一般社団法人設立に必要な印鑑証明書について

一般社団法人の設立に必要な印鑑証明書について 一般社団法人法
「誰の印鑑証明書を、何通、いつまでに取ればいいのか」。設立の準備でいちばん迷うところです。法務局の申請書記載例と規則の条文をもとに、場面ごとに整理します。

結論から申し上げます。

一般社団法人の設立で使うのは、市区町村が発行する個人の印鑑証明書です。

使う場面は3つあります。定款の認証、設立登記の申請、法人の印鑑の届出です。

定款認証では、設立時社員全員の印鑑証明書を公証役場に出します。

設立登記では、理事会を置かない法人は設立時理事全員、理事会を置く法人は設立時代表理事の印鑑証明書を添付します。

印鑑証明書を出さない理事・監事は、代わりに住民票の写しなどの本人確認証明書を添付します。

POINT ポイントは「場面ごとに数える」ことです。同じ人が設立時社員と設立時理事を兼ねると、定款認証用と登記用で2通必要になるのが基本です。期限は場面によって根拠が違い、印鑑届書は作成後3か月以内と規則に書かれています。

設立で印鑑証明書を使う3つの場面

設立で印鑑証明書を使う3つの場面
図:設立で印鑑証明書を使う3つの場面

一般社団法人の設立は、定款の作成・認証、設立時役員の選任、設立登記の順に進みます。

このうち個人の印鑑証明書を使うのは、次の3つの場面です。

どの場面でも、押した印鑑が市区町村に登録した印鑑(実印)と同じであることを示すために使います。

場面 提出先 誰の印鑑証明書 根拠
①定款の認証 公証役場 設立時社員全員 一般法人法10条1項・13条/日本公証人連合会の案内
②設立登記の申請 法務局 理事会なし:設立時理事全員/理事会あり:設立時代表理事 商業登記規則61条4項・5項(一般社団法人等登記規則3条で準用)
③印鑑届書 法務局 法人の印鑑を届け出る代表理事 商業登記規則9条5項1号

設立手続の全体の順番は一般社団法人の設立の流れで説明しています。

①定款認証で必要な印鑑証明書

定款は、設立時社員が共同して作成し、全員が署名または記名押印します(一般法人法10条1項)。

その定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じません(13条)。

公証役場では、定款に押された印鑑が本人のものかを確認するため、設立時社員の印鑑証明書を提出する扱いになっています。

日本公証人連合会は、定款認証で使う印鑑証明書は発行後3か月以内のものが必要だと案内しています。

設立時社員の一部が他の社員を代理して認証を受ける場合は、委任状に実印を押し、委任する人の印鑑証明書も付けます。

定款認証に必要な書類の全体は、一般社団法人の定款認証の必要書類にまとめています。

定款認証の前に確かめること

  • 設立時社員全員の印鑑証明書がそろっているか
  • 定款に書いた氏名・住所が、印鑑証明書の記載と一字一句同じか
  • 定款に押した印鑑が、印鑑証明書の印影と同じか
  • 印鑑証明書が発行後3か月以内か
  • 代理で認証を受ける場合、委任状と委任者の印鑑証明書があるか

②設立登記で必要な印鑑証明書は機関設計で変わる

設立登記の申請書には、設立時理事などが就任を承諾したことを証する書面(就任承諾書)を添付します(一般法人法318条2項3号)。

そして、就任承諾書に押した印鑑について、市区町村長が作成した印鑑証明書を添付する場合があります。

根拠は、一般社団法人等登記規則3条で準用する商業登記規則61条4項・5項です。

誰の分が必要かは、理事会を置くかどうかで変わります。

法務局の申請書記載例は、理事会を置かない法人では「設立時理事の印鑑証明書」を添付するとしています。

理事会を置く法人の記載例では、「設立時代表理事の印鑑証明書」を添付するとしています。

機関設計 印鑑証明書が必要な人 印鑑を押す書面
理事会を置かない(理事1人) その設立時理事 就任承諾書
理事会を置かない(理事2人以上) 設立時理事の全員 各理事の就任承諾書
理事会を置く(理事3人以上) 設立時代表理事 設立時代表理事の就任承諾書

理事会を置く法人では、設立時理事は3人以上で(16条1項)、設立時代表理事は設立時理事の過半数で選びます(21条1項・3項)。

理事会を置かない法人の記載例は、設立時理事の就任承諾書に、印鑑証明書と同じ印鑑を押す必要があると注記しています。

機関設計の選び方は一般社団法人の機関設計で説明しています。

印鑑証明書を出さない役員は本人確認証明書

印鑑証明書を添付しない設立時理事・設立時監事については、本人確認証明書を添付します。

根拠は、一般社団法人等登記規則3条で読み替えて準用する商業登記規則61条7項です。

就任承諾書に書いた氏名・住所と同じ氏名・住所が載った、公務員が職務上作成した証明書が必要です。

本人が「原本と相違がない」と記載した写し(謄本)でも構いません(同項)。

ただし、その人の印鑑証明書を申請書に添付する場合は、本人確認証明書は要りません(同項ただし書)。

理事会を置く法人では、代表理事以外の設立時理事と設立時監事が、通常この本人確認証明書の対象になります。

本人確認証明書の例 注意点
住民票の写し・住民票記載事項証明書 就任承諾書の住所と一致させる
戸籍の附票 住所の履歴が載る
運転免許証のコピー 裏面もコピーし、本人が「原本と相違ない」と記載して記名する
印鑑証明書 添付すれば本人確認証明書の代わりになる

法務局の記載例も、運転免許証のコピーは裏面もコピーし、本人が原本と相違ない旨を記載して記名したものとしています。

理事会を置かない法人で監事を置く場合、監事は印鑑証明書の対象ではないため、本人確認証明書を添付します。

③印鑑届書で必要な代表理事の印鑑証明書

法人の代表者印を法務局に届け出るときは、印鑑届書を提出します(商業登記規則9条1項)。

印鑑届書には、届出をする代表理事が届書に押した個人の印鑑について、市区町村長が作成した印鑑証明書を添付します。

この印鑑証明書は、作成後3月以内のものに限られます(商業登記規則9条5項1号)。

法務局の印鑑届書の記載例には、登記申請書に添付した印鑑証明書を援用するためのチェック欄があります。

つまり、設立登記と同時に届け出るなら、代表理事の印鑑証明書は登記用の1通で兼ねられます。

印鑑届書の書き方や代表者印の規格は、一般社団法人の印鑑(法人印)で説明しています。

印鑑届書の添付欄(法務局記載例の要旨)

□ 市区町村長作成の印鑑証明書は、登記申請書に添付のものを援用する。

(注)この届書には作成後3か月以内の本人の印鑑証明書を添付してください。

登記申請書に添付した印鑑証明書を援用する場合は、□にレ印をつけてください。

法務局「印鑑届書(一般社団法人・記載例)」の注記を要約したものです。

ケース別:誰の印鑑証明書が何通必要か

必要な通数は、設立時社員と設立時役員の顔ぶれで決まります。

定款認証用と登記用は提出先が別なので、場面ごとに数えます。

代表的な3つのケースで、1人あたりの通数を示します。

ケース 人 定款認証 設立登記 合計
A:理事会なし。社員はAさん・Bさん。理事はAさんのみ(代表) Aさん 1通 1通(印鑑届書は援用) 2通
Bさん 1通 ― 1通
B:理事会なし。社員はAさん・Bさん。理事も同じ2人。代表はAさん Aさん 1通 1通(印鑑届書は援用) 2通
Bさん 1通 1通 2通
C:理事会あり。社員はAさん・Eさん。理事はA・B・Cの3人、代表はAさん、監事はDさん Aさん 1通 1通(印鑑届書は援用) 2通
Eさん 1通 ― 1通
B・C・Dさん ― 本人確認証明書(印鑑証明書でも可) ―

このほか、設立時社員の一部が代理で認証を受けるときは、委任者の印鑑証明書が別に必要になる場合があります。

申請を代理人に頼むときの扱いや、手元に残す控えの要否は、依頼先と事前に確認しておきます。

この記事の位置づけ

本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。

  • 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。

有効期限「3か月」の根拠は場面ごとに違う

有効期限「3か月」の根拠は場面ごとに違う
図:有効期限「3か月」の根拠は場面ごとに違う

「印鑑証明書は3か月以内」とひとまとめに言われがちですが、根拠は場面ごとに違います。

定款認証は、日本公証人連合会が発行後3か月以内のものが必要だと案内しています。

印鑑届書は、商業登記規則9条5項1号に「作成後三月以内」と書かれています。

就任承諾書の印鑑証明書(61条4項・5項)には、条文上、作成後の期間の定めがありません。

ただし、同じ印鑑証明書を印鑑届書に援用するなら、そちらの3か月の制限がかかります。

結局のところ、設立登記の申請日から逆算して3か月以内のものを用意するのが安全です。

場面 期限 根拠
定款認証 発行後3か月以内 日本公証人連合会の案内
印鑑届書 作成後3月以内 商業登記規則9条5項1号
就任承諾書の印鑑証明書 規則上の期間の定めなし(援用するなら3か月以内) 商業登記規則61条4項・5項
1
定款案と役員の顔ぶれを固める
期限のない書類から先に作る
▼
2
設立時社員全員が印鑑証明書を取る
定款認証の予約日から逆算して3か月以内
▼
3
定款の認証を受ける
公証役場に印鑑証明書を提出する
▼
4
就任承諾書に実印を押してもらう
登記用の印鑑証明書と同じ印鑑を使う
▼
5
登記申請書・印鑑届書を出す
代表理事の印鑑証明書は作成後3か月以内のものを援用する

設立時社員が法人のとき

一般社団法人の設立時社員には、法人もなれます(法務省「一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A」)。

法人には市区町村の印鑑登録がないため、個人の印鑑証明書は使えません。

日本公証人連合会は、株式会社の定款認証で会社が発起人になる場合、代表者の印鑑証明書のほかに会社の登記簿謄本(登記事項証明書)が必要だと案内しています。

一般社団法人の設立時社員が法人の場合も、その法人の代表者印の印鑑証明書(登記所発行)と登記事項証明書を用意するのが通常の扱いです。

法人の印鑑証明書は、登記所に印鑑を提出した者だけが請求できます(商業登記法12条1項)。

法人は理事・監事にはなれないため、設立登記の役員分の印鑑証明書に法人のものが出てくることはありません。

設立時社員の資格は一般社団法人の設立時社員とはで説明しています。

設立時社員 定款認証で出すもの
個人 市区町村の印鑑証明書
法人 代表者印の印鑑証明書(登記所発行)+登記事項証明書
外国に住む人・外国籍の人 取扱いを事前に公証役場に確認する

個人の印鑑証明書の取り方

個人の印鑑証明書は、住民登録をしている市区町村で、印鑑登録をしている人が取得できます。

印鑑登録をしていない人は、先に登録の手続をします。登録した印鑑が「実印」です。

登録や証明書の交付の手続・手数料は、市区町村ごとに定められています。

マイナンバーカードを使ってコンビニで交付を受けられる市区町村もあります。

印鑑証明書には、氏名・住所・生年月日と印影が載ります。定款や就任承諾書の氏名・住所は、この記載に合わせて書きます。

引っ越しや結婚などで住所・氏名が変わった直後は、登録の状態を確認してから取得します。

印鑑と記載を一致させるためのチェック

印鑑証明書をそろえても、書類側の記載や印影が違うと使えません。

設立時社員・設立時役員に押印をお願いする前に、次の点を共有しておくと手戻りを防げます。

押印前の確認リスト

  • 定款・就任承諾書に押すのは、印鑑登録をした実印か
  • 氏名は印鑑証明書どおりか(旧字体・異体字を含む)
  • 住所は印鑑証明書どおりか(「丁目・番・号」の表記を含む)
  • 設立時理事の就任承諾書の住所を、本人確認証明書や印鑑証明書と一致させたか
  • 設立登記の申請日が、印鑑届書に使う印鑑証明書の作成から3か月以内に収まるか
  • 代理で認証を受けるなら、委任状にも実印を押したか

設立後に役員が変わるときの印鑑証明書

印鑑証明書が要るのは設立のときだけではありません。設立後に理事や代表理事が新しく就任するときも同じ考え方です。

法務局の役員変更の記載例は、就任承諾書に押した印鑑について市町村長作成の印鑑証明書を添付するとしています。

対象は、理事会を置く法人では代表理事、それ以外の法人では各理事です。

ただし、再任の場合は不要です。

代表理事を選んだ議事録や互選書については、押印した理事などの印鑑証明書が必要になります。

その議事録に、変更前の代表理事が法務局に届け出た印鑑が押されていれば、これらの印鑑証明書は不要です。

設立時に法人の印鑑を届け出ておくと、後の役員変更の書類が軽くなるということです。

手続の詳細は一般社団法人の役員変更登記で説明しています。

設立後の「法人の印鑑証明書」との違い

設立登記が終わると、今度は法人の印鑑証明書が取れるようになります。

これは代表理事が法務局に届け出た法人の代表者印を証明するもので、発行するのは登記所です。

請求できるのは、その印鑑を登記所に提出した者です(商業登記法12条1項。一般法人法330条で準用)。

設立のときに使う個人の印鑑証明書とは、発行元も用途も違います。

比較 個人の印鑑証明書 法人の印鑑証明書
発行元 市区町村 登記所(法務局)
証明する印鑑 個人の実印 法人の代表者印
設立で使う場面 定款認証・設立登記・印鑑届書 使わない(法人成立後に取得できる)
請求に必要なもの 市区町村の印鑑登録証など 印鑑カードなど

印鑑カードの取得や紛失時の対応は法人の印鑑カードとはで説明しています。

よくある誤解

誤解1:理事全員の印鑑証明書が必ず要る。

理事会を置く法人の登記では、印鑑証明書が要るのは設立時代表理事です。

他の理事・監事は本人確認証明書で足ります。

誤解2:監事も印鑑証明書が要る。監事は61条4項・5項の対象ではなく、本人確認証明書を添付します。

誤解3:1人1通あればよい。設立時社員と設立時理事を兼ねる人は、定款認証用と登記用で2通が基本です。

誤解4:どの印鑑証明書も法律で3か月以内。

条文で3か月と定めているのは印鑑届書(規則9条5項1号)です。

就任承諾書の分には期間の定めがありません。

誤解5:代表理事の印鑑証明書は登記用と印鑑届書用で2通要る。印鑑届書は、登記申請書に添付した印鑑証明書を援用できます。

誤解6:法人の印鑑証明書を設立登記に使う。

法人の印鑑証明書は成立後に取れるもので、設立の手続では個人の印鑑証明書を使います。

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登記事項証明書と印鑑証明書は別の書面です。登記事項証明書は誰でも取れ、印鑑証明書は印鑑提出者だけが取れます。

一般社団法人の設立と印鑑証明書についてよくある質問

Q. 一般社団法人の設立で、誰の印鑑証明書が必要ですか?

A. 定款認証では設立時社員全員の分です。設立登記では、理事会を置かない法人は設立時理事全員、理事会を置く法人は設立時代表理事の分です(一般社団法人等登記規則3条で準用する商業登記規則61条4項・5項、法務局の申請書記載例)。

Q. 監事の印鑑証明書は必要ですか?

A. 原則として不要です。監事は住民票の写しなどの本人確認証明書を添付します。印鑑証明書を添付すれば本人確認証明書は不要です(商業登記規則61条7項)。

Q. 印鑑証明書の有効期限は何か月ですか?

A. 印鑑届書に添付するものは作成後3か月以内です(商業登記規則9条5項1号)。定款認証も発行後3か月以内のものが必要と日本公証人連合会が案内しています。

Q. 設立時社員と理事を兼ねる場合は何通必要ですか?

A. 定款認証用と登記用で2通が基本です。代表理事は、印鑑届書に登記用の印鑑証明書を援用できるので、追加の1通は要りません。

Q. 法人が設立時社員になる場合はどうしますか?

A. 法人には個人の印鑑証明書がないため、代表者印の印鑑証明書(登記所発行)と登記事項証明書を用意するのが通常です。取扱いは認証を受ける公証役場に確認します。

Q. 理事会を置く法人で、代表理事以外の理事は何を出しますか?

A. 本人確認証明書です。住民票の写し、戸籍の附票、本人が原本と相違ない旨を記載した運転免許証のコピーなどが使えます(商業登記規則61条7項)。

Q. 法人の印鑑証明書はいつから取れますか?

A. 設立登記と同時に代表者印を届け出れば、法人の成立後に登記所で取得できます。請求できるのは印鑑を提出した者です(商業登記法12条1項)。

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【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、正確性・最新性に配慮していますが、内容の完全性・正確性を保証するものではありません。法令・制度・税制は改正される場合があり、個別の事情により取り扱いが異なることもあります。本記事の情報を利用して行われた一切の行為およびその結果について、当サイトおよび筆者は責任を負いかねます。実際のお手続きや判断にあたっては、必ず公的機関の最新情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。