、決めておきましょう。
事業報告書等は、5年間の備え置きが必要です。
定款や議事録は、団体が続く限り保管します。
会計の証拠書類は、法令に応じた期間を保存します。
年度ごとに箱をまとめておくと、探しやすくなります。
電子で保存する場合も、バックアップを取りましょう。
事務所が変わるときに、失われる例が少なくありません。
記録が残っていない団体は、実績を証明できません。
総会と提出の順番を間違えない
順番を間違えると、やり直しになります。
正しい順は、決算、監査、理事会、総会、提出です。
監査を受けていない決算を、総会に出すことはできません。
総会で承認していない書類を、所轄庁に出すこともできません。
登記も、総会の承認を前提とします。
締切に追われると、この順序が崩れがちです。
3か月という期限から逆算して、各段階の日を決めましょう。
監事の予定は、早めに押さえておきます。
一人の都合で、全体が止まることがあります。
毎月やることを決めておく
年に1回の作業だけでなく、毎月の作業もあります。
通帳の記帳と、帳簿への記入です。
ためると、決算のときに一気に負担が来ます。
月末に日を決めて、その日にやる形が続きやすいものです。
会費や寄付の入金の確認も、毎月行います。
入金が確認できたら、礼状や領収書を送ります。
活動の写真と記録も、月ごとにまとめておきましょう。
報告書を書くときに、探す手間がなくなります。
毎月30分の作業が、年度末の何日分にもなります。
年間スケジュールのまとめ
年間スケジュールの起点は、事業年度です。
事業年度の終了後3か月に、作業が集中します。
決算、監査、通常総会、所轄庁への提出、変更登記です。
資産の総額の変更登記は、毎年必要で見落としやすいものです。
役員の任期は2年以内なので、改選の年を把握しておきます。
12か月を横軸にした1枚の表を作れば、毎年それを回すだけです。
税務や社会保険に関する届出は、別途あります。
該当する場合は、それぞれの専門家へご確認ください。
よくある質問
A. 事業年度の終了後3か月です。決算、監査、通常総会、所轄庁への提出、資産の総額の変更登記が集中します。3月末決算なら6月末までです。
A. 事業年度終了後3か月以内です。事業報告書、活動計算書、貸借対照表、財産目録、年間役員名簿などを提出します。
A. あります。資産の総額の変更登記で、毎事業年度終了後3か月以内に行います。忘れると代表者個人に過料が科されることがあります。
A. 変えられます。定款で定めているため、定款変更の手続きが必要です。活動の繁忙期と決算作業が重ならない時期にする考え方もあります。
A. 定款の定めによりますが、年2回から4回が一般的です。最低でも総会の前には開きます。日程は年度の初めにまとめて決めておくと集まりやすくなります。
A. 横軸に12か月、縦軸にやることを並べた1枚の表にします。期限のあるものは色を変え、担当者名も書き添えて、事務所に貼っておくのが確実です。
本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。
- 税務の取扱いは、収入の性質や事業の実態によって結論が変わります。具体的な判定や税額の計算については、税理士または所轄の税務署へご確認ください。
- 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。
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