今回のテーマ
- 一般社団法人の基金とは
- 基金制度を利用する方法
- 基金の特徴
- 基金の募集方法
一般社団法人の基金とは
【結論】一般社団法人の資金調達の1つです。
一般社団法人の運営を財産的に安定させる制度です。
一般社団法人は資本金0円で設立が可能です。
資本金0円で設立が可能なので設立のハードルは低いですが、一方で法人を運営していくには活動資金が必要です。
資金がなければ、活動が困難になります。
そこで活動資金の調達の1つに『基金制度』というものが存在します。
不特定多数の人から金銭や現物(不動産等)を出資してもらって、それを活動資金とすることができます。
つまり、『あそこの一般社団法人の活動は素晴らしい!応援したいな。活動資金を出資しよう!』
これが基金制度です。
基金の使途に原則制限はなく、自由に使用することができます。
また、基金を拠出してくれる人に制限はありません。
法人の関係者に限らず、広く外部の人から基金を募集することができます。
- 一般社団法人独自の制度であり、資金調達の1つ。
- 一般社団法人は資本金がないため、活動資金確保の観点から利用される。
- 基金を拠出してくれる人に制限はなく、誰でも基金の払い込みができる。
- 基金をどのように使うかは各法人が自由に決められる。
基金制度を利用する方法
【結論】定款に基金を採用する旨を記載します。
定款の記載がないと基金制度を利用できません。
基金制度を採用するかしないかは各法人の自由です。
基金制度を採用する場合は定款に基金制度を採用する旨の記載が必要です。
設立前であれば原始定款に記載しておけばOKです。
設立後に基金を採用する場合は社員総会の特別決議で決定します。
ただし、一度でも基金制度を採用した場合、途中で廃止することは原則できませんので注意が必要です。
定款に『基金制度を採用する』旨を定めておく。
定款の記載例
第〇章 基 金
(基金の拠出等)
第36条 当法人は、基金を引き受ける者の募集をすることができる。
2 拠出された基金は、基金拠出者と合意した期日まで返還しない。
3 基金の返還は、定時社員総会の決議に基づき、一般法人法第141条第2項に定める範囲内で行うものとする。
定款で基金について定める場合、『基金の拠出者に関する規定』、『基金の返還手続き方法』などを定める必要があります。
基金の特徴について
1.基金は贈与ではありません、返還義務があります。
基金は自由に使っても問題ありませんが、基金は寄付ではありません。
基金を受けた分はいずれ返さなくてはなりません。
また返還する時に利息は発生しません。
基金の返還には定時社員総会の決議が必要です。
2.基金を出資したとしても社員になれるわけではない
基金を出資する者は社員に限られません。
社員が基金を出資することはできますが、社員以外の人が基金を出資することもできます。
株式会社の場合は財産の出資したものは株主となり一定の議決権を持つことができますが、一般社団法人の場合は基金を出しても社員になることはないので、議決権をもつこともありません。
基金拠出者=社員ではありません。
基金は贈与ではない。返還義務がある。
基金を拠出したからといって、その一般社団法人の社員になれるわけではない。
基金の募集方法
【結論】募集事項を通知します。
基金を募集する度に基金の総額や募集事項を拠出者に通知しなければなりません。
基金を募集する場合、次の3つの事項を通知します。
- 募集する基金の総額
- 金銭以外の財産の拠出が目的ならその旨、その財産の内容と価格
- 基金の受付期間や払い込み期間
基金募集の一般的な例
- 募集基金の総額…100万円
- 基金一口当たりの額…10万円
- 募集期間…令和〇年〇月〇日~令和〇年〇月〇日
- 払込期間…令和〇年〇月〇日~令和〇年〇月〇日
募集の流れ
- 定款で基金について定める。
- 社員全員の同意を得た上で『募集事項』を定める。
- 募集事項を基金拠出者に通知。
- 基金拠出者が基金の申し込み。
- 基金拠出者が期日までに基金の払い込み。
まとめ
- 基金とは一般社団法人の資金調達の1つである。
- 基金を採用するか、しないかは自由。
- 基金制度を採用する場合、定款に定める。
- 基金の使い道は各法人が自由に決められる。
- 基金は贈与ではない。返還義務がある。
- 基金を拠出しても社員にはなれない。
- 基金の募集には募集事項を通知する。
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