NPO法人の役員変更の手続き|所轄庁への届出と登記の期限

一般社団法人法
役員が変わったら、所轄庁と法務局の両方に手続きが必要です。期限も違うので整理しましょう。

NPO法人の役員が変わったら、所轄庁への届出と法務局への登記が必要です。

この2つは別の手続きで、期限も添付書類も違います。

任期満了で同じ人が続く場合にも、手続きは発生します。

この記事では、役員変更の実務を順を追って解説します。

POINT 結論:役員が変わったら、所轄庁へ役員変更等届出書を提出します。代表権を持つ理事が変わった場合は、あわせて法務局で2週間以内に登記します。任期満了で再任した場合も、重任として同じ手続きが必要です。

役員変更が起きる場面

役員の変更は、いくつかの場面で発生します。

第一に、任期の満了です。

NPO法人の役員の任期は2年以内なので、必ず2年ごとに来ます。

第二に、任期の途中での辞任です。

転居や体調など、事情はさまざまです。

第三に、解任や欠格事由への該当です。

第四に、死亡による退任です。

第五に、役員の住所や氏名が変わった場合です。

これも変更にあたるので、届出が必要になります。

意外と見落とされやすいのが、この住所変更です。

まず選任の手続きから

役員が退任したら、後任を選ぶ必要があります。

選任の方法は、定款で定められています。

社員総会の決議とする団体が、ほとんどです。

定款の定数を下回る場合は、速やかに補充しなければなりません。

理事3人以上、監事1人以上という要件は常に維持します。

総会を開いて選任し、議事録を作成します。

選ばれた人からは、就任承諾書をもらいます。

欠格事由に該当しない旨の誓約書も、あわせて用意します。

住所を証する書面として、住民票の写しも取得しておきましょう。

所轄庁への届出

役員が変わったら、所轄庁へ役員変更等届出書を提出します。

様式は、所轄庁のホームページからダウンロードできます。

変更の内容と、変更前後の役員を記載します。

添付するのは、変更後の役員名簿です。

就任した役員については、就任承諾書と誓約書の写しを添えます。

住所または居所を証する書面も必要です。

退任した役員については、退任した旨が分かる書面を添えます。

提出の期限は、変更後遅滞なくとされています。

登記が必要な場合は、登記が終わってから出す形が一般的です。

所轄庁によって扱いが違うので、確認しておきましょう。

変更の種類 所轄庁への届出 法務局への登記
代表権を持つ理事の交代 必要 必要(2週間以内)
代表権を持つ理事の重任 必要 必要(2週間以内)
代表権のない理事の交代 必要 不要
監事の交代 必要 不要
代表理事の住所変更 必要 必要
代表権のない役員の住所変更 必要 不要
氏名の変更 必要 代表理事なら必要

法務局への登記が必要な場合

登記が必要になるのは、代表権を持つ理事に変更があったときです。

定款で代表権を制限していれば、理事長など1人だけが対象です。

制限していない場合は、理事全員が登記の対象になります。

登記の期限は、変更から2週間以内です。

この期限は短いので、総会の直後から準備を始めましょう。

登記申請書には、総会議事録や就任承諾書を添付します。

印鑑証明書が必要になる場合もあります。

必要書類は法務局で確認するのが確実です。

登録免許税は、NPO法人の場合かかりません。

登記が完了したら、登記事項証明書を取得します。

重任の登記を忘れない

最も見落とされやすいのが、重任の登記です。

任期が満了して同じ人が再任された場合も、登記が必要になります。

人が変わっていないので、変更がないと思い込んでしまうのです。

しかし法律上は、いったん任期が満了し、あらためて就任した扱いです。

したがって、重任として登記しなければなりません。

2年ごとに必ず発生する作業だと、覚えておきましょう。

登記を怠ると、代表者個人が過料の対象になることがあります。

何期分もまとめて登記すると、指摘を受けやすくなります。

任期満了の年を、年間の予定表に書き込んでおくのが確実です。

役員が変わったときの手順

  • ①定款の定めに従って後任を選任(通常は社員総会)
  • ②議事録を作成し、署名を集める
  • ③就任承諾書・誓約書・住所を証する書面を回収
  • ④代表権を持つ理事なら法務局で登記(変更から2週間以内)
  • ⑤登記事項証明書を取得
  • ⑥所轄庁へ役員変更等届出書を提出(役員名簿を添付)
  • ⑦銀行口座の代表者変更(代表理事が変わった場合)
  • ⑧契約書や各種登録の名義変更
  • ⑨会員や取引先への周知

任期の数え方

任期は、定款で2年以内と定めるのが一般的です。

起算点は、選任された日か、就任した日になります。

定款の書き方によって変わるので、確認しておきましょう。

実務では、選任後の最初の通常総会の終結までとする定めもあります。

この場合、総会の時期に合わせて任期が切れます。

定款で、任期満了後も後任が就任するまで職務を行う旨を定めることもできます。

この定めがあると、選任が遅れたときの空白を避けられます。

ただし、登記の期限は延びないので注意が必要です。

任期がいつ切れるのかを、役員名簿に書いておくと管理しやすくなります。

辞任するとき

任期の途中で辞任する場合は、辞任届を提出してもらいます。

口頭だけで済ませると、後で日付が争いになることがあります。

辞任届には、辞任する日付と理由を簡潔に書いてもらいます。

理由は、一身上の都合という記載でも構いません。

辞任によって定数を下回る場合は、後任の選任を急ぐ必要があります。

理事が2人になってしまうと、要件を満たさない状態です。

代表理事が辞任する場合は、後任が決まってからにしてもらうのが理想です。

代表者不在の期間が生じると、契約や手続きが止まります。

辞任の意向を聞いたら、早めに総会の準備を始めましょう。

住所や氏名が変わったとき

役員の住所が変わった場合も、届出が必要です。

引っ越しは日常的に起こるので、把握する仕組みを作りましょう。

毎年の事業報告書等の作成時に、確認するのが実務的です。

代表権を持つ理事の住所は、登記事項でもあります。

したがって、変更登記も必要になります。

氏名が変わった場合も、同じ扱いです。

結婚などによる改姓は、忘れられやすい部分です。

登記された内容と実際が違うと、証明書が使えなくなることがあります。

役員には、変更があったら知らせてもらうよう伝えておきましょう。

届出を怠るとどうなるか

所轄庁への届出を怠っても、すぐに罰則があるわけではありません。

ただし、毎年の事業報告書等で役員名簿を提出します。

そこで内容が違えば、指摘を受けることになります。

登記のほうは、期限を過ぎると過料の対象になり得ます。

過料は、法人ではなく代表者個人に科されます。

実務上の不利益も、小さくありません。

登記事項証明書の内容が古いままだと、助成金の申請で問題になります。

銀行の手続きでも、現在の代表者と一致しないと止まります。

手続きは面倒でも、結局は早く済ませたほうが楽です。

総会の時期と任期を合わせる

役員の任期と、総会の時期をそろえておくと運用が楽になります。

任期を、選任後2年以内に終了する事業年度の通常総会までとする定め方があります。

この形にすると、任期が切れるのは必ず総会の日になります。

総会で選任すれば、空白が生まれません。

登記の起算日も、総会の日で統一できます。

任期がばらばらだと、年に何度も手続きが発生します。

設立時に全員の任期をそろえておくと、その後が楽です。

途中で就任した役員の任期を、前任者の残任期間とする定めもあります。

この定めがあれば、時期をそろえ続けられます。

定款を作る段階で、この点を意識しておきましょう。

必要書類を先にそろえる

役員変更の手続きは、書類集めに時間がかかります。

就任承諾書と誓約書は、本人に書いてもらう必要があります。

遠方の役員がいると、郵送でやり取りすることになります。

住民票の写しも、本人に取得してもらうか委任状が必要です。

総会の前から、依頼を始めておきましょう。

2週間の登記期限は、書類がそろっていないと守れません。

様式を先に送っておくと、当日に回収できることもあります。

押印が必要な書類は、印鑑を持参してもらうよう伝えます。

全員分がそろったかを、チェックリストで確認しましょう。

引き継ぎで渡すもの

役員が交代するときは、引き継ぎも必要になります。

定款と、直近の事業報告書等を渡します。

過去の総会と理事会の議事録も、見られる状態にしておきます。

規程類があれば、それも一式渡しましょう。

代表理事が交代する場合は、実印と印鑑カードの引き継ぎがあります。

銀行口座の管理も、引き継ぎの対象です。

取引先や関係先の連絡先リストも、共有しておきます。

進行中の案件があれば、その状況もまとめて伝えます。

口頭だけの引き継ぎは、必ず抜けが出ます。

書面にまとめて渡すことを、習慣にしましょう。

複数の変更が重なるとき

任期満了の年は、複数の役員が同時に変わります。

再任される人と、交代する人が混在するのが普通です。

この場合も、手続きは一度でまとめて行えます。

登記申請書には、重任と就任、退任を並べて記載します。

所轄庁への届出も、変更後の役員名簿を1通添えれば足ります。

書類の枚数は増えますが、手続きの回数は変わりません。

誰がどの区分に当たるのかを、先に整理しておきましょう。

一覧表を作ってから書類を作ると、間違いが減ります。

登記の内容は、申請前に法務局で確認してもらうと確実です。

役員名簿を最新に保つ

役員名簿は、手続きのたびに使う基本の資料です。

氏名、住所、役職、就任日、任期の満了日を記載します。

報酬の有無も、欄を設けておきましょう。

毎年の事業報告書等では、年間役員名簿として提出します。

その事業年度に在任した役員を、全員記載する形式です。

期の途中で辞めた人も、在任期間とともに載せます。

常に最新の状態に保っておくと、いざというとき慌てません。

表計算ソフトで管理し、変更のたびに更新するのが実務的です。

個人情報を含むため、アクセスできる人は限定しましょう。

過去の版も残しておくと、履歴をたどれます。

役員変更の手続きのまとめ

役員が変わったら、まず定款の定めに従って後任を選任します。

所轄庁へは、役員変更等届出書を役員名簿とともに提出します。

代表権を持つ理事の変更は、2週間以内に法務局で登記します。

任期満了で再任した場合も、重任として登記が必要です。

住所や氏名が変わったときも、届出の対象になります。

任期は2年以内なので、2年ごとに必ず作業が発生します。

年間の予定表に書き込み、忘れない仕組みを作りましょう。

よくある質問

Q. 役員が変わったら何をする?

A. 定款の定めに従って後任を選任し、所轄庁へ役員変更等届出書を提出します。代表権を持つ理事が変わった場合は、変更から2週間以内に法務局で登記も必要です。

Q. 同じ人が続く場合も手続きは要る?

A. 必要です。任期満了でいったん退任し、あらためて就任した扱いになるため、重任として届出と登記を行います。最も見落とされやすい手続きです。

Q. 監事が変わったら登記する?

A. 登記は不要です。登記されるのは代表権を持つ理事だけです。ただし所轄庁への役員変更等届出書は必要になります。

Q. 住所が変わっただけでも届出は要る?

A. 必要です。代表権を持つ理事の住所は登記事項でもあるため、変更登記もあわせて行います。

Q. 辞任で人数が足りなくなったら?

A. 理事3人以上、監事1人以上という要件を維持する必要があるため、速やかに後任を選任してください。定数を下回った状態を放置するのは適切ではありません。

Q. 届出の期限は?

A. 所轄庁への届出は変更後遅滞なくとされています。法務局への登記は変更から2週間以内と決まっており、こちらは期限が明確です。

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